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高知の「カツオ文化」に存続の危機!? 魚をさばくアイドル・川村文乃と考える「カツオの未来」

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アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る

みなさん「高知県」といえば何をイメージしますか? …………そう、カツオですよね(断定)。

突然失礼いたしました、高知旅行の際に食べた「カツオの塩たたき」が衝撃的なおいしさで10年たっても忘れられないソレドコ編集部員です。

しかし、実はここ数十年、高知沖(土佐湾)ではカツオの漁獲量が激減しているということはご存じでしょうか。

もともと高知では、竿で1本ずつカツオを漁獲する「一本釣り」が根付いており、限りある水産資源を大事にしながら漁や地元の食文化を守ってきました。


カツオが飛んでるみたい……次々釣り上げられる、迫力満点な一本釣りの様子

が、さまざまな理由で漁法そのものの存続が危ぶまれており、このままでは「高知のカツオ」文化が途絶えかねない危機を迎えているそうなのです。

これからもずっと「高知のおいしいカツオのたたき」を食べるにはどうしたらいいのかを真剣に考えるべく、高知&カツオのことならこの人! な、川村文乃さんにご協力いただきました!

10歳から地元・高知の魅力を発信。特技はカツオをさばくこと

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る

川村文乃(かわむら・あやの)

1999年7月7日生まれ。高知県出身。ハロー!プロジェクトの人気グループ「アンジュルム」でサブリーダーとして活動中。高知県観光特使、高知市PR大使にも任命されている。愛称は「かわむー」。
公式サイト:アンジュルム Instagram:@ayano_kawamura.official

川村さんは10歳のときにカツオを含む高知の魚をPRする「高知県おさかなPR大使」第1号に任命。その後、ご当地アイドルとしても活動し、高知やカツオの魅力を精力的に発信してきました。

特技は「カツオをさばくこと」。小学校4年生の頃に初めて魚をさばき、中学1年生のときにはカツオがさばけるように。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る

自宅でカツオをさばく川村さん。この後は自家製の「たたき」を楽しんだとのこと(画像はオフィシャルブログより)

魚をさばくことそのものに“楽しさ”を感じていた川村さんは、2021年、全国鮪解体師協会の「1級マグロ解体師」試験を受け、合格。初の女性合格者ということでTwitterのトレンドに上がるなど話題を集め、“頑張るところを間違っているアウトなアイドル”としてバラエティ番組「アウト×デラックス」にも出演しました。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る

楽しそうにマグロを“解体”する川村さん(画像はオフィシャルYouTubeより)

ソレドコ編集部
……と早口で川村さんと高知、そしてカツオとの関係を語りましたが(ゼイゼイ)、今回川村さんには読者が「高知のカツオの未来」を学ぶための“案内役”になっていただきたく!

お話は地元・高知で長年カツオ漁の取材に取り組んできた高知新聞・編集委員の福田仁さんに伺いたいと思います。

高知新聞・福田仁
川村さんの活動はずっと存じていました。今日はよろしくお願いします!

福田仁(ふくだ・まさし)

土佐清水沖の日戻りの釣り漁業の取材がきっかけで、漁業と水産加工業に関心を持ち「漁の詩(すなどりのうた)・高知の漁業最前線」という長期連載(その後、同名で書籍化)を執筆。カツオ不漁の原因追求や、実際に漁船に乗船して感じたことなどを発信した。
漁の詩 アーカイブ:高知新聞Plus

アンジュルム・川村文乃
わ! うれしいです!高知もカツオも大好きですが「カツオの未来」というキーワードにはいまいちピンと来ていなくて……。たくさん勉強させてください!

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※撮影は新型コロナウイルス感染対策を徹底し、東京 - 高知間はオンライン取材を実施しました

“高知のカツオ文化”がなくなる……? 「アニサキス」と「新型コロナ」で大きな打撃

アンジュルム・川村文乃
早速ですが、地元のカツオがなにやら危機を迎えているって本当でしょうか……(ソワソワ)。

高知新聞・福田仁
ええ……。

ところで……川村さんは、カツオのたたきはどうやって食べるのが好きですか?

アンジュルム・川村文乃
えっ……!? そうですね、私は粗塩やポン酢が好きです。たたきももちろんなんですが、カツオそのものの味が楽しめる刺身も大好きなので、 できるだけシンプルに食べるようにしています!

以前、高知に凱旋公演したときも、アンジュルムのメンバーに塩で食べるとおいしいよ! とオススメしたんですが、みんな衝撃を受けたみたいで、よく「早く高知に行ってカツオのたたきを食べたい!」と話しています(笑)。わら焼きのたたきに感動して、わざわざ東京にある高知のアンテナショップに食べに行っているメンバーもいるんですよ〜。

地元でカツオのわら焼きたたき体験を楽しむ川村さん

高知新聞・福田仁
いいですね〜! 私はぶしゅかん(高知特産のかんきつ)を軽くかけるのも好きで……。

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と、高知県民はこうやって「カツオのたたき何かけて食べる?」話で盛り上がるくらいカツオが身近な存在だと思うんですが、川村さんは、高知のカツオ漁船の多くが、県外でカツオを獲っているということはご存じですか?

アンジュルム・川村文乃
えええええっ! 地元で食べていたカツオは、全て高知で獲っていると思っていました……!

高知新聞・福田仁
高知出身者でもびっくりしますよね。近海で一本釣りをしている船だと千葉の勝浦港宮城県の気仙沼港の二つが、現在の主な水揚げ拠点なんです。

そもそも高知では江戸時代からずっと「一本釣り」という漁法でカツオを漁獲してきました。

🐟土佐の一本釣り……生きたイワシを海面にまき、カツオの群れを浮き上がらせたあと、竿で1本ずつ釣り上げる漁法。江戸時代に和歌山県から伝来し、現在も継承されている。

アンジュルム・川村文乃
小さい頃から授業やテレビで見聞きしていたので、高知県民からすると「カツオといえば一本釣り」というイメージです。私は特技が「カツオをさばくこと」なので、いつか一本釣りも挑戦したいと思っていました!!

高知新聞・福田仁
そうでしたか! 夢が叶うといいですねえ。でも……実は今、カツオの一本釣り漁船がどんどん減少しているんです。


「一本釣り漁船」と言っても、沿岸の小さな船から100t前後の近海船、そして500t級の遠洋船までさまざまな種類がありますが、そのうち、遠洋・近海で今でもカツオの一本釣り漁業を続けているのは、宮城、茨城、静岡、三重、宮崎、鹿児島、そして高知の7県のみなんです。

そして高知県では、最盛期の1974年には92隻程度あった近海一本釣り漁船が、現在は10隻まで減少してしまいました(2021年10月時点)

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
夢の「カツオ一本釣り」に暗雲が立ち込め、不安そうな川村さん

アンジュルム・川村文乃
そんなに……!? どうして減ってるんですか?

高知新聞・福田仁
要因はいろいろあるのですが、まず、ずっと課題になっているのは一本釣りの不漁傾向が続いていることです。

この数十年、アメリカやヨーロッパをはじめとする世界中で「健康食」として魚食がメジャーになっていて、カツオの人気も高まっています。

カツオを食べたい! という人が一気に増えたので、たくさんの国が競って大型のまき網漁船を建造し、カツオの産卵域である赤道近くの熱帯域で漁獲量が急増したんです。結果、過剰漁獲が続いて日本近海の群れが激減した、と考えられています。

船のエンジンや魚の群れを探知するソナーの性能など、漁に使う道具の精度がどんどん発達していて、遠くまで出掛けて効率よくたくさん漁ができるようになったのも大きいですね。

🐟まき網漁業……魚群に向けて投網し漁獲する方法。効率よくたくさん穫れる、エサ代がかからないといったメリットの一方で、漁獲時に魚同士が衝突し品質が劣化してしまう可能性や、目的以外の魚の漁獲、乱獲といったデメリットも。

アンジュルム・川村文乃
……つまり「獲り過ぎたらいなくなっちゃった」……?

高知新聞・福田仁
簡単にいうとそうですね。

そもそも、日本はカツオの分布の北限に当たるので、カツオが減っている影響を受けやすいんですよ。

アンジュルム・川村文乃
分布の……北限?

高知新聞・福田仁
太平洋の中で、カツオが生息する一番北の海が日本近辺」ということですね。

日本近海の冷たい海はエサが豊富なんです。カツオの群れはそのエサを求めて産卵域から黒潮に乗るなど、いくつかのルートで日本まで北上してきます。これがいわゆる春の「初ガツオ」で、逆に秋に南下するのが「戻りガツオ」ですね。

三陸沖は特にエサが豊富で、そこに集まる群れを追い求めて、高知の船が北上するようになりました。

ただ魚は資源が不安定になると分布域が少しずつ小さくなり、はしっこから不漁傾向が現れるといわれていて、近年は三陸沖でもなかなか獲れなくなってきたのが現状です。

アンジュルム・川村文乃
なるほど〜!まとめると、

(1)今やカツオは世界中で大人気
(2)食べる人が増えたのでたくさん獲るようになったら群れが減っちゃった
(3)群れが減ったら高知でなかなか獲れなくなっちゃった

ということですか?

高知新聞・福田仁
そうですね!

ソレドコ編集部
(優秀過ぎる)

高知新聞・福田仁
でも、高知の一本釣り漁業に打撃を与えたのは「群れの減少」だけではありません。

2017年にアニサキスを原因とする食中毒が大きく取り上げられ、生鮮カツオの価格が暴落したんです。

🐟アニサキス……カツオのほか、サバ、サンマ、イカなどでも見られる寄生虫(線虫)。寄生している生鮮魚介類を生食(不十分な冷凍・加熱も含む)すると、下腹部痛や悪心、嘔吐などの食中毒(アニサキス症)を引き起こす。2012年に食品衛生法が一部改正され、医療機関から保健所への報告が義務化。2017年は芸能人の“アニサキス症経験談”がよく報じられた。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
アニサキスで……!?と驚く川村さん

アンジュルム・川村文乃
私も魚をよくさばくので「アニサキスいないかな?」とドキドキしながらチェックしていますが、まさかそんな影響があったなんて……。

高知新聞・福田仁
大々的に取り上げられると消費者が敏感になりますし、何より売り手が鮮魚を売ることに消極的になってしまった時期があったんです。

スーパーで販売している魚からアニサキスが検出されると、お店の名前が公表されたり、売り場が閉鎖されたり……といったことが起きました。小売業ですから、そんなことになってしまうと大変ですよね。

そして極めつけは、新型コロナウイルス感染症。外食需要が激減したためカツオの値崩れがさらに加速し、2020年以降、一本釣り漁業を取り巻く環境はますます厳しいものとなっています。

アンジュルム・川村文乃
値崩れしているってことは、カツオが安くなっているということですよね。私は築地市場や豊洲市場に行って、大体3,000~4,000円くらいで一本まるまる買うことが多いんですが、そこまで「すごく安い!」と感じたことはないかも……?

高知新聞・福田仁
ここでいう値崩れは「浜値(水揚げ地で取り引きされる価格)」のことなんです。消費者の手元に届くまでに輸送費や人件費が上乗せされるので、あんまり値崩れしている印象はないかもしれませんね。

でも、2021年は特に安かった。春以降、珍しく大漁が続いたこともあり、一番落ちた頃で100円/kg前後とか……。カツオはだいたい2.5kg以上がおいしいといわれているので、1本300円くらいでしょうか。

個人的には「スーパーで買うカツオも安い」という印象があり、かなり特異な年だったと思います。

アンジュルム・川村文乃
私も、今年はカツオが大漁ということを知っていつもよりたくさん買ったんですが、そんなに安かったとは……。ちょっと申し訳ない気持ちです。

高知新聞・福田仁
いやいや、一本釣りの応援にもつながりますし、消費者が積極的に購入することはよいことですよ。

アンジュルム・川村文乃
ほっ。それにしても、地元で「おいし〜!!」と食べていたカツオが、実は高知以外でも獲られていたとは……。

……ん? じゃあなんで「高知のカツオ」って今でも変わらず有名で、おいしいんですか?

高知新聞・福田仁
「高知のカツオ」といっても魚は水揚げされた港が「産地」になるので、高知県内のスーパーや鮮魚店でも「鹿児島産」や「長崎産」「勝浦産」などの生鮮カツオが並んでいます。

高知沖のカツオの群れは減りましたが、高知県民はずっと昔から獲れたてで新鮮なおいしいカツオを食べてきたから、こだわりが非常に強い。となると、スーパーや飲食店もカツオの質にこだわって“いいモノ”を仕入れて提供しないとお客さんが離れてしまう。

だから今でも変わらず、おいしいカツオが高知県内に入ってきているんだと思います。高知の一本釣り漁船が県外で水揚げして、そこから再びトラックで高知に運ばれてくるものも多いんですよ。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
高知といえば、わらの香りと絶妙な焼き加減がたまらない「カツオのわら焼きたたき」が定番

アンジュルム・川村文乃
なるほど〜! 上京したての頃、何となくスーパーで買ったカツオのたたきが鮮度も味も高知で食べるものとぜんぜん違って、すごくびっくりしたことがあったんです。

高知新聞・福田仁
高知にいると、その環境が当たり前だから気付かないですよね(笑)

県民の「目利き」のおかげで、“高知のカツオ”は観光資源になるなど、ブランディングにも成功しています。昔、他の地域でカツオのたたきを製造している業者さんから、“高知”はよく売れていてうらやましい、とボヤかれたことがあります。ぜんぜんインパクトが違うようで。

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🐟かわむーめも🐟

川村文乃 🎣「漁獲量の減少」に加え、「アニサキス」や「新型コロナ」が原因で高知のカツオ一本釣り漁船が激減している
🎣 生鮮カツオの産地は「気仙沼」と「勝浦」がメイン。 それでも“高知のカツオ”がおいしいのは県民の“目利き”あってこそ
🎣消費者は「買って応援」することが大事

「一本釣りカツオ漁」を救うべく取得したMSC認証って?

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
知らないことばっかり! すごく勉強になる!! とずっとメモを取っている川村さん

アンジュルム・川村文乃
でも正直なところ「カツオが減っている!」「一本釣りが存続の危機!」と聞いても、高知はもちろん東京でもカツオは普通に食べられるので、不漁を肌で感じることってあまりなかったです。

高知新聞・福田仁
そうですよね。でも、私が高知県のカツオ漁について取材し始めた2008年ごろから、すでに現場の漁師たちは不漁傾向を訴えていました

ただ当時は、日本近海を含む中西部太平洋のカツオの漁獲量が右肩上がりの状態だったので「資源はまだまだ豊富」と考えられていたんです。

クロマグロやニホンウナギの資源問題はよくクローズアップされていますが、カツオに関してはそれほど注目されてきませんでした。ここ近年ようやく、という感じですね。

アンジュルム・川村文乃
確かに、マグロやウナギが減っている、という話は私も聞いたことがありますが……。

高知新聞・福田仁
まだまだカツオにはスポットライトが当たっていないですよね……。

不漁にアニサキス、新型コロナとさまざまな要因が一本釣り漁船の減少に影響している中で、こういった現状をなんとかしようと2021年6月に高知の「カツオ一本釣り漁業」がMSC認証を取得したんですよ。

🐟カツオ一本釣り漁業のMSC漁業認証取得……高知かつお漁業協同組合(高知県高知市)と南郷漁業協同組合(宮崎県日南市)に所属する、18隻の近海一本釣り漁船で構成された「近海かつお一本釣り漁業国際認証取得準備協議会」が取得。詳しくは ▷ こちら

こうした動きは「カツオ一本釣りの苦境」や「カツオの不漁」に関心を持ってもらうことにもつながるんじゃないかと期待しています。

アンジュルム・川村文乃
エムエスシー認証?

高知新聞・福田仁
環境や資源にやさしい漁業を行っているということが客観的・科学的に認められた場合にのみ取得できる漁業認証です。非営利組織の国際機関が運営していて、認証漁業で漁獲された魚を使用した商品に、MSC「海のエコラベル」が付けられるんです。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る

🐟MSC「海のエコラベル」……水産資源と環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証。

アンジュルム・川村文乃
知らなかったです……! ラベルも初めて見ました。

高知新聞・福田仁
日本ではまだ認知度が低いかもしれませんね……。アメリカのちょっといいスーパーでは、ラベル付きの缶詰や加工品のほか、鮮魚なんかが売られていたりするところもあるんですよ。

アンジュルム・川村文乃
ということは、一本釣りされたカツオが「ラベル付き」でスーパーに並んでいる……?

高知新聞・福田仁
今回の「近海かつお一本釣り」に関してはまだMSC認証を取得したばかりなので、本格的な商品化や流通はこれからですが、どんどん普及していくことを期待しています。

先んじて、東京に店舗がある土佐料理店・祢保希(ねぼけ)さんが、MSC認証のカツオを提供すると決定したそうです。社長にお話を伺ったら「高知と宮崎のMSC認証取得という決断を応援する一助になれたら」とおっしゃっていました。

アンジュルム・川村文乃
わ〜東京で食べられるのはうれしい!

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
いいこと教えてもらった〜! と笑顔の川村さん

高知新聞・福田仁
……実は10年ほど前にも、かつて高知県にあった土佐鰹(とさかつ)水産という会社が「遠洋カツオ一本釣り漁業」でMSC認証を取得したことがあったんです。カツオ漁業全体で見ても、世界で初めての取得でした。

一本釣りしたカツオを宮城県内で缶詰に加工し、アメリカに輸出する計画を進めていたんですが……。東日本大震災の影響で計画が頓挫してしまって。

アンジュルム・川村文乃
えっ……。そんなことが……。

高知新聞・福田仁
出荷直前まで準備が進んでいたんですが、気仙沼にあった工場が津波にさらわれてしまい……。その他の不運も重なり、会社自体が廃業してしまって。

もしあのまま土佐鰹水産の缶詰が海外に輸出され評価を得ていたら……。カツオ一本釣り漁業と消費者の関わりについて、今とはまた違う風景が広がっていたんじゃないかな、なんて思ってしまいますね。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
当時、関係者向けに配布されたサンプルのカツオ缶詰。ずっと大事に保管されているそう

\楽天市場にもMSC「海のエコラベル」付きの商品、あります/

アンジュルム・川村文乃
MSC認証について知らなかったので、すごく勉強になりました。

高知新聞・福田仁
ラベル付きの商品はちょっとだけ高くなってしまう場合もあるんですが、「買う」だけで環境や資源に対して適切な取り組みをしている企業や団体を応援できます。消費者がとても気軽に起こせる“アクション”なので、ぜひ積極的に買ってみてほしいです。

アンジュルム・川村文乃
はい! でもそもそもどこで買えるんですか?

高知新聞・福田仁
西友やイオン、生協など、さまざまな場所でMSC「海のエコラベル」付きの商品が売られていますよ。 あとはマクドナルドの「フィレオフィッシュ」も、MSC認証の魚を使用しています。

アンジュルム・川村文乃
私、スーパーでは高知県産の野菜や魚を手に取るようにしているんです。それと同じように、これからはエコラベル付きの商品も積極的に買っていきたいな。マークもしっかり覚えました!

ソレドコ編集部
コメントが100点満点です。

🐟かわむーめも🐟

川村文乃 🎣マグロやウナギに比べて、カツオの資源問題は認知度が低い……
🎣一本釣り漁船の減少を食い止めるため、高知&宮崎の人々が立ち上がり「MSC認証」を取得
🎣MSC「海のエコラベル」付き商品の購入は、消費者が気軽にできる“応援”のアクション

未来もカツオをおいしく食べるために。大事なのは「知って」「買う」こと

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
このページ以外にもびっしり書き込まれた川村さんのメモ

アンジュルム・川村文乃
ラベル付きの商品を積極的に選ぶことって、いわゆる「SDGs」ですよね。最近テレビや雑誌でもよく目にするので、私たちの世代では日常の一部になっているような印象があります。

🐟SDGs(エス・ディー・ジーズ)……貧困や、気候変動、ジェンダー、資源など、人類が地球で暮らし続けるために解決が必要な課題について、2030年までの達成を目指し掲げられた17の目標。2015年9月の国連サミットで採択された。正式名称は「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」。

高知新聞・福田仁
それはいいことですね。SDGsには「海の豊かさを守ろう」という項目もあるんです。今ある海の恵みが、いつまでも変わらずあるわけではないですから。

カツオもゼロになることはない……とは思いますが、手が出せない高級魚になってしまっては困りますよね。

私たち消費者が行う「どういう商品を購入するか」という選択は世界の海を変える力を持っていると思いますし、そのためにはまず「知る」ことが大事。一方で企業や販売側は「過程の見える化」に務めるべきなのではと考えています。

例えば、川村さん「めんつゆ」って使いますか?

アンジュルム・川村文乃
よく使っています!

高知新聞・福田仁
以前、カツオの幼魚を加工した極小の節製品(通称:ペンシルカツオ)が東南アジアから日本に輸入されている、という記事を書いたことがあります。

どうやら、それをめんつゆ製品などに使用しているメーカーがあるらしい、と……。厳しい価格競争の中でコスト削減には一定の効果があるでしょうし、加工してしまえばどんなカツオを使っているか分からないですから。

産卵前の小さなカツオが大量に漁獲されることで、資源に打撃を与えていることを指摘する研究者もいます。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
福田さんが取材のために入手した輸入ペンシルカツオ

アンジュルム・川村文乃
わ〜、本当にちっちゃい……。

高知新聞・福田仁
もちろん、全てのめんつゆにこのペンシルカツオが使われているわけではないですが、こういうことも「知る」だけで少し行動が変わるかなと。

アンジュルム・川村文乃
確かに。「商品」として売られていたら、なかなか原材料のことまで目が行かないですもんね。

高知新聞・福田仁
本当にそうだと思います。だからこそ「見える化」と「知ること」が必要だと考えます。

アンジュルム・川村文乃
なるほど。でも、そもそも「獲り過ぎるのはよくない」のであれば、全てのカツオ漁が一本釣りに置き換わった方が良いのかな? と思っちゃいます。

高知新聞・福田仁
う〜ん。複雑ですが、そうとも言い切れないんです。まき網でも網の目を大きくして小さい魚を逃すなどして、漁獲量をコントロールする方法はありますから。

例えば日本で生産されている鰹節は、ほとんどがまき網漁業で獲られたカツオを原材料としています。カツオ漁を全て一本釣りに置き換えるとしたら、今のように生産し続けられなくなるでしょうね。

アンジュルム・川村文乃
それは困っちゃいます。

高知新聞・福田仁
世界中の海を長距離移動するカツオには国境はありませんので、各国の利害が対立し、全体の漁獲量を抑えることにも難しさがあります。そこが国際資源であるカツオを守る難しさですね。

素朴な伝統漁業であり資源にも優しい一本釣りと、効率に優れたまき網漁業。二つの共存が豊かな海を残すことにつながっていくんじゃないかなと、私は考えています。

消費者の視点としては、ぜひ「何を買うか?」ということだけでも意識してもらえると嬉しいです。

🐟かわむーめも🐟

川村文乃 🎣「どういう商品を購入するか」という選択で、世界の海が変わる
🎣 まき網漁をやめて、全ての漁が一本釣りに置き換わればよいというものでもない
🎣 大事なのは「2つの漁法」がバランス良く共存すること
🐟 🐟 🐟

アンジュルム・川村文乃
今回は高知の一本釣りの話から、カツオ全体のことまで、いろんなお話を聞けてとても勉強になりました!

最後に……私たちはこれからも、カツオを積極的に食べてもいいんでしょうか……?「何を買うか」の前に、そもそも食べない方がいいのかな、と不安になっちゃって。

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
大好きなカツオ、食べてもいい……? と不安げな川村さん

高知新聞・福田仁
一本釣りで釣られたカツオならもちろん、大丈夫ですよ!

どうしても好漁・不漁の波があるものですが、安くても高くても、どんなときも消費者が買って応援することが、魚価の安定にもつながります。 特に今はコロナ禍で外食需要が低迷しているので、個人でどんどん買って食べていただきたいですね。

アンジュルム・川村文乃
わ〜! 安心しました。これからもたくさんカツオを買うぞ〜!

高知新聞・福田仁
いわゆる「戻りガツオ」の旬はおおむね秋の終わりまでなので、たくさん食べてくださいね!

アンジュルム・川村文乃
今日のお話を聞いて、ますます一本釣りに挑戦したい気持ちが強くなりました。私もいつか船の上で釣り上げてみたい……!

高知新聞・福田仁
私も取材で乗船したことがありますが、一本釣りってとにかくタイミング勝負で、どんどん釣り上げていかないと釣り時を逃しちゃうんですよ。

だから漁師のみなさんは、竿を振っただけで針からカツオを外して、次から次へと釣り上げるんですけど……この練習を川村さんもしないといけないかも。

アンジュルム・川村文乃
うう〜ん、大変そう……。でも、わかりました! バンバン釣り上げられるよう、ムキムキマッチョになってから船に乗り込みます!

高知新聞・福田仁
頼もしい(笑)!

ソレドコ編集部
これからの川村さんの筋肉にも注目ですね。おふたりとも、本日はありがとうございました!

アンジュルム・川村文乃が「高知のカツオ1本釣り漁業」の危機に迫る
いつか夢が叶いますように!


「1本釣りのカツオ、どこで買えるの?」と思ったあなたへ……🐟

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撮影:関口佳代
構成:芦屋こみね

おいしい魚が、食べた〜〜〜い!!

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