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年間250試合を視聴。データ分析で知ったNBAの面白さ

NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)にハマったwhynotさんが、さまざまなデータを使ってNBAを解説。「NBA Stats」で公表されるデータをもとに、レブロン・ジェームス、ビックマン アンソニー・デイビス、ドノバン・ミッチェル選手を分析します。2018年7月には、日本人の渡邊雄太選手がNBAのチームと契約し、話題になったNBA。最近ではRakutenTVをはじめ視聴環境も整い、身近なスポーツになっています。データを使ってNBAを楽しみましょう!


筆者所有のコービー・ブライアントのユニフォーム

NBAのデータ見ながら語ります』というブログを書いているwhynotです。私のブログは題名の通り、さまざまなデータを使ってNBAを戦術分析していくことをテーマにしています。

NBAと聞くと敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、2018年7月には、日本人の渡邊雄太選手がNBAのチームと契約し、話題になりました。


また最近では視聴環境も増えて数年前に比べると身近なものになりました。「RakutenTV」もその1つですね。

「でも、NBAって何が面白いの?」

そんな声が聞こえてきそうです。


ざっくり言うならば、私は超人たちの身体能力と頭脳戦だと考えています。6月に終幕を迎えた2017-2018のシーズンも、いくつもの熱い戦いがありました。

そんなNBAを「データを使って分析」しているわけですが、こう言われると頭が痛くなってきそうですね……。ですが、難しいことは全くしていません。

試合を観ながら気になったことを、NBAが公表するデータと照らし合わせるのみ。それだけで予想外の事が発覚し、試合の見方が変わってきます。すると、NBAがもっと面白くなる!

こうして「試合観戦とデータ検索」を繰り返す日々が始まり、気が付けば年間250試合を観ていました。

身近になりつつあるNBA。
超人たちの身体能力と頭脳戦が見どころのNBA。
データを使えばもっと楽しくなるNBA。
この面白さをいろいろな人に知ってもらいたい!

今日は私がNBAにハマるきっかけになったデータの面白さを中心に、NBAの魅力を紹介します。ちょうど10月から始まる次のシーズンにあわせて、皆さんもNBAの世界に足を踏み入れてみませんか?

データ分析が面白いと思う4つの理由

30チームがシーズン中にそれぞれ82試合を戦い、最終的に上位16チームによるプレイオフでチャンピオンを決めるNBA。その期間は約8カ月間に及び、ほぼ毎日、正月にさえ試合があります。

まずはデータを使った分析で私が面白いと思ったことを、4つの切り口に分けて紹介します。

1.データを基に選手の特徴を細分化できる

例えばレブロン・ジェームスという有名選手がいます。「キング」のニックネームで史上最高の選手とすら評され、あまりの超人ぶりに人間かどうかを疑われるレベルです。

ちょっと検索すれば人知を超えた身体能力とスキルが分かるハイライト動画を見付けられますし、賞賛記事だって有名雑誌から個人のブログまでいくらでも見付けられます。

このようにデータで語る必要もない選手なので、少し切り口を変えてみることにしました。

2017-2018のシーズンにおいて、レブロン・ジェームスのプレイを止めた選手は誰か


NBAの凄いところの1つは、詳細なデータを積み重ねて公開しているところです。

「試合中に選手1人1人がどう動いているのか」をリアルタイムで記録するシステムを導入していて、その試合の走行距離やスピード、ドリブルやパスの回数、そして誰にマークされていてどんなプレイをしたのか、ありとあらゆる角度からデータが蓄積されていきます。

そのデータの中から「誰がレブロンのプレイを最も阻んだのか」を調べてみました。

そこには当然「ディフェンスが上手い」と評される選手が並ぶのですが、その守り方はさまざまです。

  • ミスを誘う選手
  • シュートを落とさせる選手
  • そもそもボールを持たせない選手


「ディフェンスが上手い選手」と一括りにされていた選手の特徴を、データを用いることで3つに細分化できたわけです(詳しくは私のブログで解説しています)。

すると、試合の見方が変化してきます

これまでは「スーパースターのレブロンがシュートを決めた」だったのが、「ミスを誘うのが上手い選手を相手に、レブロンはシュートで勝負するのか、ディフェンダーの間をドリブルで切り込んでいくのか……」に変化するのです。

今まで見えなかった試合中の駆け引きが見えてくるので、少し楽しくなりませんか?

プレイの中に隠れた事実に触れられる。それにはデータという存在が欠かせません。

2.今まで注目していなかった有望な選手を発掘できる

引き続きレブロンが登場した試合のデータを調べていると、とある選手の名前が出てきました。

“ドリアン・フィニー・スミス”

想定外の選手の登場にデータを何回も見返してしまいました。一般的どころか普段NBAを見ている層からもあまり知られていない選手が、「レブロンのプレイを止めた選手」として引っかかったのです。

レブロン・ジェームスのプレイを阻止するドリアン・フィニー・スミスとは?


いや、でも待ってください。

データ上では引っかかったけど、その試合でたまたま調子が悪かったレブロンがシュートを外しただけかもしれません。そこで、この選手に注目して試合を視聴することに。

すると見事なまでにレブロンを止める素晴らしいディフェンス力を発揮していたのです。
(ただし、その他のプレイは、からっきしダメだったりしますが……)

つまりは、

特定の分野ならばリーグ最高峰の能力を発揮する選手が多く存在する


ことが分かります。このように出場時間が短く注目しにくかった若手の有望株を見付け出せることもデータのいい部分です。

3.チームの戦い方が見えてくる

例えば試合を観ていて「オフェンス力が高い」という印象を持ったとします。これだけだと「得点が多いチームなんだな」と思うかもしれませんが、これも1つ1つのデータを並べると興味深いことが見えてきます。

ここで「ニューオリンズ・ペリカンズ」というチームのオフェンス力を見ていきましょう。

ペリカンズはオフェンス力が高いチームなのか?


このチームの2017-2018シーズンの成績は以下の通りです。

平均得点 111.7点(3位)
平均失点 110.4点(29位)
FG(シュート)成功率 48.3%(2位)


ペリカンズは失点も多いですが、リーグ2位のシュート成功率を武器にオフェンス力で勝利を狙うチームです。

その中心はアンソニー・デイビスというリーグ最高のビックマンですが、個人技で決めるのではなく、チームメイトからのタイミングが合ったアシストでイージーシュートを決めていきます。ペリカンズは鮮やかな連係が特徴のチームなのです。

しかし、得点が多いだけではNBAでは「オフェンス力が高い」と評されません

一般的にはオフェンシブ・レーティングという指標を使ってオフェンス力を評価します。これは「100回のオフェンス機会で何点取れるのか」という指標です。

オフェンシブ・レーティング 107.7点(9位)
ターンオーバー 14.9回(22位)※少ない方が高い順位


こちらの指標だとペリカンズのオフェンス力は9位まで落ちてしまいます。シュートの成功率が高いのに、オフェンスの効率が悪いのはどうしてか。それはシュートに至るまでのミスを指すターンオーバーが多いからです。

つまりペリカンズというチームは、「鮮やかな連係でイージーシュートを決めるものの、その連係においてミスも多い」ということです。

では、平均得点がここまで高いのは何故なのでしょうか。

それには試合のペースの速さが関係しています。

ペリカンズのオフェンス機会は、1試合平均102.7回でリーグ1位を誇ります。そのため「オフェンス効率は高くなくとも、より多くの回数攻めるため得点が多い」のです。

まとめると、ペリカンズは得点と失点だけを見れば「オフェンス力で勝つチーム」なのですが、もう少し細かく分類していくと

速い展開の中で、ミスを恐れない連係プレーで得点するチーム


になります。あれっ? これって立派な戦術分析じゃないか!?

4.NBAにおける戦術の流行が分かる

このようにデータからチームの特徴を調べていくのですが、同時に多くのチームに共通するNBA全体の流行も分かってきます。

2017-2018のシーズンにおいて、NBAではやった戦い方とは?


「展開が速い」もその1つです。2017-2018のシーズンで、最も展開が遅いチームの1試合のオフェンス機会は平均97.0回でした。これは5年前だと4番目に速い展開のチームになります。つまりは5年間で多くのチームが展開を速くすることに勝機を見い出しました。

そのため現代は、

機動力の高い選手を貴重とする「速さが高さを凌駕する時代」である


と言えます。

ハイライトでは豪快なダンクやブロックショットで沸かせるビッグマンが、実際の試合を観ると頻繁にスピードで置いていかれるシーンが出てきます。

こうやって勝率を上げる戦術が短いスパンで次々と編み出されていくのがNBAの世界です。

シーズン中は全てのチームが時代の流れを取り入れつつ、自分たちの特徴を活かした形に変化していくので、シーズンの最初と最後では別のチームに変化することも珍しくありません。

そうこうして全てのチームから目が離せなくなり、各チームのことをブログにつづっています。幸いにも読者からは「昨シーズン以上に試合を観る楽しみ方が広がった」「試合を観てもやもやしてしまう部分が解決された」という意見をいただけました。

  • ハイライトを観るだけでも楽しい
  • でも試合を観るともっと楽しい
  • データを知って試合を観るともっともっと楽しい

楽しいNBAをより楽しく観戦させてくれるのがデータなのです。

それにしても年間250試合は観過ぎですよね。日本で1番観たのではないでしょうか。その結果、小説もゲームも買わなくなったので経済的な趣味になりました。

明日からできるデータ分析のコツ3つ

データ分析の面白さに興味が湧いてきたでしょうか? でも「やっぱりデータは専門家が使うもの」と抵抗がある方もいらっしゃると思います。

ですが、「NBA Stats」というサイトでデータが公開されているので、そこから数字を拾ってくれば誰でも分析ができます。全て英語ということもあり探し方は少し面倒かもしれませんが、そこは慣れるしかありません。

次は私が考えるデータを使った分析の始め方を3つ紹介します。

1.まずは試合を観て気になったことを調べる

得点を稼ぐ上で重要なのがコーナーから打つ3P(スリーポイント)です。特に右コーナーからの3Pは、リーグ平均で40%決まったスイートスポットなのです。

しかし、「シカゴ・ブルズ」というチームの試合を観ていると、ジャスティン・ホリデーという選手が右のコーナーからシュートを外すシーンが目立ちました。シュートが苦手なのかと思い、左右のコーナーから打つ3Pを比較すると、

右コーナー 91本中29本成功(シュート成功率32%)
左コーナー 49本中22本成功(シュート成功率45%)


左コーナーの方が得意ということが分かります。しかし、打つのは苦手な右コーナーからばかりです。3Pの確率を評価されている選手ではないですが、もしも左コーナーだけから打てば、素晴らしいシュート力の持ち主と評価されるでしょう。
(なぜ右コーナーから多く打っているのかは分かりません……)


ジャスティン・ホリデーのプレイの様子。こちらはハイライトなので左右のシュートを決めていますが、データによれば左コーナーからのシュートが得意のようです。

なお、このホリデーの弟もNBA選手です。弟はもっと酷くて、左コーナーからのシュートの成功率が43%なのに対して、右コーナーはなんと16%しか決まりませんでした。きっとホリデー兄弟は、オフシーズンに右コーナーからの3Pを練習しているはずです。

「データ分析」と聞くと小難しく聞こえますが、決して難しいものではなく、試合を観ていて気が付いたことを調べてみるのが基本です。

すると面白い事実が分かってくるので、それをチーム単位で比較していくと戦術的特徴が出てくるわけです。

2.好きな選手を身体的特徴から紐解く

とはいえ最初はもっと身近なデータがいい、ということであれば、気になる選手の身体的特徴に着目するのもおすすめです。

例えば、今シーズン大活躍したドノバン・ミッチェル。

ルーキーでありながらも驚異的な大活躍により、既にNBAファンなら知らない人はいないレベルの選手になりました。この選手には以下のような身体的特徴があって、それを他の選手と比べると非常に面白いものでした。

身長 185cm
体重 95kg
体脂肪率 5.9%
ウイングスパン
(両腕を水平に広げたときの左右の指先から指先までの長さ)
208cm


身長はNBA選手としては小さいですが、身長の割に体重が重く筋肉量が多いです。そして何よりも手が長い。ウイングスパンだけなら身長が20cmくらい大きい選手と同程度です。

さらにドラフト前の身体能力測定において、ミッチェルはジャンプ力とダッシュ力でトップとなりました。
(2017年12月の私のブログで、現役選手と比較したときに「ジャンプ力が昨季のダンクコンテストチャンピオンくらいある」と書きましたが、実際に2018年2月に今季のダンクコンテストチャンピオンになってしまいました……)


また、この身体的特徴が流行に逆らったものだったことも興味深いです。

実は2017-2018のシーズンに選手の間で流行したのは「ダイエット」です。

肉類を食べない選手も増えてきました。試合展開が速くなってきたので体重を軽くし、よりスピーディーなプレイができるように努力する選手が多くいるのです。

そんな中、真逆を進んだのが小さくて重いミッチェルでした。

強く圧倒的な突進力でディフェンスをものともせず、高いジャンプ力で大きな選手に向かっていく。そして腕の長さを利用した柔らかなシュートでフィニッシュする。自分のアドバンテージを活かしきった戦術と言えます。

試合中のデータだけでなく、身体的特徴も知ることで、その選手のスーパープレイが理解できることもあります。

3.あえて反対のことを調べる

NBA選手は子供の頃からチームのエースとして活躍し、得点力が素晴らしい選手が大半です。そこで逆にシュートが下手な選手を調べてみました。


ここで取り上げた代表格はアンドレ・ロバーソンという選手。シュートが下手な選手として知られています。

フリースローの成功率 32% ※リーグ平均は77%
3Pの成功率 22% ※リーグ平均*1は36%


特にフリースローは中学生にも負けそうな水準です。しかし、ロバーソンがケガで離脱すると、チームは勝率5割にまで落ちてしまったのです。NBAの中で飛び抜けてオフェンス力がないとされる選手が勝利に欠かせない貢献をしていたのです。

さらに得点力がない選手としてロバーソンに続くのが、アンドレ・イグダーラとPJ・タッカーという選手です。両者はリーグ1位と2位のオフェンス力を誇るチームに所属しています。

シュートを決めれば目立ちますが、3人ともシュートに至るまでのパスをミスなくつないだり、スペースを作る動きをしたり、味方のミスを素早くカバーしてルーズボールを奪ったり……と、その活躍の幅はかなり広いです。

シュートを打つのは1人だけ。だからこそ打たない選手に着目することで、地味だけど重要な役割をこなしていく選手たちの良さを発見することができるのです。

データを超える理不尽たち

こうやってデータを並べて戦術分析して、と繰り返していると「勝敗予想してください」とリクエストされることがあります。

しかし、まぁ、これが……当たらない

それは戦術や戦略が拮抗していくほど、最後に勝負を決めるのはデータを超えてくる「理不尽なまでの個人の能力」だからです。時にはそんなスーパースターの突出した個人の能力に頼って作り上げられた戦術もあります。

試しにYouTubeで「2017 and 2018 nba highlights」と検索すると驚きのプレイが数々出てきます。


誰にも止められないステップバックシュート、全てを粉砕するパワー、あり得ない体勢からのシュート、ディフェンスをあざ笑うハンドリング……etc.

同じ相手との連戦においてはデータを活用した戦略的駆け引きが繰り返され、そして重要な試合でデータを超えたプレイを連発する。それこそが本当のスーパースターなのです。

ちなみにデータを活用して戦術を語るブログを書いている私ですが、持っているユニフォームは “理不尽” の象徴のようなコービー・ブライアントの若き頃のものの1つだけです。

キャリアを通じて3Pの成功率が33%というデータが嘘のように、試合終了間際に逆転シュートを何本も決め続ける選手でした。

現代はデータ分析が進み全てが丸裸になっているからこそ、データを超える理不尽なスターの魅力が際立ちます。それこそがNBAの最大の魅力ではないかと、私は思います。

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初心者でもハマれるNBAの魅力

『NBAのデータ見ながら語ります!』

ブログのタイトルからするとNBAマニアっぽいですが、私が本格的にNBAにハマりだしたのはこの1年です。それまではNBAに興味はあるものの、年間10試合+ファイナルくらいのライトなファンでした。

「1シーズンだけ本格的に観戦してみよう」

そんな軽い気持ちで観戦し始めたところ、データの助けを得られたことで、試合の見方が変わり、新しい選手を知り、チームの特徴が分かり、リーグの流行が分かり、選手の活かされ方を知り、脅威のルーキーに感動したのでした

こうしてどんどんとのめり込んでいくことに……。

観戦歴が短くても、自宅にあるパソコン1台で過去のさまざまなデータを掘り出して知ることができるので、NBAは初心者でも親しみやすいのではないかなと思います。

一例として私の分析を紹介しましたが、きっと分析の仕方も人それぞれでしょうし、そこがまた面白いのではないでしょうか。

バスケ未経験でもハマっていく人がいる垣根の低い世界だけど、先の先の先まで深い魅力が詰まった世界。ぜひ気軽に足を踏み入れてみてください。

著者:whynot!

whynot!

NBA好きがより深くNBAを楽しめるために、 「今までにない」ほどではないけれど、 データを使って 幅広く視点を変えて楽しめるようなブログを目指して書いています。でもデータを使わないときの方が反応が良いのが悩み。

ブログ:NBAのデータ見ながら語ります! | バスケをデータを使って分析・紹介するブログ

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