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あんこ好きにおすすめのお取り寄せ和菓子【47都道府県網羅】

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47都道府県のあんこ菓子

こんにちは。ブログ「週刊あんこ」編集長のさとう祐介と申します。

三度の飯よりあんこが好き。「頭のてっぺんからつま先まで、あんこが詰まっている!」と自己紹介したくなる、あんこマニアです。

全国津々浦々、究極のあんこ菓子を求めて甘い「あんこ旅」を続けています。「週刊あんこ」を立ち上げ、約300軒の和菓子店、甘味処、和スイーツ店を取材してきました。食べたあんこ菓子の数は、ここ5年間だけでも優に1,000個を超えると思います。

47都道府県お取り寄せ「あんこ旅」へ

「お・と・り・よ・せ」。2020年3月、コロナのまん延などで県をまたいだ移動が困難になり、全国のおいしいお店に足を運びたくても運べず、先がまったく見えない状況にイライラがピークになりかけたとき、雲の合間からキラキラと舞い降りてきた言葉です。

ネット通販は想像以上に進化していて、これまでは不可能だと思っていた餅菓子や生菓子までお取り寄せできる時代になっているのです。それを知った私も、お取り寄せに熱中し、自宅にいながら楽しめる「あんこ旅」にハマりました。

今回はお取り寄せできる47都道府県のあんこ菓子を紹介します。何度も食べた素晴らしい逸品も、まだあまり知られていない地方のキラ星もありますよ。

47都道府県のあんこ菓子
全国から到着したあんこ、あんこ、あんこ!

全47種類のあんこ菓子は、私があくまでも個人的な好みで選んだもの。もちろんこれらは広くて深いあんこの世界のほんの一端にすぎません。

セレクトの際にこだわったのは以下の3点です。

  • 原則として国産小豆を使っている
  • いろいろな種類の菓子を紹介したいから、いんげん豆や栗、ずんだ(枝豆)なども「あんこ」の仲間と捉える
  • 基本は自家製のあんこで、できる限り無添加である

それでは、ゆるりとご自宅での47都道府県あんこ旅をお楽しみください。

あんこへの思いがあふれ過ぎて、かなりのボリュームになっています。以下の【目次】を参考に、地元や住んでいる地域、旅行したことのある都道府県、気になっているエリアだけでも楽しめる構成にしているので、確認してみてくださいね。クリックすると、読みたい都道府県にジャンプします。


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【北海道・東北エリア】

北海道:五勝手屋羊羹(五勝手屋本舗、江差町)

ようかんといえば基本材料は小豆だが、煉り(ねり)ようかんの「五勝手屋羊羹(ごかってやようかん)」は珍しい金時豆を使用。金時豆はいんげん豆の一種で茶色い煮豆としてスーパーなどでも販売されている。

🍡あんポイント🍡

  • ようかん……ようかんには主に「煉りようかん」「水ようかん」「蒸しようかん」の3種類があるが、私たちが一般的に「ようかん」と呼んでいるのは「煉りようかん」のこと。煉りようかんは寒天に砂糖と生あんを加えて煉りながら煮つめてから、流し固めたもの。

甘めだが金時豆独特の穏やかな風味が口いっぱいに広がる

明治3年(1870年)の創業時からほとんど変わらない製造法で、筒状の細長い紙の容器にようかんを流し込んでいる。赤を基調にしたデザインもおしゃれ。

お茶、コーヒーなんでも合うと思うが、私の楽しみ方を一つ紹介。夕食後などに、函館発祥の国産ウイスキーをちびちびとやりながらワイルドにかじる。頭の中に北国の星空が広がる……そんな気分になる。

青森県:久慈良餅(永井久慈良餅店、青森市・浅虫温泉)

「久慈良餅(くじらもち)」は「鯨餅(くじらもち)」が由来。蒸しようかんの一種で、津軽米の米粉にこしあんを加え、蒸し上げたもの。

🍡あんポイント🍡

  • 久慈良餅……名前の由来は諸説ある。鯨の脂身と色が似ていることから来たという説、保存が効く(幾久しく持つ、愛される)から来たという説がある。ルーツをたどると、京都方面から北前船経由で伝わったという説もある。山形にも漢字が一文字違う「久持良餅」があり、ほとんど同じものだと思う。

淡いグレーがかった小豆色の本体にクルミがポツリポツリと潜んでいて、食べるとひと口が二口、三口になる。甘さがとても薄い。それが逆に糸を引く。塩気が後からじんわりと来る。

フライパンで焼いてもいける。

岩手県:花巻温泉あんぱん(温泉ベーカリー、花巻市)

花巻温泉あんぱん

二つに割ると、つぶあんのかたまりに圧倒される。濃厚でねっとりしたあんこだが、甘過ぎない。塩気もほんのり。小豆の質よりも、とにかく量に圧倒される。

あんぱんの黄金比率は「生地4:あんこ6」という説もあるが、私のようなあんこマニアには「生地2:あんこ8」くらいが夢の比率。

この「花巻温泉あんぱん」がちょうどそのあたり。温泉地・花巻温泉のパン屋さん「温泉ベーカリー」のパティシエが新しい試みとして考案したもので、花巻温泉の新名物になっている。

宮城県:ずんだ餅(笠原餅店、大和町)

冷凍便で届いた笠原餅店のずんだ餅は、食べる前の予想よりもイケてた。

枝豆は「秘伝の枝豆(山形産)」、餅米は地場の宮城県産「みやこがね」を使用。きれいな餅と口の中で広がるずんだ(枝豆あん)の風味。ほんのりとにじむ塩気がとてもいい

仙台市内の老舗餅屋で初めて「ずんだ餅」に出会ったとき、あまりのおいしさに「ほお〜」とうなった。一目ぼれではなく一食いぼれ。そのときのことをつい思い出した。

🍡あんポイント🍡

  • ずんだ餅……丁寧に皮むきした枝豆に砂糖を加えて「ずんだずんだ」と突いてはすりつぶす。それを餅と一緒に食べるので「ずんだ餅」。ルーツは戦国武将・伊達政宗にたどり着く。政宗はグルメ大名としても知られる。ずんだ餅のエリアは政宗の領地とほとんど重なっているので、この説は正しいかもしれない。

秋田県:あずきでっち(TAKAYA、東成瀬村)

あずきでっち

「あずきでっち」とは、つぶあんともち米をこねて作るレアな郷土生菓子。こねるときに「でっちでっち」と音がするのでこの名前が付いたとか(諸説ある)。

あずきでっちがあるのは秋田でも東成瀬村が位置する東南端のエリアだけのようだ。私が最初に食べたのは秋田まであんこ旅をしたときで、道の駅「十文字」で出会い、衝撃を受けた。

現地まで行かないと味わえなかったあんこ菓子が冷凍便で購入できるなんてクールな時代になったものだ。

印象としては、極上のおはぎをこねて長方形に固めたような食感に近い。あんこともち米の融合。春風のようなみずみずしい余韻にしばらくの間、脳内が幸せホルモンで満たされてしまった。

山形県:じんだん饅頭(じんだん本舗大江、南陽市)

宮城では「ずんだ」だが、山形・蔵王周辺では「じんだん」。東北弁でも地域によって少しずつ違う。

甘さがほどよく抑えられ、熟成感のある素朴な風味がずんずんと前に出てくる。塩気の余韻がかすかに残るのも心地良い。

ずんだあんの「吹雪まんじゅう」なのだが、使われている枝豆が特別なもの。地元周辺でしか採れない、少し茶色がかった「幻のだだ茶豆」をゆでて皮むきしてから、ずんだと同じ製法で、砂糖を加えてすりつぶしている。

🍡あんポイント🍡

  • 吹雪まんじゅう……皮が薄く、中のあんこが見える様子が、岩肌に吹雪がかかったように見えることからこの名が付いた。

福島県:あわまんじゅう(奥会津河内屋、柳津町)

もし、まんじゅうの世界大会があったら、隠し玉として出場させたい一つがこの「あわまんじゅう」だ。

会津地方でも柳津町に伝わる独特のまんじゅうで、もち米と粟(あわ)で作られたもっちりとした黄色い皮と、たっぷり詰まったあんこが特徴。すぐ硬くなるので、現地に行かないと味わえない。それがとても残念だった。あれこれ調べていたら、冷凍便でお取り寄せできることが分かった。

手にくっつくような柔らかい粟餅は独特のえぐみがあって、それが魅力でもある。甘さ控えめなこしあんとの相性がとてもいい。極めてレアなまんじゅうだと思う。

🍡あんポイント🍡

  • あわまんじゅう……江戸時代(文政元年、1818年)の大火事で、柳津町にある円蔵寺の住職が災害に「あわないように」と祈願して地場の粟を使ってこのまんじゅうを作ったのが始まりといわれる。

【関東エリア】

茨城県:常陸風土記(丸三老舗、鹿嶋市)

「常陸風土記(ひたちふどき)」は、寒天とくず粉がようかん状の層となって、大粒の大納言小豆(北海道産)がぼこぼこと咲いている。あんこ心をぐいとつかまれてしまった。

しかも中にはとろけるような求肥(ぎゅうひ)餅。菓子ようじで口に運ぶと、求肥がぷるるんと揺れながら、柔らかな小豆の風味が口いっぱいに広がる。雑味がない。小豆好きにはたまらない。

🍡あんポイント🍡

  • 求肥……白玉粉または餅粉に砂糖や水飴を加えて練りあげたもの。

考案した6代目は若いときに京都の老舗和菓子店で修業し、鹿嶋に戻ったという。常陸の風土と京都の洗練が見事に融合している。

栃木県:酒饅頭(湯沢屋、日光市)

じんだん饅頭

酒(さか)まんじゅうにハマると、しばらく足抜けができなくなる(手作りの酒まんじゅうに限る)。私にとって、日光市にある湯沢屋の「酒饅頭」はその一つ。

つやつやした表面から酒種のいい香りがすっと立ち上がってくる。皮のもっちり感と中のこしあんが「絶妙」としか表現できない。

創業が文化元年(1804年)というレトロ感あふれる店の中のちょっとしたスペースで、ふかしたてを2個いただいたことがあり、それはもう格別のおいしさだった。お取り寄せもおいしいが、いつか現地で食べてみてほしい。

酒まんじゅうには生地を膨らませるためにこうじを使う。多くの店では手間がかからない酒粕などを使うのが一般的だが、湯沢屋は代々に渡ってこうじから作っており、全て手作業。完成するまで1週間ほどかかるとか。かすかに酸味があるが、これがまたたまらない。

群馬県:こんにゃくきな粉大福(つるまい本舗、沼田市)

群馬はこんにゃく芋の生産日本一の「こんにゃく王国」。群馬からは「こんにゃくきな粉大福」を紹介する。

小ぶりながら、こんにゃくペーストを練り込んだ餅の中に、つぶあんときな粉のペーストが入っていた。こんにゃくとあんこの相性は意外にマッチしている。こんにゃくの風味が確かにある。

レアもの好きにおすすめしたくなる大福の珍種だと思う。

埼玉県:いが栗まんじゅう(木村屋製菓舗、鴻巣市)

まんじゅうをお赤飯で包み込んだ北埼玉の郷土菓子「いがまんじゅう」。バラエティー番組で紹介されてから不思議系のまんじゅうになってしまった。

鴻巣市の老舗「木村屋製菓舗」はこれにひと工夫加えて、蜜煮した栗を丸ごと1個入れている。あんこは甘さを抑えたつぶあん。北海道十勝産の大粒小豆を使い、砂糖も最高級の鬼ザラメで仕上げている。

栗入りまんじゅうとふっくらと炊かれたお赤飯が見事にコラボしていて、甘さと塩気のバランスがとてもいい。日によっては午前中で売り切れるほどの人気商品となっているが、ふるさと納税でお取り寄せ可能だ。

千葉県:ぴーなっつ最中(なごみの米屋、成田市)

「ぴーなっつ最中(もなか)」の中には、ピーナッツペーストを加えた白あんがたっぷり。中に蜜煮した小さな落花生の粒が入っていて、クセになる食感と風味を生んでいる

米屋(よねや)は成田山表参道で明治32年(1899年)に創業している。栗ようかん元祖の店として知る人ぞ知る老舗。

平成に入ってから、新しい千葉土産を作ろうと研究し、試行錯誤の末に平成10年(1998年)、千葉産落花生を使った現在の「ぴーなっつ最中」を誕生させた。箱がかわいいのでプレゼントとして使っても喜ばれそう。

東京都:栗蒸し羊羹(龍昇亭 西むら、台東区・浅草)

浅草は和菓子の老舗が集まる有数のあんこエリア。

コスパも含めて私が選んだのが、菓子処としての創業が安政元年(1854年)の龍昇亭 西むらの「栗蒸し羊羹(くりむしようかん)」。

深い藤紫色の蒸しようかんに蜜煮した栗がぼこぼこと惜しげもなく入っている。口に運ぶと、栗のほっこりとした歯ごたえと蒸しようかんの口どけの良さがとても印象的。ベースにこしあんの存在感がある。

くず粉も使っているようで、それがワンランク上のおいしさを生んでいると思う。京都で修業した5代目の心意気も伝わってくる。

🍡あんポイント🍡

  • 蒸しようかん……小麦粉、水、小豆あんを混ぜて蒸す。江戸時代後期に寒天を使った煉りようかんが登場するまで、ようかんといえば蒸しようかんが主流だった。

神奈川県:あがり羊羹(北鎌倉松花堂、鎌倉市)

あがり羊羹の「あがり」は「上がり」で、主に徳川家などへの献上を意味する。

上質の蒸しようかんで、煉りようかんでもなく水ようかんでもない、不思議な食感がある。

北鎌倉松花堂の「あがり羊羹」のルーツは尾張名古屋で、材料は砂糖、小豆、小麦粉だけ。一見すると水ようかんだが、口に入れた瞬間、こしあんの風味と小麦粉がむっちりと舌に絡みついてくる。名古屋のものとほとんど同じ食感。

製法は今も「秘伝」。クール便で届いたら、賞味期限は約3日間。正座して食べたくなる。

ちなみに私が初めて食べたあがり羊羹は尾張徳川家御用達だった「美濃忠」の「上り羊羹」で絶品だった。

【北陸・甲信越エリア】

新潟県:笹団子(川上製菓、新潟市)

川上製菓 笹団子

新潟名物・笹だんごは、よもぎ餅(米粉)の中につぶあん(あるいはこしあん)を入れて、それを新鮮な2〜3枚の笹で包み、蒸し上げたもの。

新潟市から長岡市、三条市まで本場のものを7〜8軒ほど食べ歩いたことがある。店によって味わいは微妙に違う。よもぎの香りと濃い目のつぶあんがマッチしている

よもぎ餅が笹にくっつくと、はがすのにひと苦労するが、これは笹が3枚でほとんどくっつかない。お取り寄せで届いたら、笹がみずみずしいうちになるべく早く食べたい。

富山県:枠流し杢目羊羹(鈴木亭、富山市)

鈴木亭 枠流し杢目羊羹
鈴木亭「枠流し杢目羊羹」

鈴木亭の「枠流し杢目羊羹(わくながしもくめようかん)」は、きめ細やかな風味で、口どけがとてもいい。甘さは控えめ。

個人的にとても思い入れの深い煉りようかん。本数限定なので、定番の「杢目羊羹」より賞味期間が短い。

🍡あんポイント🍡

  • 枠流し……ようかん作りの伝統的な手法で、舟形(木枠)に練り上げたようかんを流し込んだもの。一昼夜ほど冷ましてから包丁で切り分けることが多い。

私はあんこにハマるあまり、あんこ菓子の歴史についてもあれこれと調べている。

江戸時代に流行った「名物番付」を見ていたら気になる存在があった。名物番付とは今でいうランキング番付で、当時は大関が最高位。その東方の大関に君臨していたのが「鈴木越後(すずきえちご)」で、徳川幕府公認の和菓子屋だった。鈴木越後は徳川幕府崩壊とともに暖簾をたたんでいる。

一体どんな味わいだったのか……。ただ空想するしかなかったが、あれこれ調べるうちに「鈴木亭」の存在にたどり着いた。「鈴木亭」の初代が江戸日本橋にあった「鈴木越後」で、ようかん職人として修業し、故郷に戻って「鈴木」の二文字をもらって開業したことも分かった。

5代目のお話では、ベースの煉りようかんの部分は「『鈴木越後』の当時のものとそう変わらないと思います」とか。つまりは江戸時代の名物番付トップの味である。出会えた感動で胸が高鳴りっぱなしだった。

石川県:きんつば うぐいす(中田屋、金沢市)

「きんつば うぐいす」は、大粒の青えんどう豆(北海道産)がぎっしりと詰まっていて、蜜煮したうぐいす豆独特の穏やかな風味が口いっぱいに広がる感覚がたまらない。うぐいすあん好きには特におすすめ

中田屋はきんつばの名店として今では全国区だが、この「きんつば うぐいす」は期間限定品(10月から5月末くらいまで)というのもくすぐられる。

春先に全国あんこ旅の途中で金沢に立ち寄ったときに出会ったのを覚えている。

福井県:水ようかん(錦梅堂、福井市)

水ようかん
錦梅堂「水ようかん」

福井では、冬にこたつに入りながら水ようかんを食べるらしい。

🍡あんポイント🍡

  • 水ようかん……私たちが一般的に「ようかん」と呼んでいる手間暇のかかる煉りようかんより比較的手軽に作れるようかんで、こしあんも寒天量も少なく、水分量を増やしたもの。

名店がいくつかあるが、創業が弘化4年(1847年)の老舗「錦梅堂」もその一つ。特徴は黒糖の風味。こしあんよりも寒天の存在が強め。あっさりした食感。後味がすっきりとしていて、清らかなおいしさ

厚さが約1センチと薄いのも特徴。切れ目が入っているので食べやすい。

錦梅堂は福井名物「羽二重餅(はぶたえもち)」の元祖としても知られる。

🍡あんポイント🍡

  • 羽二重餅……餅粉を蒸し、砂糖・水飴を加えて練り上げた上級の餅。食感が非常に柔らかい。

山梨県:くろ玉(澤田屋、甲府市)

澤田屋 くろ玉

最初に「くろ玉」を食べたときに「へえ〜」が3回ほど出た。最初は黒くつややかな、ピンポン玉より少し小さいある種の愛らしいお姿に。2回目はそれが黒糖ようかんだったことに。3回目は中のあんこに。

菓子ようじで切ったら、えんどう豆のあんこ(うぐいすあん)。食べると、穏やかで自然な風味がふわりと(こう表現したくなる)と口の中に広がった。「キミ、ちっちゃいけどすごいね」、そうささやきたくなってしまった。

この逸品がこの世に生まれたのが昭和4年(1929年)と知って、意外と古くからあることに驚いた。

長野県:開運老松(開運堂本店、松本市)

開運老松

「開運老松(かいうんおいまつ)」は淡い薄桃色のロール状。あんこ菓子らしくない見た目だと思った方も多いだろう。

よく見ると、確かに老いた松の木肌で、ひび割れまで入っている。中にはつぶあんが円筒状に詰まっている。よく見ると、ひび割れの間に松の実が点々と練り込まれている。

外側のしっとりとした生地は北海道産大手亡(おおてぼう、白いんげん豆)に上新粉と卵黄も加え、黄身しぐれのように仕上げている。かすかにシナモンの香り。一見シンプルだが凝った作りで、私のあんこ心がくすぐられてしまった

🍡あんポイント🍡

  • しぐれ……上新粉(うるち米)に小豆あんを混ぜ、裏ごしてから蒸したもの。黄身しぐれは白あんに卵の黄身を混ぜたもの。

【東海エリア】


<このエリアで紹介しているあんこ菓子>

岐阜県:栗柿(くり屋南陽軒、中津川市)

小ぶりな干し柿(市田柿)の中に栗あん(栗きんとん)をぎっしり詰めている。

干し柿の上品な甘さと素朴な栗あんのマッチングが特徴。自然な甘みがじゅわりと広がる。

栗の町・中津川の傑作和菓子で、栗あんは地場の栗を使用し、ふかしてから粗いメッシュでこし、上白糖だけを加えている。無添加なので開封したら早めに食べたい。

静岡県:黒大奴(清水屋、島田市)

楕円形のつややかな「黒大奴(くろやっこ)」は、北海道産小豆から炊き上げた自家製さらしあん(こしあん)をようかんで包み込んだあんこ菓子。実物を見ると分かるが、一般的なようかんよりもさらに黒い。これは昆布を使っているため。

ほのかな昆布の風味が、すっきりした味わいのこしあんと合わさると、駿河湾の心地よい潮風に吹かれているような気になってくる。

このお菓子を生み出した清水屋は「東海道五十三次島田宿に清水屋あり」とうたわれた老舗和菓子店。黒大奴は「小饅頭」(酒まんじゅう)と共に古くからこの店の目玉になっている。

愛知県:きよめ餅(きよめ総本家、名古屋市)

きよめ餅

京都を筆頭に金沢、松江が和菓子の三大メッカといわれるが、名古屋を忘れてはいけない。その奥の深さは街中を歩くとよく分かる。

熱田神宮の名物「きよめ餅」もその一つ。柔らかで伸びのある羽二重餅と中のこしあんのしっとりした風味がおいしい。食感と後味がとても良い。

江戸中期、天明年間に参拝客相手に人気を呼んだ「きよめ餅」を独自に再現したもの。

喫茶室「喜与女茶寮(きよめさりょう)」で生菓子と一緒に食べて、ちょっと驚いた記憶がある。

【近畿エリア】

三重県:太閤出世餅(太閤餅、伊勢市)

三重県には歴史のある餅菓子が多く、あんこマニア的には注目の県。

「太閤出世餅(たいこうしゅっせもち)」は、今も手焼きを続けている、うっすらと焼き色のついた小ぶりの餅。餅(佐賀産もち米)と中はつややかなつぶあん(北海道十勝産小豆)。大福餅を小さく平らにしたような味わい。ほんのりと塩気もある。

創業が永禄8年(1565年)という長い歴史を持つ茶屋で、和菓子好きの太閤秀吉が出世する前から立ち寄っては好んでこの焼き餅を食べていたという。

その頃から味を守り続け、レシピも材料もほとんど変えていない姿勢に「あっぱれ!」と言いたくなる。

滋賀県:あも(叶 匠壽庵、大津市)

丹波大納言をぜいたくに炊いた小豆ようかんの中に、とろけるような求肥餅が入っていて、口に入れたとたん大納言小豆の濃厚な風味が広がり、それが脳天に抜けていくような錯覚に陥った。

かなりの甘さだが、大納言小豆の柔らかな粒々感とつなぎの寒天がほろほろと溶けていく。小豆好きにはたまらない逸品だと思う。

デパートの売り場で買った「あも」を初めて食べたときの驚きは、今も舌に残っている。

🍡あんポイント🍡

  • あも……御所の女官言葉で「お餅」の意味。

京都府:幻のどら焼(笹屋伊織、京都市)

これがどら焼き? 見た目はクレープ巻きのようで、中のこしあんは甘さが控えめ。何層にも巻かれたどら皮はムニュッとした食感で薄甘い。

以前は一般販売もされていなかった。ゆえに「幻のどら焼」とも呼ばれていたもの。今では期間限定だが、お取り寄せできるようになった。

江戸時代末期、東寺*1の御用達だった「笹屋伊織(ささやいおり)」5代目が「お坊さんの副食として何か作ってほしい」と頼まれ、考案したもの。小麦粉を溶き、お寺にある銅鑼(どら)の上で薄く焼いて、中にこしあんを入れ、くるくると巻いたところ大喜びされたそう。なので「どら焼」。竹皮に包まれた姿が歴史を感じさせる。

あんこ菓子の激戦区・京都でこれを選んだのはそのレアさとお取り寄せが可能になったこと。和菓子界のシーラカンスと出会ったような気分(いい意味です)。

大阪府:いちご大福(一心堂、堺市)

平成から令和へと時代が進んで、いろんなフルーツ大福が誕生しているが、堺の一心堂はその最前線の一角にいる。

私がお取り寄せして一番気に入ったのが「いちご大福」で、つぶあん、白あん、ミルクあんと3種類ある。

中でも白あん。北海道産手亡(白いんげん豆)の白あんのすっきりとした味わいと完熟したいちご(主にあまおう)、それに手にくっつくほど柔らかな餅のバランスが絶妙だった。クール便で届くと、その日が賞味期限という鮮度へのこだわりがすごい。

兵庫県:丁稚羊羹(明植堂、明石市)

銀紙をはがすと、見事な小倉色の煉りようかんが現れる。

蜜がにじみ出ている。食感が煉りようかんと水ようかんの中間くらいの柔らかさで、北海道産小豆と寒天のバランスがとてもいい。歯がすっすっと入る。こしあんのみずみずしい粒子さえ感じる上質な味わい

丁稚(でっち)ようかんといえば、歴史的には上質とは言えない蒸しようかんや水ようかんが多いが、これは上質と言いたくなるおいしさ。なので、本来の丁稚ようかんとは違うかもしれない。そこが面白いので選んでみた。

こんなようかんをときどき食べられるなら、今さら遅いが、私も丁稚になりたくなってしまう。

🍡あんポイント🍡

  • 丁稚ようかん……その昔、京都で丁稚奉公をしていた若者が田舎に帰省するときに、主人から手土産として持たされたようかん。蒸しようかんや水ようかんが多かった。

奈良県:御城之口餅(本家菊屋、大和郡山市)

御城之口餅
「御城之口餅」を詳しく見る(※写真は旅行先で撮影)

御城之口餅(※写真は旅行先で撮影)

大和郡山市に400年以上の歴史を持つ本家菊屋の「御城之口餅(おしろのくちもち)」は私があんこ旅で出会った中でも「あんビリーバブル」な逸品。きな粉(国産)の香ばしさ、柔らかな餅(滋賀県産もち米)、つややかなつぶあんがおいしい。

現在のうぐいす餅よりもかなり小ぶりで、中のつぶあんは丹波産の高級小豆を蒸気で一気に釜炊きしたもの。

豊臣秀吉は大の和菓子好きだったようで、近畿地方にはその痕跡が多い。大和郡山城の城主だった秀吉の弟・秀長が、秀吉を迎えて茶会を開く際に「何か兄が喜びそうなものを作るように」と命じ、菊屋の初代・治兵衛が作り上げたのが、つぶあんを求肥餅で包み、きな粉をまぶした餅菓子だった。

大喜びした秀吉から「うぐいす餅と命名せよ」となったとか(菊屋に伝わるエピソードより)。ちなみに「うぐいす餅」は江戸時代になって「御城之口餅」へと名称が変わっている。ひょっとして徳川家に遠慮したのかもしれない。

私が暖簾をくぐったのは約7年ほど前。すごい歴史を感じる蔵造りの大店の店先でそのうぐいす餅の元祖を食べさせてもらった。タイムスリップ感があり、同時に秀吉の舌の確かさにも思いを致した。

和歌山県:太閤秀吉献上羊羹(総本家駿河屋、和歌山市)

太閤秀吉献上羊羹

太閤秀吉に関する和菓子はさまざま存在している。秀吉が大のあんこ菓子好きだったことがうかがえる。

この竹皮包みの蒸しようかんもその一つ。秀吉が好んで食べたという。

小麦粉が多めの、やや固めの素朴な蒸しようかんで、こしあんの風味がうっすらと広がる。蜜がにじんだ竹皮の香りが和菓子好きにはフィットしそう

【中国エリア】

島根県:薄小倉(桂月堂、松江市)

「薄小倉(うすおぐら)」は、蜜漬けした大納言小豆(北海道産)に錦玉(きんぎょく)を流し込み、じっくりと乾燥させた京菓子の一種。

🍡あんポイント🍡

  • 錦玉……寒天と砂糖を煮詰めたもの。錦玉かんとも呼ぶ。琥珀(こはく)かんもほぼ同じもの。

糖化した表面のシャリッとした歯触り。錦玉に閉じ込められたつややかな大納言小豆が口の中で広がる感覚。私のような小豆好きにはこたえられない

コーヒーを入れてから、じっくりと味わったら、改めてこの小さな長方形の小豆の錦玉かんの食感とビジュアルに恐れ入った。

鳥取県:ふろしきまんじゅう(山本おたふく堂、琴浦町)

明治元年(1868年)創業当時からの製法で作られた素朴なまんじゅうで、皮には沖縄産黒糖のほかに徳島産の和三盆(四国東部で伝統的に生産されている、国産高級砂糖の一つ)を使っているのが特徴。

風呂敷の形(四角っぽい)で平たくて小ぶり。中はこしあん。懐かしい味わいで、いい余韻がしばらく舌の上に残る。小豆は北海道産で、甘さを抑えているので、私的には何個でもぺろりといけそうになる。

コーヒータイムなどに手元に置くと、1個、2個、3個……と消えていく。

岡山県:大手まんぢゅう(大手饅頭伊部屋、岡山市)

「日本三大まんじゅう」と呼ばれるものがあるがご存知だろうか。柏屋(江戸時代後期創業)、塩瀬(室町時代創業)、伊部屋(江戸時代後期創業)が古くから作っているまんじゅうで、伊部屋の「大手まんぢゅう」はその中の一つ。1個約38グラムと小ぶりで、吹雪まんじゅうのようなお姿。

🍡あんポイント🍡

  • 日本三大まんじゅう……柏屋「薄皮饅頭」(福島県郡山市)、塩瀬「志ほせ饅頭」(東京都中央区明石町)、伊部屋「大手まんぢゅう」(岡山県岡山市)。

時間をかけて発酵させた酒種のほのかな香り、何よりも中に納まったこしあんのおいしさ。上質のあんこ玉を味わっているような錯覚にも陥る。舌に残る余韻もいい。

伊部屋の創業は天保8年(1837年)。備前岡山藩主が茶会にも使っていたという歴史がこのまんじゅうのすごみを教えてもくれる。

抹茶はもちろんだが、個人的にはコーヒーが合うと思う。

広島県:よしおのたい焼き(鯛焼屋よしお、安芸太田町)

「よしおのたい焼き」は広島の行列店。その味が冷凍便でお取り寄せできる。

レンジで温めてからオーブントースターで少し焼き直すのがおすすめ。外見だけであんこがぎっしり詰まっているのが分かる

中は濃いめのつぶあん(北海道産小豆を使用)。冷凍便でここまでのレベルを維持しているのがうれしい。オーブンに入れるときに水をシュッとかけて焼いた方が、地元で食べる味に近くなる気がする。

山口県:山口外郎(一閑、周南市)

外郎(ういろう)といえば、名古屋や京都、小田原が有名だが、正直に言うと、山口にもあることを知ったのはここ10年ほどのこと。

🍡あんポイント🍡

  • ういろう……漢字で書くと「外郎」。蒸し菓子の一種。一般的には米粉(うるち米)を使って、砂糖を加えて蒸している。

知ってすぐに、東京にある山口県の物産館で小豆の「山口外郎(やまぐちういろう)」を買いに行った。

なめらかでびっくりするほどもっちりした食感と、こしあんの風味が絶妙に融合。調べてみたら、わらび粉を使っていることが分かった。

名古屋や京都、小田原のものとはひと味違った味わいをお取り寄せできる。味は小豆と抹茶の2種類ある。

【四国エリア】

徳島県:小男鹿(小男鹿本舗冨士屋、徳島市)

明治3年(1870年)創業、冨士屋の蒸し菓子。

食感が蒸しケーキのようで、舌に残る気品が特徴的。淡いピンク色(こしあん)がかった長方形の中に、蜜煮した大納言小豆がポツリポツリと混じっていて、その名の通り、牡鹿の気高い姿を連想させる。

山芋、うるち米、小豆、和三盆など高価な材料を使っていて、上品な味わいに仕上げている。歯触りのしっとりとしたふかふか感がくすぐられる。

香川県:栗林のくり 大栗(湊屋、高松市)

湊屋 大栗

湊屋には「栗林(りつりん)のくり」というシリーズで4種類のサイズの栗まんじゅうがある。中でも、2代目が考案したというモンスター級の栗まんじゅう「大栗(おおぐり)」は想像を超える大きさだ。

左右約15センチ、重さはなんと約580グラム近くある。普通の栗まんじゅうの10個分はありそう。

中の白あん(手亡豆)は甘過ぎず、しっとりしていて、よく見ると栗のかけらも点々と混じっている。包丁で少し(と言っても大きい)切ってから食べると、白あんの穏やかな風味が立ち上がってくる。

何も知らずにもしプレゼントされたら、びっくりを通り越して、ひれ伏してしまうかもしれない。サプライズ効果も10倍くらいありそうな栗まんじゅうである。

愛媛県:じゅわっと島八朔大福(清光堂、今治市)

しまなみ海道に浮かぶ大三島産の「島八朔(しまはっさく)」を使ったフルーツ大福。

島八朔はシロップ漬けされているので、はっさく特有の乾いた苦みがある程度抑えられ、ほど良い甘さの白あんとのマッチングを十分に楽しめる。指で押すと餅の柔らかさがすぐに分かる。

私的に言わせてもらえば、これは人生の苦みを知った大人のフルーツ大福だと思う。

自然解凍したら賞味期限は翌日までと短い。すぐにコーヒーを入れて、瀬戸内海のきらめきを思いながら食べよう。

高知県:塩キントン(四万十ドラマ、四万十町)

四万十の地栗を芋ようかんのように固めたのが「塩キントン」。シンプルな紙箱に納まっていて、重さが90グラムほど。

🍡あんポイント🍡

  • きんとん……甘く煮た栗・いんげん豆などに砂糖を混ぜたもの。材料は小豆ではないが、広い意味であんこの仲間にした。

見た目は地味。渋皮も点々と混じっていて、一見おいしそうには見えない(失礼)。

だが、まるでつぶした栗をそのまま食べているような、素朴な風味が栗好きにはたまらない。龍馬を思いながら味わうのもいいかもしれない。

【九州・沖縄エリア】

福岡県:梅ヶ枝餅(やす武、太宰府市)

やす武 梅ヶ枝餅

福岡の太宰府天満宮といえば、「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」。梅の刻印が入った焼き餅で、門前町の名物になっている。

餅粉に米粉をブレンドした皮のパリパリ感と柔らかさ、中のつぶあんのふくよかな風味が大きな特徴

太宰府で7〜8軒を食べ比べたことがある。店によって少しずつ違いがあるが、いずれもはずれがない。この、やす武の「梅ヶ枝餅」は香ばしい餅も北海道産小豆を炊いたあんこも上質。

常温で解凍してからフライパンで軽く焼くと、太宰府天満宮の門前で食べるのとそう変わらなくなるので、お取り寄せした際はぜひ試してほしい。

▼「梅ヶ枝餅」この記事でも紹介されています▼
スイーツマニアに「何度もリピートしている」絶品お取り寄せを教えてもらった【スイーツ編】

佐賀県:特製切り羊羹 紅煉(村岡総本舗、小城市)

紅煉
村岡総本舗「特製切り羊羹 紅煉」

紅煉

私にとって、ようかんに関心を持つきっかけになった逸品

約15年前にさかのぼる。よく行く喫茶店のママさんから「このようかん、食べてみて」と言われて出されたのが村岡総本舗の「特製切り羊羹 紅煉(べにねり)」だった。

竹皮包みから取り出して切り分けてくれたようかんは紅色! しかも表面がうっすらと白く糖化していて、あちこちヒビが入っていた。

食べてみたら、糖化した部分がジャリジャリしていて、中はというと、柔らかい煉りようかんそのもの。「これはおいしい!」と思わずうなってしまった。

備中白小豆と北海道産大手亡(白いんげん)を使い、天然着色料で紅色に染めている。甘過ぎず、余韻も長い。歯触りと独特の食感がたまらない。

長崎県:かす巻き(藤田チェリー豆総本店、島原市)

あんこをカステラで巻くので「かす巻き」。長崎(主に壱岐・対馬地方)の銘菓で、店によって特徴がある。このかす巻きは表面にびっしりとザラメが付いていて、甘党にはこたえられない

🍡あんポイント🍡

  • かす巻き……カステラのルーツは戦国時代、ポルトガルから伝わった南蛮菓子。そのカステラ生地であんこ(つぶあん)をぐるりと巻いたのが「かす巻き」で、江戸時代からすでに存在しているようだ。

柔らかなカステラ生地と中のこってりとしたつぶあんが口の中でしっとりと混じり合う。ざらざらしたザラメの歯触りが心地良い。

苦めのコーヒーが合うと思う。

熊本県:いきなり団子(芋屋長兵衛、益城町)

「いきなり団子(いきなりだんご)」は厚み1センチほどのさつまいもとつぶあんを小麦粉の皮で包んだ、大地の匂いのする郷土菓子。ほっこりする味わいに心まで豊かになる

熟成さつまいも(紅はるかなど甘味が強い品種)と北海道産小豆を炊いたつぶあん、それに九州産小麦粉ベースのもっちり皮が口の中で合体する。

プレーン、紫芋、よもぎ……皮の種類も楽しめる。「自宅にいきなり来た客にもすぐ対応できる」ことから「いきなり団子」と名付けられた(諸説ある)。いきなりではなく、ゆったり食べたくなる。

▼「いきなり団子」この記事でも紹介されています▼
これぞまさに「行った味」! 熊本のいきなり団子を頼んだら、飾らない日常がそのまま届いた

大分県:六方焼き(松葉家、大分市)

六方焼き(ろっぽうやき)は、こしあんを小麦粉と卵で溶いた皮で四角く包み、その六面体を焼き上げた小ぶりの伝統菓子。

口に入れると、香ばしい風味と水分の少ないこしあんがどこか素朴で懐かしい

六方焼きは近畿地方や北陸地方がルーツのようだが、九州ではここだけだと思う。松葉家の初代が創業当時の昭和26年(1951年)ごろ、「大分にも名物菓子が欲しい」と考案したとか。

小さいのでついつい食べる手が止まらず、パクパクと食べてしまう。

宮崎県:なんじゃこら大福(お菓子の日高、宮崎市)

柔らかな餅の中にいちごと栗、それになんとクリームチーズが入っていて、濃いつぶあんがびっしり詰まっている。クリームチーズの塩気が甘めのつぶあんといちご、栗を絶妙につないでいる

誕生したのが昭和63年(1988年)と歴史も意外に古い。なので、大福のバラエティー化の先駆者とも言える。

賞味期限が短いので、クール便で届いたら、すぐに食べなければならない。家族や友人と「なんじゃこら」と話しながら明るく食べたい。もちろん一人でこっそり楽しんでも心が明るくなる。

鹿児島県:温泉かるかんまんじゅう(財宝、垂水市)

軽羹(かるかん)は米粉と山芋を使った蒸し菓子の一種。

「温泉かるかんまんじゅう」は淡雪のような白さ。中はこしあんで、小豆は北海道産を使用している。見た目もピュアだが、食感もみずみずしい

老舗の和菓子処が作っているだけあって、きれいに仕上がっている。

沖縄県:沖縄風ぜんざい(ホクガン、糸満市)

小豆ではなく金時豆と押し麦(大麦)を黒糖で甘く煮たぜんざいで、沖縄では冷たくして主に夏に食べるスイーツ

黒糖の甘い汁と金時豆のやや固めの食感、それに柔らかく煮込まれた押し麦が口の中に広がると、南国の風を感じる、沖縄独特のぜんざい。

寒い日はレンジなどで温めるのもいい。時間があれば、沖縄音楽を聴きながら食べたい。

お取り寄せ「あんこ旅」を終えて

北から南まで47都道府県のあんこ菓子を食べ終えて、ちょっと大げさかもしれませんが、あんこでできた連峰を登頂し終えたような、心地良い満足感に全身包まれています。

いくらあんこ好きといえども、飽きてしまうのではないかと一抹の不安がありましたが、そんな心配は無用でした。日本のあんこ文化の深さと奥行きは「やっぱりすごい!」と今さらながら感じ入ってます。

私の最初のあんことの出会いは、小学1年生のときに福島県会津若松市で食べた「串だんご」でした。おいしいこしあんと柔らかな餅が、今思うと、東京・日暮里の「羽二重団子」とよく似ていました。

以来うん十年。舌と心が欲するままに「あんこ旅」に出ては、豆大福、きんつば、どら焼き、ようかん、あんみつ、あんぱん、もなか、創作和菓子……と食べまくってきました。

あんこブログ発信のきっかけは6年ほど前に、8代続くローカルの和菓子店主との何気ない会話で「私の代で店を閉じます」の言葉に出会ったことでした。「私の代でおしまいですよ」。同じような言葉をその後も耳にしました。何かを吹っ切るような笑顔が逆に心に刺さったのです。

これではいけない! 日本の地図上からあんこ文化が一つ、二つと消えていくなんて! そこから一念発起。この素晴らしき世界をもっともっと発信すべきと小さく立ち上がった次第です。

今回の記事で「あんビリーバブルな世界」の一端を少しでも堪能していただければ、あんこライターとしてとってもうれしいです。

最後になりましたが、小豆にはポリフェノールが多く含まれ、食べ過ぎに注意すれば、スイーツの中でも指折りの健康食でもあります。適度に楽しんでいただければと思います。


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各地のスイーツをお取り寄せ

著者:さとう祐介

1日最低でも1品あんこ菓子を食べるのをモットーにしている。記者稼業のかたわら、あんこの魅力に取りつかれて、時間を見つけてはあちらこちらでつまみ食い。約5年前から本格的に全国和菓子店巡りをスタートさせた。コロナ禍以降はお取り寄せにもハマっている。「週刊あんこ」編集長としてディープな情報を発信、霧に包まれた「あんこ新大陸」を目指している。

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*1:正しくは教王護国寺。京都市南区九条町にある東寺真言宗の総本山の寺院。