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モンベルの高性能魔法瓶を持って山へ。沸かして半日経ったお湯でカップラーメンは作れるか?

ブロガー・OKPさんによる、モンベル高性能魔法瓶「アルパイン サーモボトル」の使用レビュー。その保温性はいかに? 冬山に持って行き、カップラーメンを作ってみました。

秋冬の登山では特に出番が多くなる「魔法瓶(保温・保冷ボトル)」についてご紹介します。

こんにちは、OKPと申します。夫婦共通の趣味として、数年前から登山を楽しんでいます。

今回は登山には欠かせないアイテムの1つである水筒を新調したので、皆さんにご紹介したいと思います。秋冬の登山では特に出番が多くなる「魔法瓶(保温・保冷ボトル)」です。

アウトドア用魔法瓶の定番に強力ライバルが出現!?

これまで登山・アウトドア向けの魔法瓶といえば、サーモス社の「山専用ボトル(通称・山専ボトル)」が超定番製品として君臨していました。

10年前の2007年に初代山専ボトルが発売され、その保温性能の高さから登山用魔法瓶のベストセラーに。現在は二世代目のモデルに進化しており、それがこの写真のものです。

サーモス社の「山専用ボトル(通称・山専ボトル)」

そんなアウトドア用魔法瓶の世界に2016年、注目の新製品が登場しました。それが、巫女さんの衣装を作っていたことでも知られる*1日本のアウトドア総合ブランド・モンベルから発売された「アルパイン サーモボトル」です。

凹凸のないスッキリしたデザインで、カタログ値では山専ボトルと並ぶ保温性能と軽さを実現。

性能の高さに加え、0.5Lモデルで3,500円(税別)、0.9Lモデルで4,500円(税別)という同種の製品では抜群のコストパフォーマンスもあり、アウトドア系メディアやブログでも注目を集めている製品です。

モンベル(mont-bell)から発売された「アルパイン サーモボトル」
私も早速アルパイン サーモボトルを手に入れました。その性能を見ていく前に、まずは普段の登山で私たちが使っている、様々な水筒をご紹介します

シーンによって色々な水筒を使い分けています

これが全てではありませんが、我が家では用途によっていくつかのタイプの水筒を使い分けたり併用したりしています。

普段の登山で私たちが使っている水筒
今回買ったアルパイン サーモボトルなどの高性能魔法瓶が、どのような位置付けになるのかを知っていただくためにも、簡単にその違いを紹介していきます。

ハイドレーションシステム

「ハイドレーション」はザック(リュック)に背負った水筒のタンクから、チューブで直接水を飲むことができるシステム。歩きながらいつでも水分補給できるのが特徴です。

単体の水筒やペットボトルは、ザックから取り出すのが億劫でつい水分補給が疎かになりがちなのですが、このハイドレーションを使うことで解決します。

ハイドレーション
私が思う弱点は、製品によって慣れるまではチューブのゴムの匂いがやや気になること。そして氷点下の気温では外に出したチューブ内の水が凍ってしまうことです。

ハードボトル/ソフトボトル

どちらもシンプルな水筒で、「ハードボトル」は金属やプラスチック製、一方の「ソフトボトル」は柔らかな素材で未使用時にはくるくる丸めて折りたたむことができます。水を飲む目的だけでなく、料理用の水を幕営地(テント場)で汲み置きする際などにも活躍します。

ハードボトル/ソフトボトル

以下の「ナルゲンボトル」は、口の広さと岩場でぶつけても壊れない頑丈さ、豊富なカラーリングもあって人気のハードボトル。液体はもちろん、行動食やお米、シリアルなど食料の運搬にも使うことができます。

ナルゲンボトル
この撮影のために用意したドライフルーツ&ミックスナッツは、山に行く前に食べ尽くしてしまいました……。

魔法瓶(保温・保冷ボトル)

そして、熱いお湯や冷たい飲み物を保温・保冷したまま携行するための魔法瓶。右側の2個はオフィスなどでも使ってる人を見かけるサーモスの「ケータイマグ」です。蓋を外さずに直接口を付けて飲めるので、何か行動をしながら温かい飲み物を飲む際に重宝します。

サーモスの「ケータイマグ」
そして左側2個がサーモスの「山専ボトル」。カタログ値によると、沸騰したお湯を入れてから6時間経っても77℃以上という高い保温力を持った、アウトドア用魔法瓶の定番製品です。
「テルモス」と「サーモス」

ところで、山を舞台にした小説などを読んでいると「テルモスのお茶」というキーワードを見かけます。このテルモスは魔法瓶のことを指しており、ドイツで誕生したテルモスというステンレス製魔法瓶が由来だそうです。以来、山の世界に限らず魔法瓶の代名詞として使われています。

そしてもうお分かりかと思いますが、このテルモスの英語読みが「サーモス(THERMOS)」というわけです*2。現在は日本のサーモス株式会社が商標を持ち、その製造販売を行っているようです。

今回の主役・モンベル「アルパイン サーモボトル」を買いました

さて、大変お待たせしました。各種水筒の役割を紹介した所で、今回の主役であるアルパイン サーモボトルの登場です。

購入したのは0.9Lサイズ。この他に0.5Lサイズもラインアップされていますが、そのサイズの山用魔法瓶は既に山専ボトルを持っていますからね。

購入したアルパイン サーモボトル

外観は非常にシンプルですが、冬用のオーバーグローブを付けた状態でも使いやすいように工夫されています。コップになる蓋、そして本体の底には滑り止めのシリコンパーツが付けられています。これらは取り外しが可能です。

あぐ味です。

蓋を開けると内栓が1つ。回してみると特に固すぎるという程でもなく、しっかりと止まって締まる栓になっています。

蓋を開けると内栓が1つ。

ちなみに現行の山専ボトルは、この内栓が2重になっているダブルスクリュー栓です。軽い力でも確実な栓の開け閉めができ、絶妙のトルク(回す力)でギューッと締まってピタリと止まる感触は老舗メーカーならではの使い心地です。

現行の山専ボトルは内栓が2重になっているダブルスクリュー栓。
どちらが良いと言えるものではありませんが、使用後のメンテナンスが容易なのはアルパイン サーモボトル、使用感の良さなら山専ボトルといった所でしょうか。

「アルパイン サーモボトル」の実力を確認してみた!

アルパイン サーモボトルの保温性能は、カタログ値で山専ボトルとほぼ同等のものとなっています。しかし、せっかくなのでフィールドで使う前に、これまで使っていたサーモスのケータイマグ(写真左)と山専ボトル(中央)、そしてアルパイン サーモボトル(右)でその実力を確認してみることにしました。

左からサーモスのケータイマグ、山専ボトル、アルパイン サーモボトルです。

※今回試したものはそれぞれ容量が異なります。同じモデルの魔法瓶でも、容量の大きな方が保温性能は上がるため、今回の計測に性能対決的な意味はありません


沸騰したお湯を各ボトルに注いでいきます。それぞれ同じタイミングで計測します。

沸騰したお湯を各ボトルに注いでいきます。

スタート時のお湯の温度はどの魔法瓶も98℃前後でした。

スタート時のお湯の温度はどの魔法瓶も98℃前後でした。

ここからさらに少々過酷な環境を課してみました。厳冬期登山の外気温(-10 ~ -20℃)に近い冷凍庫に放置してみましょう。

厳冬期登山の外気温(-10 ~ -20℃)に近い冷凍庫に放置してみます。

計測は5時間後と6時間後。我が家の一般的な日帰り登山を想定した場合、朝沸騰したお湯を注いでから、移動に1〜2時間、そして3〜4時間行動して昼食というのが1つの目安になるので、この位の時間帯が一番気になるというのが理由です。

結果は以下の通り。

製品名 注いだ直後の温度 5時間後の温度 6時間後の温度
ケータイマグ 0.35L 98.2℃ 65.4℃ 59.6℃
山専ボトル(FFX-500/0.5L) 97.6℃ 83℃ 80.1℃
アルパイン サーモボトル 0.9L 98.6℃ 86℃ 83.6℃

通常の魔法瓶であるケータイマグは、6時間後には60℃を切っていました……。ただし、カップラーメンを作ったりコーヒーを淹れたりすることは難しい温度でも、直接口を付けて飲むには丁度いい位。朝一に熱々の飲み物を注いで携帯していくなら、このタイプも悪くないでしょう。

そして、サーモス山専ボトル。0.5Lサイズながら、6時間経っても80℃とさすがの保温力です。フィールドで使って分かってはいましたが、やはり定番となるだけの実力を持っています。

サーモス山専ボトルは0.5Lサイズながら、6時間経っても80℃とさすがの保温力。

気になる新製品アルパイン サーモボトルは6時間後で83.6℃と、こちらも見事な保温性能を見せてくれました。この温度がキープされていれば、カップラーメンやコーヒーにも問題なく使えるでしょう。

新製品アルパイン サーモボトルは6時間後で83.6℃。
それでは、いよいよフィールドに持ち出してみましょう!

アルパイン サーモボトルをフィールドで使ってみた!

性能の高さが確認できたので、あとは実戦投入あるのみ。12月から1月にかけての週末、アルパイン サーモボトルや山専ボトルを持って、八ヶ岳登山に出掛けてみることに。

どの日の山行も好天に恵まれ、美しい樹氷や雪山を眺めながらのトレッキングとなりました。この時期、山の空気は本当に澄んでいて、夏山では見ることのできない光景が溢れています。

好天に恵まれ、美しい樹氷や雪山を眺めながらのトレッキングとなりました。

※(冬山)登山は適切な装備を持ち、余裕のある計画を立て、登山届けを提出した上で行いましょう。山岳保険の加入もお忘れなく


しかしこれだけ晴れていても冬山の気温は氷点下。冒頭で紹介したハイドレーションを使おうものなら、あっという間に飲み口やホースが凍ってしまいます……。

ハイドレーションの飲み口やホースは凍ってしまいました。

そんな中でもアルパイン サーモボトルや山専ボトルといった、高性能魔法瓶なら安心です。

実は先ほどのテスト結果をいきなり無視したような使い方をしてしまうのですが、この日は登山口の駐車場を確保するため、朝2時起きで家を出ていて、さらにお昼を食べるのは13時という時間になってしまいました。まさかの沸騰から11時間後……。

通常はこのようなコンロを使ってお湯を再加熱するのですが、アルパイン サーモボトルのお湯に口を付けたところ、思った以上に熱い。

通常はこのようなコンロを使ってお湯を再加熱します。

そこで「これはいけるのでは!?」と、沸騰から半日経ったお湯でカップヌードルを作ってみることにしました。

これで失敗したらかなり悲しいですけどね……。

沸騰から半日経ったお湯でカップヌードルを作ってみることにしました。

結果は見事に成功! たっぷり3分ちょい待ってみましたが(普段は2分半派です)、全く問題ないレベルでいただくことができました。山で食べるカップヌードルは不思議と美味しい!

結果は見事に成功! 全く問題ないレベルで頂くことができました。

今回買ったアルパイン サーモボトルは0.9Lという容量なので、2人分のカップヌードル+コーヒー2杯ぐらいは、これ1本で賄うことができます。

ちなみに、もの凄い強風が吹き付ける稜線や山頂では、うかつにグローブを外すことはできません。しかし、アルパイン サーモボトルや山専ボトルなら、蓋が開けやすくなっているので安心です。

結果は見事に成功! 全く問題ないレベルで頂くことができました。
結果は見事に成功! 全く問題ないレベルで頂くことができました。

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ところで、シンプルな白湯はカップラーメンや調理用はもちろん、飲料用としても体が温まってよいのですが、糖分補給にもなる甘い飲み物も登山のお供には最適です。

特に私が最近気に入ってるのが希釈タイプのカルピスやホットレモン。昨年、雨の中槍ヶ岳に登った際、山小屋で飲んだホットカルピスがあまりに美味しかったこともあり、以来すっかり山カルピスにハマってしまいました。

当時のブログ記事より……

P8180055.jpg

お盆後半に北アルプス槍ヶ岳へ行ってきた:雨の槍沢をひたすら歩いた1日目 - I AM A DOG

朝一に自宅で作ってケータイマグに入れていってもいいですし、このような小さいペットボトルに小分けしておけば、山で熱々のホットカルピスを作ることもできます。
小さいペットボトルに小分けしておけば、山で熱々のホットカルピスを作ることもできます。

甘い紅茶などと比べても口の中がベタ付きやすいので、飲料水代わりになるものではありませんが、ちょっとしたハイキングのお供や、休憩時にはぜひ試してほしい一品です。


また、余裕があるときならじっくり時間をかけるのもいいですが、80℃以上のお湯があればいちいち沸かさずとも、そのままドリップコーヒーを淹れることができます。

インスタントも悪くないですが、たまには気分を変えて挽き立ての豆でコーヒーを淹れてみてはいかがでしょう?

80℃以上のお湯があればいちいち沸かさずとも、そのままドリップコーヒーを淹れることができます。

秋冬は気温が低いため淹れてるそばからコーヒーが冷えていくので、やや慌ただしくなってしまいますが(漫画『岳』でお馴染みのパーコレーターなどもありますが)、山で飲む珈琲の美味しさは格別です。

そして、このときにあると便利なのが手挽きのコーヒーミルやワイヤータイプのコーヒードリッパー。これらは普段自宅でコーヒーを淹れるときにも使えるので、山コーヒーを楽しみたいなら揃えておいて損はないでしょう。

手挽きのコーヒーミル
私は山で使うために買ったコーヒーミルを、毎日のように自宅で使っています。

冬以外にも、登山以外のシーンにも使える!? 高性能魔法瓶

今回はたまたま季節が冬だったので、このような紹介になりましたが、秋冬に熱いお湯を運ぶだけが魔法瓶ではありません。夏に冷たい飲み物をキンキンに冷やして運ぶことだってできますし、お湯を沸かす手間が省けるのは季節を問いません。

お湯を沸かす手間が省けるのは季節を問いません。

アウトドア初心者のうちは自然の中でガスバーナーを使ってお湯を沸かすことに憧れたりするものですが、慣れてくると意外に面倒くさかったりするのがこの湯沸かし作業(笑)。

熱湯を使ったメニューは魔法瓶に任せて、バーナーは別の料理に使うなんて選択肢も増えます。パスタを茹でる際など、すぐに熱湯を使えることで捗る調理もあります。

沸かしたお湯を魔法瓶に入れておくことで行動しながらも常に熱々のお湯を携帯できますし、やむを得ずテント内でお湯を沸かすなどの作業を減らすこともできます。

常に熱々のお湯を携帯できます。

今回紹介したアルパイン サーモボトルや山専ボトルといった高性能魔法瓶は、登山やスノースポーツの他、釣りやキャンプ、スポーツ観戦など様々な場面で活躍してくれるアイテムです。

皆さんがこの記事を読んで「私ならこんなことに使ってみたい」「山以外でも使えそう」、そして何より「私も山に行ってみたい!」なんて感じてもらうきっかけになれば幸いです。

著者:OKP (id:OKP)

OKP

東京在住のフリーランス編集者/主夫。アウトドアと音楽、6年前に始めたカメラが趣味のアラフォー。ブログ「I AM A DOG」では、カメラや登山、日々の食事について書いてます。

Twitter:@iamadog_okp
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