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赤ちゃん用おもちゃから古着素材のリカちゃん服まで。めくるめく「裁縫」の世界

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集合写真

これは最近の作品。フェルト製のミニチュアお寿司です

こんにちは、ちちかわえみぞうと申します。現在8歳の長女、6歳の長男、4歳の次男の3人の子を持つ母として、日々目まぐるしく走り回るような生活を送っております。

育児中のお父さんお母さんって、どうしても行動が子ども優先になりがちだし、特に子どもが小さいうちは日々の家事育児と仕事にいっぱいいっぱいで、とても自分の趣味を楽しむどころじゃない! という方も多いのではないでしょうか。

我が家でもご多分に漏れず、博物館探訪や山歩き、ライブ、スキーといった大人の趣味は、ここ数年ほぼ封印されてしまっているのが現状です。

そんな中、逆に育児中心の生活があったからこそできた新たな趣味もあります。

今回は、個人的に子育て世帯の方にピッタリの趣味なんじゃないかな、と思っている「裁縫」の魅力とその奥深さについて語ってみたいと思います。

裁縫を始めたきっかけ

個人的にもともと細かい作業をするのが好きで、裁縫も嫌いではなかったのですが、決して手作りが趣味というほどではありませんでした。

ところが産後、まず細切れでしか睡眠時間がとれない事実にがく然として、当時住んでいた狭くて壁の薄い社宅アパートで、少しでも大きな音を立てると即座に泣き出す赤子を抱え、大げさでなく本当に途方に暮れました。

生活音にも気を使うだけでなく、泣き出す前兆の小さなフニャフニャ声を瞬時にキャッチしなければならないためTVや音楽も流せない。ゲームや読書もかなり頻繁に中断させられる上に、寝不足すぎて集中力が続かず内容が頭に入らない。気晴らしになる楽しみが何もないのです!

そんな中、

  • 音が出ない
  • どんな場所でも手元ですぐ始められる
  • あまり頭を使わずストレス解消になる
  • 赤子が泣いたら瞬時に中断できる
  • すぐまた途中から再開できる

という観点で、産後しばらく経ってから手探りで始めてみた小さな楽しみが、裁縫でした。結果的に、その後7年ほど経った今でも、そして今後もずっと続けていけそうな趣味となっています。

1. 手縫いの時代 ―赤ちゃん用おもちゃの量産―

最初に手を出した裁縫ジャンルは、なんでも口に入れてしまう赤子のために考えた、ガーゼやタオルでできた洗濯可能なぬいぐるみ玩具でした。用意した材料は使い古したベビー用ガーゼやタオル、そして道具は針、糸、布用ハサミだけです。

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見てください、このいかにも不慣れでぎこちない出来栄え! 何もかも懐かしい……。

赤ちゃんは大概、紐やタグなど引っ張る部分がついた布や、触ると音がするおもちゃが大好きなので、ありったけの紐やビニールや小さい鈴などを適当に縫い込んで作りました。音は立てられないので、当然ちくちく手縫いです。

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こちらは私がまだ裁縫始めたての頃の手縫い作品。古着とフェルトを使って魚の形に縫い、目玉はワイシャツ用のボタンをつけ、背中に紐を挟み込んで赤子の上に吊るせるようにした、布製モビールです。


ちなみに針などの裁縫道具はその辺に置いておくと危険なので、常に裁縫セットの小箱と、作りかけの布地をまるごと入れられるトートバッグを側において、使わないときは小箱と布地をトートバッグにしまい、サッと壁面(子どもの手の届かない高さ)にかけておけるようにしていました。

ちなみに、今はいわゆる昭和の家庭科道具箱みたいなものばかりではなく、おしゃれなポーチやバスケットに入ったかわいい裁縫セットもたくさんあるので、好みのものを手元に置いておくとよりモチベーションが上がっていいかもしれません。


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もう少し子どもが大きくなってくると、第一子が女の子だったこともあってフェルト製のおもちゃセットや、簡単なポシェットなども作るようになっていきます。

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こちらは、フェルトで作ったミニチュア食品。100円ショップのままごと皿や調味料入れの小さなタッパーに詰めてお弁当ごっこをしている様子です。

お化粧道具一式

これは重ねた厚紙をフェルトで包んで縫いとめたお化粧道具一式、その名も「げんていこふれせっと」。鏡はアルミホイルでできています。

アイスクリーム

そしてこちらもフェルト製、型紙から試行錯誤して作った「アイスクリームやさんセット」です。コーンの上に何個も重ねて遊べるようにしたので、小学2年生になった長女が現役で使ってくれています。

「古着をどうにかしたい」という思いが、裁縫趣味を加速

実際に育児してみて驚いたことの一つですが、小さい子の服やら帽子って、下手をするとワンシーズンでもうサイズが合わなくなるし、すぐにシミがついたり穴が開いたりして着られなくなるんですよね。

中古品で売れるほどの高級ブランド品でもなく、よそ様にお下がりできるほどキレイでもないけれど、雑巾にして捨てるにはちょっともったいないぐらいの古着が、季節替わりには毎回うんざりするほど大量に出ます。


収納スペースには限りがありますし、そしてこの頃には再び夫の転勤で引っ越したことで、私自身の洋服の整理もかねて、「古着をどうにかしたい」というのがしばらく生活上の重要なテーマになっていました。

なんとか使えそうな部分だけでも再利用したいと、捨てる予定の古着からボタンや紐などの「パーツおよび何かに流用できそうな布地だけを切り取って保管する」という処理法を編み出し、手芸材料のストックとして溜めることで、「この素材と大きさだったら何が作れるだろう?」と考えるクセがつき、それが結果的に裁縫趣味を助長していった次第です


そのうち古着屋さんでも

(このジャケットの布地は色々使えそうだし、手芸店で買うと1,500円はするのに100円で投げ売りしてる! 安い! すごい!)

という、いわば「パーツ取り用のジャンク品」視点で古着を見るようになってしまいました。

モノづくりをする立場から考えると、リサイクルショップって本当にお宝が眠っているダンジョン探検のようなものですね~!

2. ミシンの時代 ―幼稚園グッズから洋服リメイクまで―

ちくちく手縫いがすっかり趣味としてなじんだ頃、裁縫生活に転機が訪れます。そう、それは「子どもの幼稚園入園」という一大イベント。

入園式までに、絵本が入る手提げや上履き袋、雑巾にタオルにお弁当袋にコップ袋などなど、大量の入園準備品が必要になります。

園の説明によれば「市販品でも別に構わない」とのことでしたが、書類を見ると縦何センチの横は何センチで、紐の長さは何センチ以内でこの位置、名札はこの位置にこの大きさで……と、品物のサイズ指定がやたらと細かい!

いちいち近隣の店や通販で指定条件に合う商品を探し回るのは相当骨が折れそうだということと、その時点で既に第三子を妊娠していたため、この先三人分も作れば充分に元が取れるだろうという目論見で、思い切ってミシンを購入することに。


ミシンなんて触るのは中学校の家庭科以来はじめてというありさまでしたが、既に「裁縫は楽しい」という感覚だけは持っているので、まずは単純に直線縫いのみで一通りの入園グッズと、授乳ケープやおむつケースなどをヘタなりにいくつも作りました。

巾着袋


こちらは、それぞれ別の古着から取った布地とボタンを組み合わせて作った巾着袋です。授業参観の際のスリッパ入れとして利用しております。


我が家はなにしろ子どもが3人もいるため、外出のたびにおむつやおしりふき、着替えにおやつに日焼け止め、タオル虫よけ絆創膏などなど、とかく荷物が多くなりがちです。よって巾着袋はいくらあっても困らないほど、大小さまざまなサイズを用意しておきたいマストアイテムなのです。

そのためしばらく、同じようなヒッコリー生地のハギレを見つけるとどんどん買い込み、購入時のサイズのまま二つ折りにしてひたすら巾着袋に仕立てていくという時期がありました。


徐々に手慣れてきたら、次は調子に乗ってウォールポケットやらレジ袋ストッカーなど、「前からこういうの欲しかったんだけどなかなか気に入るデザインのものが見つからないんだよね」系の生活便利グッズにもチャレンジするようになっていきます。

長ネギ&ごぼう専用バッグ

これはキッチンで使う「長ネギ&ごぼう専用バッグ」。生成りの生地でインテリアになじみつつも、保存時の風通しを考え、片面がネットになっています。こういうの売ってないかしら……という主婦の発明品みたいなものですが、うまいこと具現化できると大変楽しいです。


それと、いよいよ身につけるアイテムにも手を出します。おそろいの帽子にポシェットにエプロン、オレンジ色のTシャツを使って子どもが履くハロウィン用のかぼちゃパンツなどを作るように。

帽子

写真の帽子は古着のデニム地に、接着芯を貼って強化したものを使用しています。裏地は母のスカート。


ちなみに、ミシンと同時に購入した「仮止めクリップ」は、ぜひみなさんにオススメしたい道具。縫う前に布を挟んで固定するための商品なんですが、まち針では固定しにくい帆布のような厚手の生地でも、つるつるした薄い生地でもしっかり留められます。布地に穴が空いてしまうこともなく、三つ折りなどもサクサク挟むだけでしつけ縫いの必要がないので、とても助かっています。

仮止めクリップ

愛用している仮止めクリップ


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裁縫はストレス解消にもなる

育児中の生活は、日々の家事作業に追われ、気分のスイッチを切り替えるポイントがなく何もかもが中途半端に終わってしまいがちでした。そのため「何か一つのことを最後まで、納得いくまでやり遂げた」という満足感を得る機会があまりないな……と思うこともありました。

そんな中手縫いの裁縫を始め、後にミシンが導入され、特に型紙不要でほぼ直線縫いだけの簡単な作品なら数時間程度で完成できるようになったことで、あるとき、ふと自分が裁縫を通じて「自分の力で作ったというちょっとした達成感&完全に自分好みの雑貨を手にした満足感」を得ているのに気付きました。


そうか、もう昔のように音を立てるのを怖がらなくてもいいんだ。子どものためでなくても別にいいんだ。いつでも気に入った布地を使って自分用のネックウォーマーやバッグなど、自分が好きなものを好きなように作れる自由があるんだ! という思いが精神に余裕をもたらし、心置きなく趣味として楽しめるようになったのです。これはストレス解消という点で予想外に嬉しい効果でした。


このあたりから、「何かを作る必要があってミシンを使う」という流れではなく、「せっかくミシンがあるんだし何か作ってみようかな」という動機を持つようになり、子どものためというよりも、もはや個人的な趣味としてのモノづくりへと移行していくことになります。

3. 趣味の時代 ―好きなものを作る楽しさ―

やがて長女の誕生日に夫がリカちゃん人形を選んでプレゼントしたことをきっかけに、また一段とマニアックな趣味、「古着を利用したドール服作り」が始まります。


夫がくれたのはプリンセスのドレスを着た単体のリカちゃんで、付属のアクセサリーはあっても着替えはありません。プレゼントされてからしばらくしたある日、長女がリカちゃんで遊んでいるところをふとのぞいたら、こんなことになっていました。

リカちゃん

なんと、長女は色紙をハサミで切ってセロテープで貼りつけ、リカちゃんのオリジナルドレスを作っていたんです。ところが悲しいことに、洋服を立体として作る知識はないから正面から見た服のシルエットをそのまま切り出していて、横から見ると完全に裸エプロン状態……。


これはちょっとリカちゃんがかわいそうかな~(あと他人に見られると変な趣味だと思われそうだし)、というわけで、家にあったフェルトを使ってごく簡単なワンピースを作ってみました。

リカちゃん


フェルトを使った理由は、まず材料費が安価なことと、布端の始末(ほつれ防止処理)がいらないこと、それに型紙なしでも製作途中でリカちゃんの身体に合わせながら自由にハサミを入れ、好きな形を作れる、などの点で手軽度が高いからです。ちゃんとした服の型を考えるための仮縫いにもいいんじゃないかと思います。


そこからはまさにズブズブと沼にハマるかのように、手作り服が増えていきます

リカちゃん

同じ型紙でワンピースの色違い、それに合うバッグやアウターなどの小物。

リカちゃん


長女のリクエストで、お姫様のロングドレス。

リカちゃん


さらにはコート、セーターなど、季節ごとの着回し普段着アイテム。

リカちゃん


果てはランジェリーやらブーツ、バッグにスリッパなどの服飾小物。

リカちゃん


しまいにはとうとう家具まで手作りし始めたり


……などなど、人形の数(2体)に見合わない大量のアイテムが生産され、今もまだ増え続けています。長女のお友達が遊びに来ると、むしろお母さんのほうが興奮して喜んでくれる着せ替え人形セットです。

リカちゃん

ずっと古着の再利用法を見つけるために、それぞれの素材に見合った制作物を探っていたわけですが、そこにこの「リカちゃん人形の服づくり」という大きな需要が生まれたことで、モチベーションの行き先が一気に明確になったようです。


もはや「長女の人形遊びのため」という当初の目的は最初から存在しなかったかのように、次々と作りたいドール服のアイデアが湧いてきて、手持ちの材料を駆使した製作も楽しく、また古着のみならず自分が今現在着ている服でさえも、

(この袖の部分はリカちゃんのスカートに良さそう)

などと手芸パーツとして見るようになってしまいました。はい、すっかり裁縫沼にハマってしまった状態です。

リカちゃん


リカちゃんって本来は小学5年生なんですが、勝手に「新人OLのオフィスカジュアル」だの「元モデルの日常セルフポートレート」など細かい設定を決めて部屋をセッティングしたり、流行りのSNSっぽくグラビア撮影をしたりして。


こうなるともうすっかり大人の趣味で、完全に私一人のお楽しみと化しています。

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裁縫の魅力とは

裁縫というものは、もくもくと細かい作業をするのがお好きな方であれば、モノづくり系の趣味の中でも、特別な道具や専門知識なしでも気軽に始められるうちの一つです。

特に身動きが取れない乳幼児との生活での手頃な時間つぶしにはぴったりですし、出不精なインドア派の人にもぜひオススメしたいですね。

裁縫の経験がないので練習したい、または一からデザインして何かを作るのはちょっと面倒……という方には、まず刺繍から手を出してみるのがオススメです。刺繍は針と糸だけで始められるし、手持ちのハンカチやシャツ、子どものスタイ(よだれかけ)などにワンポイント加えるだけでも、オリジナル作品としての愛着が湧きます。見本付きの初心者向けキットなどもたくさん売っています。

刺繍

タオルハンカチと靴下にワンポイント刺繍を施しています

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自分で裁縫ができると、家族の好みだけでなく、体型や家具のサイズなどに合わせてデザインし自由に作れるという、いわば布を使ったDIY的な魅力もあるので、男性も楽しめるし、そのうちドール関連にハマったり、木工や革細工などに手を出したり、ちゃんとした衣服製作に移行してもよし、ベッドカバーやカーテンなどインテリア系の大物に挑戦するのもアリでしょう。この沼はもしかすると底なしかもしれない……!

私がやってみた中で、特に古着を材料に使った裁縫が子育て中の方に向いているな~と感じた理由は、

  • 外に出かけられない環境でも、一人静かに、「いつでもどこでも手軽にできる」こと
  • 作品を完成させて小さな達成感を得ることで「日々のストレス解消になる」こと
  • 大量に出続ける古着のよい再利用先になるので「もったいない感が薄れる」こと
  • 材料をいちいち買ってくる必要がなく費用が抑えられ、「節約になる」こと
  • 完全に自分好みの、「こんなのが欲しかったというモノが手に入る」こと

などの点にあります。

リカちゃん

そんなわけで今ではもっぱら、私の個人的な趣味としてちょっとした空き時間などに裁縫をたしなんでおります。何が嬉しいって、今後どんどん育児生活から遠ざかっても、年を取って体力が落ちておばあちゃんになっても、ずっと続けていけそうな趣味が得られたという事実ですね!


市販の手芸本など読むとなんだかすごく難しそうだけれど、あまり深く考えずに、まずは小さな作品から始めてみたらいかがでしょう。楽しいよ~!!


著者:ちちかわえみぞう

ちちかわえみぞう

8歳長女、6歳長男、4歳次男の3きょうだいの母。気晴らしはもっぱらネットに頼る日々。ブログでは作ったものを気が向いた時に記録しています。
Twitter:@emi_haha
ブログ:手すさびに紅き萱穂を