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全国の食卓を知るヨネスケさんをうならせた、素晴らしき「駅弁」の世界。1,000個以上食べた駅弁愛を語ってもらった

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ヨネスケさんの駅弁

落語家のヨネスケこと桂米助さん。巨大なしゃもじを手に一般家庭へ侵入していく「突撃!隣の晩ごはん」で知られていますが、実は相当な「駅弁好き」でもあります。

これまでに食べた駅弁・空弁は1,000個超え! 自身のブログ「ヨネスケの駅弁!空弁!食べて答弁!!」にその記録を残し続けており、現在も精力的に更新されています。

2011年には、600食もの駅弁・空弁を紹介する書籍『ヨネスケの駅弁・空弁600選』を出版。全てを実食し、一つひとつを丁寧にレビューした本書からは、ヨネスケさんの駅弁愛が伝わってきます。

今回はそんな師匠に、

  • 駅弁の魅力はどこにあるのか
  • 自宅で楽しめる「お取り寄せ駅弁」
  • これまでに衝撃を受けた駅弁
  • ヨネスケさんの駅弁沼・駅弁流儀

を伺うべく、「突撃!」してきました。

※取材は、新型コロナウイルス感染対策を講じた上で実施しました

ヨネスケさん

ヨネスケさん

タレント/落語家。人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれている。 ワイドショー内の1コーナー「突撃!隣の晩ごはん」では、全国5,000軒以上の家庭をいきなり訪問した。
Twitter:@yonesuke51
ブログ:ヨネスケの駅弁!空弁!食べて答弁!!
YouTube:突撃!ヨネスケちゃんねる【落語と晩ごはん】

駅弁を通じて各地の名物を知ることができる

── ヨネスケさんは2008年から約15年にわたり、ブログで実際に食べた駅弁と空弁を記録し続けています。もう、全国の駅弁をほぼ食べ尽くしたのではないですか?

ヨネスケさん

ヨネスケさん(以下、ヨネスケ)駅弁と空弁を合わせると1,000個くらいは食べているかもしれませんね。でも、食べ尽くしたどころか3分の1も到達していないと思いますよ。日本全国の駅弁を数えたら3,000はきかないんじゃないかな

例えば鱒(ます)寿司一つとっても、富山には数十種類もありますからね。東京駅には卸さず、現地でしか販売していないものもあるから制覇するのは大変ですよ。

「ますのすし」を詳しく見る

── 不勉強で失礼いたしました。そもそも、駅弁の記録を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

ヨネスケ:他の人がなかなかできないことをブログに残していきたいと思ったんです。それが駅弁じゃないかと。

僕は公演で年間100カ所以上は地方に行くので、行き帰りで買うと200個の駅弁を食べられる。だったら、これを記録していこうって。

同じものは二度買わないと決めているんだけど、1,000個も食べていると前に食べたことがあるのを忘れちゃいますね(笑)。

駅弁パッケージ

── 「年間100カ所以上は地方に行く」ということですが、やはり地域によって駅弁の特性も違いますか?

ヨネスケ北海道や東北、北陸なんかはやっぱり海の幸が中心ですよね。ホタテやウニ、数の子、牡蠣といった魚介類の使い方が抜群です。

一方、山が多い地域では豚や牛、鮎などの川魚、山菜をうまく使っています。もっと細かく言えば、名古屋は肉系が多い印象、大阪は突拍子もない変わり種の駅弁も多いと感じます。大阪城を形どった容器の中にたこ焼きが入っていたりしてね。やはり地域ごとに特徴がありますよ。

浪速なんでも大阪弁当「浪速なんでも大阪弁当」(ヨネスケさんのブログより)

── そうした地域ごとの食文化が楽しめるのも駅弁の魅力ですよね。

ヨネスケ:そうですね。函館のイカ、瀬戸内海の鯛、明石のタコ、鹿児島の豚、熊本・球磨川の鮎など、駅弁を通じて各地の名物を知ることもできますから。

ただ、このご時世ですし、そんなにしょっちゅう旅行できないよという人は、近場の大きな駅で駅弁を買って楽しむのもアリです。例えば、東京駅の駅弁専門店「祭」では各地の有名駅弁が売られています。商品も入れ替わるから、行くたびに楽しみがありますよ。

ただ、ここは西日本の駅弁が少ないですね。おそらくJRが東と西で分かれているからなんだろうけど。

他にも、名古屋や姫路、大宮、意外と米原なんかにもいい駅弁があります。降りる客が多い、大きい駅や乗り換えの駅はやっぱり駅弁も充実している印象ですね。

── 駅で買うのがベストなんでしょうけど、お取り寄せという手段も今はありますよね。次は、実際にお取り寄せできる駅弁について、ヨネスケさんの感想をお伺いしたいと思います。

「駅弁」を詳しく見る

あの人気駅弁も。コロナ禍でも楽しめる「お取り寄せ駅弁」

── コロナが広がって以降、駅弁をお取り寄せして自宅で旅気分を楽しむ人も多いようです。お取り寄せできる駅弁で、ヨネスケさんがブログで紹介されていたものを用意してみました。

お取り寄せ駅弁

ヨネスケ:パッケージを見ると記憶がよみがえってくるものもありますね。

── それぞれの特徴と感想を教えてください。

【1】元祖森名物 いかめし(阿部商店)

地域:北海道
ポイント
・元祖いかめし、函館本線森駅の名物駅弁
・阿部商店は明治36年創業、当時から変わらぬ味と伝統を守り続けている
・全国のデパートなどでも実演販売を展開している人気商品

ヨネスケ:これはもう、言わずと知れた駅弁でしょう。甘い味付け、餅米とうるち米が絶妙に混ざったバランス、全てが最高です。値段も安いしね。

「いかめし」

ちなみに、旅のお供として駅弁を食べるのが僕のポリシーだけど、これだけは小田急百貨店で駅弁フェアをやっていたときに2〜3個買ってしまったことがあります。阿部商店の社長に挨拶しに顔を出しただけなんだけど、我慢できなくて(笑)。

【2】ますのすし(源)

地域:富山県
ポイント
・富山県の伝統の味、駅弁の「西の横綱」
・脂ののった鱒、緑が濃く香りの良い国産笹など、味と色彩が調和
・パッケージのますの絵は、文化勲章を受賞した中川一政画伯の作品

ヨネスケ:先ほども話した通り、富山の鱒寿司は種類豊富で、お店ごとに味が違います。富山でしか売ってないものもあって。これは鱒が上にありますが、鱒が底に敷いてあるものもあるんです。

「ますのすし」

源の鱒寿司は、脂が乗っていておいしいですね。

ぶり寿司も一度に楽しめる駅弁「ますとぶり」はブログでも高評価でした。ぶり寿司には隠し味に昆布と生姜を使ってあって、かぶらが乗っている。ぶりの脂っぽさと、かぶらのさっぱり感が相性抜群でしたよ。

ますとぶり「ますとぶり」(ヨネスケさんのブログより)

【3】ゐざさ 柿の葉寿司(中谷本舗)

地域:奈良県
ポイント
・柿の葉で一つひとつ包まれた、奈良・吉野の伝統的なお寿司
・薄く切ったネタをシャリと合わせて柿の葉で包み、重しをかけて寝かせている
・中谷本舗は大正10年創業、2021年に創業100周年を迎えた

ヨネスケ:奈良の駅弁ですが、なぜか山梨の甲府駅で買って食べました。柿の葉寿司といえば奈良のイメージだったので意外な出合いでしたね。

「柿の葉寿司」

中には鯛、鮭、鯵、鯖、海老の寿司が2つずつ入っています。醤油を付けずに食べると柿の葉の香りがより感じられ、品のあるやさしい味わいでおいしいです。

柿の葉寿司は電車の中で簡単に食べられるのがいいんですよね。夜だとちょっと物足りないかもしれないけど、朝だと軽くてちょうどいい。

【4】吾左衛門鮓(ござえもんすし)(米吾)

地域:鳥取県
ポイント
・昔ながらに昆布を巻いたままで食べられる
・昆布は最高級品とされる北海道・道南産の真昆布を使用
・米吾は、米子駅で構内販売の許可を得た明治35年を創業としている

ヨネスケ:厚めに切られた鯖の上に北海道産の昆布が巻かれています。これと酢飯の三味が一体となっていて、本当においしいです。

「吾左衛門鮓」
醤油付きと笹塩付きがある

これも醤油をかけずに食べたいですね。鯖の適度な脂身がより感じられて、お腹をしっかり満たしてくれます。


それにしても、こんなにお取り寄せできるようになってるのは驚いたね。

ヨネスケさんが衝撃を受けた駅弁、感動した駅弁は?

── ヨネスケさんがこれまでに食べた駅弁の中で、特に印象深いものを教えていただけますか。

ヨネスケ:最も衝撃を受けたのは高知駅の「かつおたゝき弁当」(安藤商店)です。

かつおたゝき弁当「かつおたゝき弁当」(ヨネスケさんのブログより)

普通、駅弁で生ものは出さないんですけど、これはレアに炙ったカツオのたたきが入っています。カツオの下に保冷剤が敷いてあって、玉ねぎとにんにくのスライス、ねぎも散らしてあります。それに柑橘を絞って食べるんです。こんなに本格的なんだと、本当に驚きましたね。

それから、熊本駅や博多駅などで購入できる「鮎屋三代」(頼藤商店)

鮎屋三代「鮎屋三代」(ヨネスケさんのブログより)

ふたを開けると、大きな鮎の甘露煮が一本、ドーンとご飯の上にのっています。甘露煮の味付けもちょうどよく、鮎の味もしっかり感じられる。頭も骨も食べられる柔らかさです。

意外なところでは千葉駅ですね。「万葉軒」の駅弁はどれも安くておいしいんだけど、中でも「やきはま丼」と「トンかつ弁当」が好きです。

やきはま丼「やきはま丼」は蛤の形をした器(ヨネスケさんのブログより)

やきはま丼は陶器でできた蛤の器に、焼いた蛤、煮た蛤、白焼きと蛤づくしです。ふるさとの市原で子どもの頃に食べた煮蛤の味を思い出しました。

やきはま丼開けると蛤がぎっしり(ヨネスケさんのブログより)

── どれもおいしそう……。

「カツオのたたき」を詳しく見る
「鮎の甘露煮」を詳しく見る
「煮蛤」を詳しく見る

いい駅弁とは? 「冷たくてもおいしい」が駅弁の鉄則

── ヨネスケさんのブログでは、しゃもじの数で駅弁を採点していますが(満点は5しゃもじ)、評価する際のポイントを教えてください。

ヨネスケさん著書『ヨネスケの駅弁・空弁600選』でも、しゃもじの数で採点

ヨネスケ:味はもちろんだけど、値段も大事です。たまに重箱に入った2万円くらいのやつを見かけるけど、そりゃおいしくて当たり前だろうと。

今は全体的に駅弁が値上がりしてて、1,300円くらいするものも多いですよね。年に数回の旅行ならそれでもいいけど、出張が多いサラリーマンには厳しいじゃないですか。

理想は駅弁とお水を買って、1,000円でお釣りがくるくらいがいい。だから僕もJALの空弁を監修したときは、価格をできるだけ抑えて750円にしてもらったんですよ。

── 確かに、昔ながらの名物駅弁などはあまり値上げをしていないイメージです。

ヨネスケ:そうですね。お取り寄せ駅弁でも紹介した函館本線森駅の「いかめし」なんて、数年前にやむを得ず値上げするまで650円でしたから(※現在は1箱780円)。

── 価格以外の評価ポイントは何でしょうか?

ヨネスケ冷たい状態で食べてもおいしいこと。これは駅弁の鉄則で、最も大事なことかもしれません。

たまに、パッケージに「電子レンジで温めて食べてください」って書いてあることがあるんだけど、あれはどうかと思うよ。おいおい、駅や新幹線でどうやってチンするんだよって(笑)。言っちゃ悪いけど、温めれば大抵のものはそりゃおいしいよ。

── ひもを引っ張ると温かくなる容器もありますよね。

ヨネスケ:個人的には、それをしなくてもおいしくなるよう工夫された駅弁が好きですね。

幕の内弁当の“三種の神器”は「卵焼き」「焼き魚」「かまぼこ」といわれているけど、これらは全て冷めてもおいしいおかずだから。崎陽軒(横浜)の「シウマイ弁当」にも、シウマイが主役ながら三種の神器もしっかり入っていますよ。

「卵焼き」を詳しく見る
「焼き魚」を詳しく見る
「かまぼこ」を詳しく見る
「崎陽軒のシウマイ」を詳しく見る

ヨネスケさんの駅弁流儀「品川を過ぎてから食べてほしい」

ヨネスケさん

── 必ず現地の駅で買って食べるのがヨネスケさんの流儀だそうですね。百貨店の駅弁大会などでは買わないと。

ヨネスケ出発の駅と目的地の駅で買い、それぞれ行き帰りの電車の中で食べるのがポリシーですね。

ちなみに事前に何を買うかは決めていないし、調べたりもしません。駅弁売り場の雰囲気を見て、お店の人に名物なんかを聞いた上で買うようにしていますね。そうやって駅弁を選ぶのも、旅の醍醐味です。だから、地方に行ったら景色を見る前にまず駅弁をチェックしてほしいですよ。

── 食べるシチュエーションなどにこだわりはありますか?

ヨネスケ:例えば東京から大阪へ行くとき、東海道新幹線から見える富士山を見ながら食べるのがいいよね。たまに乗車してすぐ弁当を開く人がいるけど、せめて品川あたりを過ぎてから食べてほしいですよ。東京駅を発車してすぐの、あんなビルの谷間の風景じゃ旅気分も何もないでしょう。

「駅弁」を詳しく見る

旅先の風情とともに味わう駅弁

── 確かに、せっかくなら旅情を感じながら味わいたいです。

ヨネスケ:でも、今はまだ難しそうですよね。僕も去年から今年にかけては、ほとんど駅弁を食べていません。コロナでほとんどの公演がキャンセルになってしまいましたから。

一時期は、東京駅の駅弁売り場の商品も激減しました。今はだいぶ戻りましたけどね(※取材は2022年1月初旬に実施)。

── また自由に気兼ねなく旅ができるようになればいいのですが……。

ヨネスケ:本当にそう。やっぱり駅弁は風情も味わうものですから。

風情といえば、熊本の人吉駅や新潟の直江津駅には今も駅のホームで弁当の立ち売りをしているおじさんがいるんですよ。ブログに写真も載せたけど、あれは感動しましたね。

ヨネスケさん

そういう昔ながらの駅弁の風景を体感できるのも、旅に出てこそ。ああ、早くまた現地で駅弁を食べたいなあ。

── ヨネスケさんのお話を伺って、僕も駅弁が食べたくなりました。いつかまた不自由なく旅行できる日を待ちつつ、今はお取り寄せ駅弁で旅気分を味わいたいと思います。今日はありがとうございました!

\最後にCMです/
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「ふるさと納税 駅弁」を詳しく見る

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著者:榎並紀行(やじろべえ)

1980年生まれ。ライター、編集者。編集プロダクション「やじろべえ」代表。アメリカで生まれたりしましたが英語は話せません。ぽっちゃりしています。

Twitter:@noriyukienami
やじろべえ:https://www.yajirobe.me/

撮影:関口佳代

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今回紹介した商品

「阿部商店のいかめし」を詳しく見る
「源のますのすし」を詳しく見る
「中谷本舗の柿の葉寿司」を詳しく見る
「米吾の吾左衛門鮓」を詳しく見る