それどこ

まだ、本当においしい海苔を知らないあなたへ。わざわざ取り寄せてでも食べたい「最高の海苔」を紹介します

「海苔」といえば、おにぎり、お寿司、おせんべい、丼もの、さらにはラーメンなど、私たちの日常のあちこちに登場する食材です。

しかし、それだけ身近な存在にもかかわらず、意外と海苔について考えたことって少ないのではないでしょうか? いわば数々の料理を引き立たせる名脇役であって、主役になることが少ないことも原因かもしれません。

そんな中、百貨店などに行くと、数千円、場合によっては1万円以上するような海苔を見かけることがあります。これだけ高価な海苔は、いわゆる普通の海苔とどこが違うのでしょうか? もしかして、海苔観が変わるぐらい、めちゃくちゃおいしいのか……?

だとすると、「最高の海苔」を食べて“海苔観”を変えてみたい。

心が震えるような、本当においしい海苔を味わってみたい!

……そんな想いで海苔調査を行ったところ、とある会社に行き着きました。

業界トップシェアを誇る海苔の専門商社・小浅商事です。

同社は我々のような一般的な消費者とはあまり関わりがない会社ですが、全国の海苔屋さんや百貨店、さらにはコンビニエンスストアにも海苔を卸しています。業界トップシェアということは、私たちが普段食べている海苔も小浅商事が卸したものかもしれません。まさに海苔のリーディングカンパニーといえます。

そんな小浅商事ならきっと、「最高の海苔」についても教えてくれるに違いない!

ということで、今回は幼い頃からおいしい海苔が当たり前にある環境で育ち、海苔が好き過ぎて海苔を活用したレシピも考案しまくっているという下村萌さんにお話を伺いました。

聞き手は、海苔に関してごく一般的な知識・熱量のライター・山田井ユウキが務めます。

お話を聞いた人

下村萌さん

幼い頃より海苔に親しみ、一度は異なる業種に就職するも、小浅商事へ転職。催事などでは積極的に店頭に立ったり、オンラインストアの立ち上げや、Instagramで海苔レシピを投稿するなど、海苔の普及に努める。

※取材はリモートで行いました

こんなにもおいしい海苔を知ってもらいたいと、海苔業界へ

—— 下村さん、本日はよろしくお願いします。

下村萌さん
よろしくお願いします!

—— まず、下村さんのご経歴から伺えますか?

下村萌さん
私は小浅商事の現社長の姪にあたります。かつては母も小浅商事で海苔の小売りをしており、幼い頃からその姿を見て育ちました。家にはいつでもおいしい海苔があり、それが普通だと思って生活していたんです。

—— おいしい海苔が身近にあることが当たり前だったわけですね。

下村萌さん
そうなんです。ただ、身近な人に海苔を差し上げたときに、「本当においしい海苔ですね」と言ってもらえることが多くて、だんだんと「海苔ってそんなに違うの?」と興味を持つようになりました。

—— そうか……おいしい海苔しか周りにないから、むしろ海苔に品質の違いがあることも知らなかったわけですね。

下村萌さん
知ったときには驚きましたね。それで一旦は違う業界に就職したのですが、こんなにおいしい海苔があることをもっと多くの人に知ってもらいたい! と思って、小浅商事に入社しました。

現在はInstagramに海苔レシピを投稿するなど、もっとおいしい海苔を広めたいと考えています。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

のりの小浅(@norinokoasa)がシェアした投稿

のりの小浅 Instagram

—— Instagramも見ましたが、海苔レシピの幅広さに驚きました。そんな下村さんに、「最高の海苔」を教えてほしいのですが……。

下村萌さん
どうぞ。海苔のことなら何でも聞いてください!

海苔観が変わる! 「最高においしい海苔」

—— 今回は「最高の海苔」を知りたいんです。そもそもおいしい海苔って、どういうものなんでしょうか?

下村萌さん
そうですね……海苔そのものの旨味や香りももちろん重要なんですが、食感や口溶けの良さも重要だと思います。

—— パリッとしていた方が良いということですか?

下村萌さん
パリッとしていることはもちろんなんですが、良い海苔は口の中でほろほろと崩れていき、ふわっと溶けていくんですよ。

—— なるほど。口溶けの良さ……!

下村萌さん
この要素をもっとも兼ね備えているのが、有明海産の海苔です。ほかの産地の海苔もそれぞれ違いがあって(※後述します)おいしいんですが、違いを体験しやすいのは有明海産です。まずはここから最高の海苔体験をしてみてください。

「有明海苔」を詳しく見る

「有明海苔」のおいしい食べ方はこちらの記事でも紹介しています

—— 俄然楽しみになってきました。小浅商事さんも有明海産の海苔を扱われているんですよね。その中でも「最高においしい海苔」をいくつかご紹介いただけますか?

下村萌さん
分かりました。まずはこちらです!

全型焼海苔「金」「銀」有明海産

——「金」というだけあって、まずパッケージの見た目が豪華ですね!

下村萌さん
はい。当社が自信を持っておすすめできる海苔です。有明海産で、海苔そのものにも艶があり、色も綺麗です。夏や冬にはお中元、お歳暮などのご贈答用に使われる方も多い商品となっています。

—— 実はあまり大きな海苔を買ったことがないんですが、「全型」というのがこのサイズなんですか?

下村萌さん
具体的にはタテ21cm×ヨコ19cmですね。昔はサイズがバラバラだったんですが、昭和40年代に全国統一されたんですよ。現在の海苔はこの大きさが基準で、商品によって四つに切ったり(4切)、八つに切ったり(8切)しているんです。

—— 昔はサイズが違ったりもしたんですね。では、ちょっといただいてもよろしいでしょうか?

※編集部注:取材はリモートで行いましたが、下村さんには事前に海苔を送っていただいていました

下村萌さん
どうぞ。ぜひ味わってみてください!

—— うわっ!? すごい! 口に入れた瞬間に強烈な旨味と磯の良い香りが口いっぱいに広がって、ふわっと溶けていく……!!

下村萌さん
まさに、その口溶けの良さが全型焼海苔「金」の特徴です。一度食べていただくと、もうほかの海苔には戻れないとおっしゃっていただくことも多いです。

—— 本当にそうですね……ちょっと衝撃が走りました。なんてものを食べてしまったんだ! この味わいで、単品で購入すると1,080円(税込)なんですよね? 

下村萌さん
はい、そうです。

—— この旨味、香り、そして口溶け……今まで味わってきた海苔ももちろんおいしいんですが、ひとつ上の味わいと言いますか。全然主役になれますよ。これが「最高の海苔」体験なんですね。これならむしろ、この金額でも安いと感じますよ。

下村萌さん
ありがとうございます! 最高級の海苔をお値打ち価格でお届けできるのは、当社のような海苔問屋の強みです。

—— どうやって食べてもおいしそうですが、下村さんのおすすめの食べ方はありますか?

下村萌さん
一般的に、海苔はお醤油をつけてご飯に巻いて食べることが多いと思いますが、全型焼海苔「金」になると、もうお醤油もいらなくて、海苔だけで味わっていただくのもいいと思います。

—— 確かに、全型焼海苔「金」の香りや風味、口溶けをダイレクトに味わうなら、何もつけないのが一番かもしれませんね。そんな海苔、初めてですよ!

下村萌さん
全型焼海苔には「銀」もあります。どうぞ、こちらも食べてみて下さい。

—— うわっ、これもおいしい! あれ、でも、先ほどの「金」との違いがあまりわからないような……?

下村萌さん
はい。「金」と同じく有明海産で、味わいも「金」と遜色ありません。海苔そのものを見比べると、若干「金」の方が綺麗かなというくらいの違いです。「金」は穴が空いていなかったり、表面も「銀」より整っていたりします。

—— 私の目だと「銀」も十分きれいに見えるのですが、比較すると確かに「金」の方がわずかにきれいかもしれません。そうか、だから「金」は贈答品需要が高いんですね。

下村萌さん
そうですね。それでいて「銀」も味わいは負けていませんから、ご家庭で食べていただくなら「銀」のコストパフォーマンスが光ると思います。

—— 「金」よりも少しお安い値段(単品で購入すると648円(税込))なんですね。

下村萌さん
非常にお値打ちで、海苔を贅沢に使いたいという方にも選んでいただいています。

—— 確かに「金」はしっかりと向き合って食べたくなりますが、「銀」は価格的にも少し冒険しやすいですね。海苔パスタにしたり、何枚も贅沢にパリパリ食べたりしたくなります。

小浅謹製 バター風味

下村萌さん
全型焼海苔「金」「銀」では、海苔本来の香りや口溶けを味わってもらいました。でも、もっと海苔を手軽に楽しんでもらうには味付け海苔がいいと思います。

—— ちょっと小腹が空いたときにもつまめますよね。

下村萌さん
そういったスナック感覚でつまめる海苔から「小浅謹製 バター風味」をおすすめします。このシリーズは、海苔のパリッとした食感にこだわっているので、すべて有明海産の海苔を使っています。

—— だからパッケージがチャック式なんですね。

下村萌さん
はい。よく見かけるボトルタイプの容器より密封性が高く、いつ食べてもパリッとした食感を楽しめます。バターは風味を強くし過ぎるとくどくなってしまうので、しっかりと味わいを感じられつつ、それでいてくどくなり過ぎず、後を引くおいしさになるようこだわりました。

それと、内容量をたっぷり入れている(8切80枚)のにも注目いただきたいです!

—— 確かに見た目から想像するよりもたっぷり入っていますね。

下村萌さん
そうなんです。問屋ならではのこだわりでして、お客様にも満足いただいています。どうぞ、召し上がってください。

—— ああ〜! 海苔の良い香りに加えて、バターがほのかに香る良いバランス! 味もしっかりついていて、まさに大人のおやつにぴったりですね!

下村萌さん
スナック菓子はカロリーが気になるという方もいらっしゃると思いますが、海苔はカロリーが控えめなので、罪悪感なく食べられるのもいいところなんです(笑)。

—— 分かります! そして、お酒に合いますね、これ。

下村萌さん
そうなんです。お酒との相性が抜群で、つい飲み過ぎてしまうなんて声も聞きます。

—— ビールにも合うし、コクのある赤ワインなんかもぴったりです。

小浅謹製 明太子風味

下村萌さん
同じく、スナック海苔シリーズから「小浅謹製 明太子風味」です。

—— 海苔と明太子、どちらもごはんのお供として最高ですし、相性抜群じゃないですか!

下村萌さん
そうなんです。こちらもぜひ味わってください。

—— おお、こちらもパリッとした海苔と、明太子のピリ辛がアクセントになって後を引きますね! ちょっと爽やかな香りもするような……?

下村萌さん
はい。ほんのりと柚子が香るようにしています。それによって、明太子の強い香りを少し抑えて食べやすくしているんです。

—— 大人も子どもも誰でも大好きな味ですね、これは。

下村萌さん
おっしゃるとおり、特に「小浅謹製 明太子風味」は女性人気やお子様人気が高いんですよ。おにぎりに巻いて食べるのもいいし、お弁当に添えておいて、食べるときにごはんに巻くのもおすすめです。

—— こちらもやはりお酒に合いますね! ビールやキリッと冷やした白ワインが最高です。

「スナック海苔」の検索結果を見てみる

焼きバラ干し海苔

下村萌さん
最後に紹介するのは「焼きバラ干し海苔」です。

—— 板状ではなく、細かくちぎったような形なんですね。

下村萌さん
実は、これが海苔本来の形なんです。この小さい海藻を、板状に整形しているんですね。

—— ちぎっているんじゃなく、海の中ではこの形なんですね。

下村萌さん
まとめずにバラバラの状態で干しているので「バラ干し海苔」なんです。こちらも今までの海苔と同じように、有明海産の海苔を使っているので、風味も豊かで食感もいいんですよ。

—— ではいただいて……。確かに、香りがいいですね!

下村萌さん
ばらばらになっているので、サラダや味噌汁、麺類などに入れたり、お豆腐に載せたりと、料理の具材に使いやすいのが特徴です。

——なるほど。料理に使うんですね。

下村萌さん
特にサラダにかけるとドレッシング代わりになって、ドレッシングを使う量を減らせます。これは旨味と香りが豊かなバラ干し海苔ならではの使い方です。塩分を気にしている方にもおすすめですよ。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

のりの小浅(@norinokoasa)がシェアした投稿

「海苔たっぷり豚しゃぶサラダ」

—— それは良さそうですね! サラダを食べるときってついドレッシングをかけ過ぎてしまうから……。

下村萌さん
サラダ&焼きバラ干し海苔、ぜひ試してみてください。

—— これはやってみます!

「バラ海苔」を詳しく見る

ここまでたくさんの「最高の海苔」を教えていただいたのですが、中でも下村さんイチオシの海苔を知りたいです。

下村萌さん
そうですね……やはり全型焼海苔「金」でしょうか。店頭に立って海苔を販売するとき、「絶対に後悔しないので一度食べてみてください」と猛烈にプッシュしています(笑)。一度食べたら忘れられない味わいなので、リピーターの方も多いんです。

—— すごく分かります。私ももう戻れなさそうです!

下村萌さん
ありがとうございます! 海苔の沼へようこそ、ですね(笑)。

最高の海苔を最高においしく楽しむ方法

—— では、海苔を最大限に楽しむための食べ方や、おすすめの料理についても教えていただけますか。

下村萌さん
シンプルかつ王道ですが、やはりおいしい海苔はごはんに合わせるのが究極の食べ方だと思います。そして、せっかく良い海苔を食べるのでしたら、お米の方もグレードを上げていただきたいです。

楽天市場で「米」を検索してみる

—— ごはんを海苔で巻いて食べるの、おいしいですよね。やはりこれが究極ですか。

下村萌さん
ただ、それで終わるとシンプル過ぎるかもしれないので、私の自己流の食べ方もご紹介しますね。

海苔を買ったら、すぐにフードプロセッサーにかけて粉々にしてしまいます。粉状にすることで、いろいろな料理に取り入れられるようになるんです。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

のりの小浅(@norinokoasa)がシェアした投稿

この「海苔チヂミ」にも粉末にした海苔を使っています

他には、粉状の海苔をお椀に入れて、お湯を注ぐだけでスープが簡単につくれます。デザートにも使いやすくなるんです。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

のりの小浅(@norinokoasa)がシェアした投稿

粉末海苔をたっぷり使った「海苔パンナコッタ」

——そんな方法が……!

下村萌さん
パスタソースにしたり、オムレツに入れたりするのもおいしいですよ。こうすると海苔を大量に消費できるので、たくさん買い過ぎたというときにもおすすめです。

「フードプロセッサー」を詳しく見る

—— 通販だとつい大量に買ってしまうこともありますよね。他にも、海苔の保存方法や、長く保存した海苔をおいしく食べる方法について教えてください。

下村萌さん
保存については、当社の商品のように、購入した海苔の袋にチャックが付いているならその袋のまま保存するのがベストです。直射日光・高温多湿を避ければ、6カ月程度は常温で保存できます。

—— チャックがついていなかったらどうすればいいでしょうか?

下村萌さん
その場合は、できるだけ早いうちに食べきっていただきたいのですが、やはり密封できる容器で保存するのがいいと思います。

—— やっぱり開封したらできるだけ早いうちに食べるのが一番おいしいんですね。

下村萌さん
ちなみに海苔は、爪を立ててみて通らなければ湿気ているサインです。湿気てしまった場合は、オーブントースターで炙るとパリッとした質感に戻ります。ガスコンロで炙る方が多いのですが、ガスコンロは火に水蒸気が含まれるのであまり適していません。

—— ガスコンロでやるイメージがありました。オーブントースターの方が良いんですね。

高級な海苔は何が違う? 海苔について学ぼう!

——ここまでいろいろな海苔をご紹介いただき、実際に食べてみて、その違いに驚かされました。もっと海苔について知りたくなったので、ここからは海苔の基本的な知識について教えていただけないでしょうか。

下村萌さん
どうぞ、何でも聞いてください!

1.海苔はどうやってできるの?

  • 海苔の種を網につけて、海で育てる
  • 初摘は品質が良くて高価
  • 木の枠に入れて板状にし、乾燥させて完成

—— そもそも「海苔」って何なんでしょう? 私たちが食べる海苔はすでに加工されているわけですが、もとは海藻ですよね?

下村萌さん
そうですね。海苔は海藻です。海苔の産地では「海苔の種」を海苔網につけ、その海苔網を海に入れて海苔を育てています。

—— ということは大半の海苔は養殖物ということですか?

下村萌さん
そうなります。天然物の海苔は今はもうほとんど存在しないのですが、岩場に自生する岩海苔は天然物の海苔といえますね。

—— 海苔の種を網につけて、その後はどんな工程を経て海苔が完成するのでしょうか。

下村萌さん
網を海につけているうちに海苔が生長し、一定の長さになったら摘み取ります。このとき、根元の部分は残すようにします。

—— 全部を摘み取るわけじゃないんですね。

下村萌さん
海藻は、根元の部分から生長するため、ここを残しておくとまた生えてきて、再び収穫できるんです。海苔の摘み取りは6〜7回ほど行いますが、最初の方に摘んだ海苔は、より香りや風味・口溶けが良いとされています。

—— 収穫タイミングによって味わいが違うんですか!

下村萌さん
そうなんです。海苔の中でも「初摘み」と書かれている商品は、最初に摘んだ海苔だという証でもあります。

「初摘みの海苔」を詳しく見る

—— そんな違いもあったんですね……! そのあとはどうなるのでしょうか。

下村萌さん
摘み取った海苔は、木の枠に入れて形を整え、板状にして乾かします。そうして、なじみ深い「板海苔」が完成するのです。ちなみに現在はこの工程は自動化されています。

—— なるほど。加工とはいっても、何かを加えたりするというわけではなく、形を整えて乾かしていたのですね。ちなみに、海苔の生産時期はいつぐらいになるのでしょうか?

下村萌さん
産地によっても異なりますが、冬から春にかけて生産されます。我々のような問屋は、11月の終わりから5月の初め頃まで、海苔を買い付けています。

2.産地によって味は変わるの?

  • 海苔の味わいは産地と養殖方法の違いが大きい
  • 主な産地は有明海、瀬戸内海、伊勢湾、三河湾、東京湾、石巻湾など
  • 有明海と瀬戸内海で日本全体の約80%を生産している

—— 海苔によって香りも味わいも価格もまったく違うわけですが、この違いはどこから生まれるのでしょうか?

下村萌さん
産地と養殖方法の違いが大きいですね。例えば、今回ご紹介した海苔は全て有明海産のものです。

—— 有明海産の海苔は有名ですよね。他にはどんな産地があるのでしょう。

下村萌さん
主な産地には、有明海のほかに瀬戸内海、伊勢湾、三河湾、東京湾、石巻湾などがあります。もちろん、これら以外でも海苔は作られています。

—— 有明海産や瀬戸内海産はよく見るんですが、他にもたくさん産地があるんですね。

下村萌さん
そうですね。有明海では日本の海苔の約61%、瀬戸内海では約25%が生産されているんです。他にもあるとはいえ、どうしてもこの2つを目にすることが多くなると思います。

—— 産地によって味わいの違いは出るものなのでしょうか。

下村萌さん
やはり違ってきますね。例えば有明海には筑後川をはじめとした一級河川が流れ込み、山の栄養分を河川が海に運ぶことによって栄養豊富な海になっています。そこで育つ海苔は甘みが強く、豊潤な味わいになります。そういう意味で、大きな河川が流れ込む湾は海苔の養殖に向いているといえますね。

3.養殖方法にはどんなものがあるの?

  • 養殖方法には支柱式と浮き流し式がある
  • 支柱式ではパリッとした口溶けの良い海苔ができる
  • 浮き流し式では肉厚でしっかりとした海苔ができる
  • 用途に応じて異なる性質の海苔を使い分けるといい
  • 通販では産地(養殖方法)を見て買おう

—— 養殖方法にはどんなものがあるのでしょうか。

下村萌さん
海苔の養殖方法は大きく2つあります。まず、「支柱式」です。海に支柱を立て、そこに海苔網を固定して養殖します。

有明海の支柱式漁場(写真提供:小浅商事)
有明海の支柱式漁場(写真提供:小浅商事)

海は満ち引きがあるため、満ち潮の際には海苔が海水に浸かったり、引き潮の際には海面から出て乾燥したりを繰り返すことになります。この満ち引きの差で海苔の旨味が増し、口溶けの良い海苔になります。

—— 海面から出ちゃうんですか! それは面白いですね。

下村萌さん
一方で、「浮き流し式」という養殖方法もあります。浮き流し式は、海に浮かんだ浮きブイで海苔網を固定する方法です。

瀬戸内海の浮き流し漁場(写真提供:小浅商事)
瀬戸内海の浮き流し漁場(写真提供:小浅商事)

浮きブイは常に海水に浮かんでいますので、海苔網も常に海水に浸かった状態になります。ずっと海に浸かっているので海苔がよく育ち、肉厚でしっかりとした海苔になります。

—— 支柱式と浮き流し式で、まったく異なる海苔ができるのですね。

下村萌さん
そうなんです。そのため、用途に応じて異なる養殖法の海苔を使うようにしています。

—— そこをもう少し具体的に教えてもらえますでしょうか。

下村萌さん
支柱式の海苔は味わいも口溶けも良いのですが、柔らかくてすぐに溶けてしまいます。ですから、海苔巻きのように海苔を巻きっぱなしにする用途には向きません。ご飯に巻いたままにすると溶けてしまうからです。

一方の、浮き流し式の海苔はしっかりとしていて溶けにくいので、海苔巻きのような用途に適しています。

—— なるほど。それぞれの性質を生かした用途があるのですね。

下村萌さん
この2つの違いは、コンビニさんのおにぎりを想像していただくとわかりやすいかもしれません。コンビニさんのおにぎりにも2種類ありますよね。フィルムをとってパリッとした海苔を食べる直前に巻くタイプと、あらかじめ巻いた状態で売られているタイプのおにぎりです。

主に、支柱式の海苔は前者、浮き流し式の海苔は後者に使われています。

—— 確かに! いわれてみれば、それぞれの海苔の食感や味わいの強さはぜんぜん違いますね。この点は買うときにも注意した方が良さそうです。

下村萌さん
海苔を買うときには、「何に使うのか」という点を意識するといいと思います。先ほども申し上げたように、おにぎりや手巻き寿司のように巻いてすぐ食べるなら支柱式が向いていますし、巻き寿司などに使うなら浮き流し式がおすすめです。

—— それぞれの養殖方法は、産地によって異なるのでしょうか?

下村萌さん
はい。特に支柱式は遠浅で、干満の差がある海でなければできないので、産地によっては難しくなります。深いと、そもそも支柱を立てられないんですよ。

—— あっ、場所によっては不可能なんですね。

下村萌さん
例えば有明海はおもに支柱式で養殖をしていますが、瀬戸内海は浮き流し式がほとんどです。瀬戸内海は水深が深く、潮の流れが激しいところで養殖をしているため、支柱を立てられないんですよ。

—— 支柱式がメインの有明海、浮き流し式の瀬戸内海と覚えればいいんですね。

下村萌さん
はい。それで間違いありません。その他の産地に関しては、立てられるところでは支柱式を、そうでないところでは浮き流し式をと、両方やっていたりするところが多いです。

—— ということは、通販で海苔を買うときも、支柱式の海苔が欲しかったら有明海のものを、浮き流し式の海苔が欲しかったら瀬戸内海産を買えばいいのでしょうか?

下村萌さん
はい! それ以外の産地の海苔を買う場合には、パッケージをよく読んでみてください。

4.地域によって海苔の好みに違いはあるの?

  • 関東では焼海苔が好まれ、関西では味付け海苔が好まれる
  • コンビニのおにぎりを味付け海苔で巻いたときに、手がべたつかないよう片面の味つけ海苔が誕生
  • 関西では片面だと物足りないと、両面味付けに切り替えたところ大ヒット

—— 海苔の好みに地域差はあるのでしょうか? 関東では焼海苔が好まれ、関西では味付け海苔が好まれるという話を聞いたことがあります。

下村萌さん
一般的には、その通りです。関東は焼海苔が中心ですし、関西は味付け海苔が人気です。

—— なるほど……。ちなみに、味付け海苔の味がついてるのが両面か片面かという違いもあると聞いたことがあります。関西では両面に味がついており、関東では片面に味がついているそうです。この違いはどこからくるのでしょう。

下村萌さん
味付け海苔はもともと地域には関係なく両面に味をつけていたんです。ところが、コンビニさんでおにぎりを販売するようになってから、お客様から「おにぎりを食べるときに両面味付け海苔だと手がベタベタする」という意見が出たんです。そこで、片面だけの味付け海苔が登場したというわけです。

—— えっ、両面片面の違いはおにぎりがきっかけだったんですね! もっと昔からの風習なのかと思っていました。しかし、そうなると関西のコンビニおにぎりが今も両面なのはなぜですか?

下村萌さん
もともと味付け海苔が人気の関西ですと、むしろ片面しか味がついていないのは中途半端だと思う人が多かったようです。そこで、大手コンビニさんが両面味付け海苔を採用することにして関西地区で大ヒットしたそうです。

—— 面白いですね! まさかコンビニおにぎりが海苔文化にこれほど影響を与えていたとは……。

日本のスーパーフードである海苔を世界に広めたい

—— 最後に、海苔業界の現状や課題、今後の展望などについても教えてください。

下村萌さん
海苔の生産については、海の貧栄養化や海水温の上昇などが課題になっています。海苔が育ちにくくなっているのです。

—— 貧栄養化……?

下村萌さん
海中の栄養素が不足している状態を、海の貧栄養化と言うんです。

—— 栄養が減ってきているんですか。

下村萌さん
実は、昔の何でも川に流してしまっているときの方が、海を汚してしまうのですが流れ込む栄養分は多かったんです。今はきれいにしてから川に流しますよね。なので、環境的には良いことではあるし、正しいことではあるんですが、海の栄養そのものは減っているんです。このことが、貧栄養化につながっていると思います。

—— 川をきれいにするのはいいことだらけだと思っていましたが、そんなことになっているんですね。

下村萌さん
また、海苔業界に限りませんが、生産者の高齢化が進み、後継者問題も顕在化しています。

ただ、悪いニュースばかりではありません。海苔はいわば日本のスーパーフードであり、世界に目を向ければまだまだ巨大な市場が広がっています。世界中の方にアプローチできれば、海苔業界は活気づいていくはずです。私としては、海苔業界は大きな将来を秘めていると思っています。

—— 世界に目を向けられているのですね。応援します! 本日はありがとうございました!

■ ■ ■

小浅商事の下村さんにおすすめしていただいた海苔を食べて、決して大げさでなく海苔の見方が変わりました。

こんなにもおいしい海苔があったのか! と思いましたし、いろいろな人にぜひ食べてほしいとも思いました。おいしい海苔を知ってほしいという想いで情報発信を続けておられる下村さんの気持ちが少しわかった気がします。

高級でおいしい海苔は、なかなか手に入らないかもしれません。しかし、今はラッキーなことにお取り寄せができます。今回ご紹介いただいた最高の海苔も、お取り寄せできるんです!

もし、海苔なんてどれも一緒でしょ、と思っているのであれば、ぜひ一度“最高においしい海苔”を食べてみてください。

きっと、あなたの“海苔観”もひっくり返されるはずです。

聞き手・文:山田井ユウキ

海苔と一緒にお取り寄せしよう!

ソレドコでTwitterやってます!

公開記事や発掘ネタなど、あれやこれやつぶやいています!

今回紹介した商品

「全型焼海苔『金』」を詳しく見る
「全型焼海苔『銀』」を詳しく見る
「小浅謹製 バター風味」を詳しく見る
「小浅謹製 明太子風味」を詳しく見る

社会的責任[CSR]