それどこ

ぼっち旅マンガ『ぱらのま』のおかげで、東京のそこらじゅうにある短い坂を愛でたくなった(「スゴ本」中の人)

ご当地マンガ

知らない街の風景をのぞける「ご当地マンガ」連載。

マンガの沼の住人たちに、「縁もゆかりも、それまで訪れたこともなかったけど、その作品を読んでその地域へ訪れたくなった作品」をセレクトしてもらいました。旅の予習にマンガはいかがでしょうか。

第3回は『ぱらのま』を「スゴ本」のDainさんが紹介。東京の坂と階段をめぐるエピソードで、目的地の一つ手前で降りて散策するぜいたくに目覚めたといいます。
【マンガ沼の住人が推す「ご当地マンガ」】連載

「今月の選出者/今月の作品(街)」として毎月1作品を紹介していきます。

こんにちは。「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」を運営する、Dainです。

『君の名は。』で二人がすれ違う階段、あの階段が見たくて須賀神社(新宿区)に行ったことがある。

……なんかこう、思ったより普通な感じだった。

何度も映画で見たシーンを、実際に目の当たりにして、初めてなのに懐かしい不思議な感覚に浸る一方、高低感とか空間の広がりが違っていたので、「んー?」という印象だった。

「君の名は。」を詳しく見る

このモヤり具合、『ぱらのま』(kashmir著、楽園コミックス)で同じことを言い当てられていて笑った。私だけじゃなかったので安心した。


『ぱらのま』
『ぱらのま』
©kashmir/「楽園」/白泉社
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『ぱらのま』
『ぱらのま』第4巻 Line.E (p.88)より ©kashmir/「楽園」/白泉社

『ぱらのま』は、きれいなお姉さんが、ぼっち旅を楽しむマンガだ。

いわゆる名所探訪はせず、行き先もアドリブで変わったりして、無計画な計画が面白い。ソロ・ブラタモリ的なご当地ウンチクも楽しく、Google Mapsと並べて読むと、家にいながらにして行った気分になれる。

階段の話に戻る。

お姉さん(主人公なのに名前がない)によると、坂の町なら尾道や長崎の方がすごいんだけど、東京は短い坂がそこらじゅうにある。舌状(ぜつじょう)台地というらしい。なので、「いい感じの階段」だったり「どこかで見た坂」がたくさんある

では、どんな坂や階段が、「いい感じ」なのか?

『ぱらのま』
『ぱらのま』第4巻 Line.E (p.91)より ©kashmir/「楽園」/白泉社

お姉さん(ポニテの方)の案内で、都内の階段・坂めぐりになる。

四ツ谷エリアの津の守弁財天の辺りを振り出しに、新宿区舟町の名無しの階段、曙橋の念仏坂、文京区の階段を踏破する。飲み会の帰りに迷い込んだり、深夜番組の「全力坂」で見たことがあったりで、記憶の底を刺激する。知らないのに懐かしい。

考えてみると、東京では「谷」とか「坂」が付いた地名をよく見かける。渋谷、日比谷、千駄ヶ谷とか、赤坂、乃木坂、富士見坂とか(特に富士見坂ってあっちこっちで見かける)。東京23区の坂道というサイトもあるくらいだし。

富士見坂と日無坂
富士見坂(右)と日無坂(左)

都内を歩くときは、たいてい、打ち合わせとかイベントとか、駅から目的地までの移動になってしまう。だが、お姉さんのおかげで、目的地の一つ手前で降りて散策するぜいたくに目覚めた。『冴えない彼女の育てかた』の探偵坂(豊島区)や、『耳をすませば』のいろは坂(多摩市)にも行ってみたい。

「東京のガイドブック」を詳しく見る
「冴えない彼女の育てかた」を詳しく見る
「耳をすませば」を詳しく見る

お姉さんは一人旅の達人らしい。東京の坂だけでなく、日本全国の地理や交通機関に造詣が深く、電車やバスを乗り継いで、街歩き・温泉めぐり・食べ歩きにいそしんでいる

他にも、うどん県の攻略法とか、東伊豆と西伊豆の歩き方の違いとか、横に長い静岡県で途中下車するなら何線に乗るのが最強かとか、JR乗らずに名古屋からに関西に行く方法とか、工場好きの工場の定義とか面白い。

『ぱらのま』
『ぱらのま』第1巻 Line.06 ½ (p.139)より ©kashmir/「楽園」/白泉社

読むと出かけたくなる。でもどこへ出かけるかは、乗ってから考える。そんな気分にさせてくれる作品だ。

【マンガ沼の住人が推す「ご当地マンガ」】連載

「今月の選出者/今月の作品(街)」として毎月1作品を紹介していきます。

おうち時間にマンガを読もう!

著者:Dain(スゴ本の中の人)

年間100冊読書する『スゴ本』中の人。ソレドコでは「10年前の自分に読ませたい本」などのテーマで、おすすめの本を寄稿。

『わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる』(Dain著、技術評論社):「人生は短く、読む本は多い」「本棚を無限にする方法」「『あとで読む』はあとで読まない」「運命の一冊をモノにする方法」など、本好きの、本好きによる、本好きのための一冊。

ブログ:わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
Twitter:@Dain_sugohon

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