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非常食は「いつもの味」でOK 被災を経験したママが教える、子供のための防災アイデア

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こんにちは、イラストレーターのアベナオミといいます。2019年2月現在、2男1女の子育て中です。

私は宮城県出身・在住で、2011年3月の東日本大震災で被災した経験があります。幸い、自宅も家族も無事だったのですが、夫の勤務先と、通勤に使った車は津波の被害に遭いました。


アベナオミ家

自宅には大きな被害がなかったため、避難所には行かず自宅避難できたのですが、震災後の生活は当然それまでと大きく変わりました。ガスはプロパンだったので使用できたものの、電気と水道は使えず、物流のストップによる物資不足もありました。当時、長男は1歳7カ月。ライフラインのない中での1歳児との生活は本当に試練の連続で、以前から防災対策をしてこなかったことを本当に後悔しました。

そんな経験を経て、震災から5年の節目である2016年に「自分の経験を役立てたい!」と思い立ち、SNSやブログで「1日1防災」という防災アイデアを描いた1コマイラストの発信を始めました。そしてその1カ月後に、熊本地震が発生。多くの被災者の方から、私の投稿が「役に立った」と反響をもらいました。



その後、さらに防災に関する知識を深めようと、防災のスペシャリストとして日本防災士機構が認定している民間資格「防災士」を取得。現在も、SNSやブログ、本などを通じて、防災に関する知識をイラストやマンガで紹介しています。

防災について私が特に伝えたいのは、特別に何か用意しなくても「普段の生活の延長」で無理なくできる備えがたくさんあるということです。防災というと、まず「非常食」などの備蓄を思い浮かべる人が多いと思いますが、いつ必要になるか分からない非常食を常にストックしておくとなると、管理にも場所の確保にも悩みますよね……。

今回は、被災時に後悔した私の経験を踏まえ、子供がいる家庭にオススメしたい、無理なく無駄なくできる「食にまつわる防災アイデア」をご紹介します!

子供がいざというときに「非常食を食べてくれない」という経験

震災直後、地元のコンビニやスーパーには長い行列ができました。食料品や乾電池を求めて、多くの人が殺到していたんです。震災翌日もお店は大行列、お店側も買い物客のために、在庫をどんどん出している状態でした。

しかし、その後お店はどんどん閉店。完全に物流が止まってしまいました。そこから数日はほとんど食料品が手に入らず、自宅にある食料を少しずつ切り崩す生活は、もう綱渡り状態。しばらくしてやっと近所のスーパーが開いたかと思ったら、なんと徹夜組も出る大行列!!!

さらには、入店制限(先着100名までなど)や購入制限(お1人様2点までなど)もありました。小雪のちらつく3月の東北で、子供をおんぶして何時間も並べるはずもなく……泣く泣く帰りました。


災害時は食料品が手に入らない

避難所にも情報や物資を求めて行きましたが、救援物資はほとんどない状態。そんな私たちを見かねた避難者のおばあちゃんから「これ私は硬くて食べられないから、子供と食べて」とクラッカーをいただいたのですが、長男は小麦・卵・乳製品のアレルギーだったので食べられませんでした。(クラッカーは大人がおいしくいただきました)

震災発生から10日ほどたった頃、夫の会社の全国の営業所から救援物資が届きました。ありがたいことに各社員の家庭事情をしっかりリサーチした救援物資だったおかげで、大きな段ボールにはアレルギー対応食品がぎっしり!!!

しかし、そんなありがたい救援物資を早速長男に食べさせたところ………


「これ!いや!いらない!」の一点張り!

「これ! いや! いらない!」の一点張り!

全く食べてくれません。どうやら、いつも食べているアレルギー対応食品ではなかったので、“食べ慣れない味”に違和感があったようです。結局、ほとんどを大人の私たちが食べることになりました。

その後は徐々に物流が復旧し、スーパーにも少し並べば入店できるようになったものの、お店に並ぶのは見慣れないパッケージの商品ばかりでした。被災の影響がない地域から入荷した商品は、食べ慣れない味のものが多く、一口食べるたびに子供も私たち親も「非日常」をかみしめる状態でした。

震災発生からしばらくたって、だんだんと食卓が元に戻ってきた頃には本当にホッとしたのを覚えています。数週間ぶりにいつものコーヒーを飲んだ時は、心の奥からホッとしましたね~。

わが家の備蓄は「いつもの味」が中心!

防災のための備蓄というと、まず思いつくのは「乾パン」「アルファ米(アルファ化米)」などの長期保存可能な食品ではないでしょうか。しかし日常的に買うには高価だったり、保管しているうちに賞味期限が切れてしまったりすることも。日々の子育てと家事に追われ、やりくりも大変な中では、なかなか非常食を買う決心もつきません。

被災時の教訓から、わが家ではできる範囲で私流の備蓄を始めました。ポイントは「いつもの味」を「ローリングストック法」で備蓄すること!

「いつもの味」として、例えば普段から食べている「レトルトカレー」も備蓄の一つと考えています。家族内でも味の好みが分かれるので、なるべくみんなそれぞれが好きな味をそろえるようにしています。

そして「ローリングストック法」とは「購入→備蓄→消費」を繰り返す備蓄方法のこと。名前だけ聞くと難しそうですが、実際は普段から食べている食材を少し多めに買っておき、いざというときの備蓄にも回すだけ。賞味期限が近づいてきたら、普段の料理に使ったり、夜食にしたりして消費できるので、無駄にもなりにくいです。


「ローリングストック法」の食料備蓄


実際にわが家で備蓄している食材は、こんな感じです!

アベ家の「いつもの味」備蓄食材

●乾燥していて常温保存可能な主食
お米、パスタ、マカロニ、うどん、そばなど

●素材のままでもおいしい缶詰、瓶詰め、ドライパック
ツナ、コンビーフ、あんこ、トウモロコシ、トマトの水煮、オリーブ、サバの味噌煮、ジャム、海苔の佃煮、大豆など

●温めておいしいレトルト食品
レトルトカレー、中華丼の具、パスタソースなど

●お湯を注いでおいしく食べられる食品
即席スープ、乾燥わかめ、とろろ昆布、即席ラーメン、干し椎茸、高野豆腐など

●被災時の栄養補給にいい食品
粉末緑茶、粉末青汁、いりごま、きな粉、かつお節、プロテイン、ココアなど

●普段はおつまみに、災害時は保存食にしやすい食品
スルメ、サラミ、チーズなど

●被災後に高騰する野菜
根菜類は停電しても保存が利きやすいのでオススメ。特にニンジン・ジャガイモ・タマネギは必須アイテム!(カレー、シチュー、肉じゃがなど何にでもなれる三種の神器)そのほか、キャベツや白菜など結球している葉物野菜も保存が利きやすいのでオススメ

震災から数日後には、近所のスーパーでキャベツが1玉500円に高騰したり、おにぎり2つに漬物がちょっと付いて1,000円だったりしたことも……災害時は本当に何が起きるか分かりません。


キャベツが1玉500円に高騰

できるだけ好きな食品を中心に、多めに買ってローリングストックをしてみてください。

「子供を喜ばせる」ポイントも大切に!

災害時は学校や幼稚園、保育園も休みになり、子供は1日中自宅か避難所で過ごします。停電でテレビはつかないし、インターネット回線がなければスマホやタブレット端末で動画も見られない状態です。目に浮かびますよね、子供たちの「飽きた~つまんな~い! 何かないの!?」という姿が(笑)。

そんな中「ちょっとでも食事で楽しい気分になれるように」と、わが家では子供用のレトルトカレーとしておまけシールの付いたキャラクターカレーをチョイスしています。大人には、それぞれが好きな辛さのカレーを用意していますよ。

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他にも、災害時に大好物があるとうれしかった記憶があるので、家族それぞれの大好物は欠かせません! 例えば……

  • 長男はあんことコンビーフの缶詰
  • お魚大好きな次男はツナやサバの味噌煮の缶詰
  • 夫はハヤシライス
  • 私はオリーブの缶詰とピクルス

もう統一感ゼロですよね!

小学生の長男はコンビーフの“くるくる回して開ける缶”がとてもお気に入りです。本人は「コンビーフとご飯さえあれば俺は生きていける!」と申しております(笑)。最近は缶切りを使う練習もしています。


親子で缶切り

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また、わが家は大人も含めてアレルギー体質なので、家族それぞれ注意するべき食材が違います。次男はお魚が大好きですが、私は青魚アレルギーなので食べられません。

仮に災害時に自宅に食料がなくて避難所に行ったとしても、炊き出しの食事や配布される非常食にアレルギー食材が入っていれば、満足に食事できない可能性があるのです。アレルギー体質や持病の影響で特定のものが食べられない方は、ぜひ自分で備えることをオススメします。

子供がいる家庭にオススメの「非常食」と、災害時の食事に便利なアイテム

ローリングストックをしつつ、長期保存できる非常食も最後の砦!として購入しておくとさらに安心ですね。

非常食といえば定番は乾パンですが、皆さんは食べてみたことがありますか?

硬~~~~~~~~い! ですよね!

硬い乾パンは、実は子供や高齢者が食べるのは難しいんです。

なので、アベのオススメは、子供でもなじみのある缶入りの「ビスコ」。他にも、井村屋の「えいようかん」は高齢者でも食べやすく、5年の長期保存ができるのでオススメです。(うちの長男はあんこ好きなので、ようかんも大好き)


「えいようかん」が大好きな長男

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そして、災害時の食事で困るのが「洗い物」。断水時は汚れ防止のために食器にラップをかけて使ったり、最初から使い捨ての紙皿にするのが便利です。アウトドアでよく紙皿を使う家庭なら紙皿をローリングストックし、紙皿をあまり使わない家庭ならラップをローリングストックするのがオススメ。各家庭でなじみのあるものを備えると、続けることができますよ。

「子供が食事のたびに服を汚してしまう!」というときには、使い捨てタイプの食事エプロンもオススメです。

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最後に

「防災対策はダイエットより難しい」と私は思っています。ちょっと努力をすれば結果の出るダイエットと違い、いつ起きるか分からない災害に備えるのは、とても忍耐力が必要です。

だからこそ、いつ起きるかどうか分からない大きな災害よりも、想像しやすい日々の“小さな災害”に備えると、イメージしやすく、備えも無駄になりません。


小さな災害に備えよう

例えば、ママの出産や入院。子供のインフルエンザ、ノロウイルス、学級閉鎖などなど。数日間自由に買い物に行けなくなる状況に備えて、毎日の買い物の中でローリングストックしておけば、大きな災害にも、家庭内の“小さな災害”にも万全の対応ができます。

心が折れそうなときも「いつもの味」があれば、ホッとする時間が生まれます。震災後の不安な生活の中、久しぶりに飲んだ1杯のコーヒーに、私は救われました。ぜひ皆さんも「いつもの味」を備えてみてください。

著者:アベナオミ

アベナオミ

1985年生まれ。宮城県出身、在住のイラストレーター。日本デザイナー芸術学院仙台校を卒業後、地元情報誌のデザイナーを経てイラストレーターに。コミックエッセイを中心に活動中。現在は3児の母。長男が1歳のときに東日本大震災を経験し、防災に関するイラストとコミックがライフワークの一つ。2016年12月には防災士の資格を取得。著書に『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(学研プラス)、『マンガでわかる! 妊娠・出産はじめてBOOK』(KADOKAWA)など。

ブログ:うさぎとお絵描き 【Illustratorアベナオミの日記帳】 Twitter:@abe_naomi_

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