それどこ

5歳の息子の「ひらがなの練習」をやってみたら戦いになっちゃったので、だったらということで日課をつけてもらうことにシタ!

息子にひらがなの練習をやってもらうにはどうしたらいいだろう。5歳の息子がひらがなを書けるようになるまでに考えて工夫した教え方をご紹介します。

5歳の息子は昆虫が大好きです。

3歳の頃からはじめた昆虫採集も2年以上が経ち、よくここまで好きでいられるなと感心するほどのハマりっぷり。

春から夏は毎週末採集に出かけ、季節が過ぎると家で標本作りに幼虫のお世話。冬でも念のためにと捕虫網を担いで公園へ……完全に昆虫採集によって生活リズムが成り立ってしまっています。


まさしく「遊ぶことが仕事」とは言い得て妙。

ただの遊びなのか、それともどこかでお給金でももらってるのか。

そんなことを思うほどに、年々と高まる昆虫への想いと採集の上達ぶり。遊びの世界にも出世があるのだとすれば、ぜひ昆虫部の課長にでも昇進させてやりたいと思っています。

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でも現実は、おかっぱ頭の鼻垂れ5歳児。ふつうの子。

そんな息子に「ひらがなの練習をしてみない?」と、話したのが今から約10ヶ月ほど前のこと。息子が好きな昆虫の季節がやってくる少し前です。そのオフシーズンを使って家でできることはないだろうか、とずっと考えていました。


息子の絵本はほとんどが昆虫のお話。図鑑もすべて昆虫です。日がな一日、それらを寝る前に読んでやり、幼虫の世話をするときも図鑑で餌を調べたり……そういうオフシーズンを過ごすうちに、私の中で


「息子自身も読めたら、もっと昆虫採集が楽しくなるかもしれないな」

「きっかけがないだけで本当は字にも興味があるんじゃないかなあ」


と、思いはじめるようになりました。実際に図鑑の「かぶとむし」というタイトルの「か」を指差しながら「これは『か』ってよむの?」と聞いてくることもあり、兆候のようなものを感じることもありました。


2歳の頃のトイレトレーニングや、3歳の頃のお箸の練習の時と同様に、「息子なりの成長や得意なこと」「できることできないこと」、あるいは「その時期が何かの練習をするにあたって適切なのかどうか」、そして何よりも「私と息子との間にある関係性」を大切にしながら、その方法をずっと探していたのです。

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2月:おべんきょうじゃない

春の昆虫採集がやってくるひと月ほど前。

私が最初の一歩として選んだのはスーパーヒーロー戦隊の「ひらがなドリル」でした。値段もそんなに高くはないし、昆虫と同じくらい好きなスーパーヒーロー戦隊で遊びながら学べるのは、なかなか良いんじゃないかなと思い買ってみたのです。


ところが、本屋さんでドリルを手に持ちながら「やりたい!」と言っていたはずの息子が、実際にドリルを開いてひらがなを読んだり書いたりすることは、あまりありませんでした。それよりも、付録のシールを机や私に貼って遊び、ヒーロー戦隊の絵や写真を見てニヤニヤして喜ぶばかりで全く進みません。わお。

時期が早かったのか、ドリルでの「ひらがな学習」はうまくいかず。

それではということで、次に考えたのが「かるたあそび」です。そういえば保育園の先生も「かるたはひらがなに興味を持つきっかけになるのでいいですよ」と言っていたような気がします。


……が、これがまた大変なことに。

昆虫のかるたを選んだわけではないのですが、偶然そのかるたの絵札に「けむしがあんだけいとのはらまき(毛虫が編んだ毛糸の腹巻き)」という1枚が。

とにかくそれを取るか取られるかが気になる昆虫好きの息子。「ひらがな学習」というよりは、まるで“戦い”と化してしまったのでした。わちょー。

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結局ドリルにしてもかるたにしても、はじめはうまくいきそうな印象があったのですが、2回目、3回目……と回数を重ねるにつれて、だんだんと本来の目的から外れてしまい続きませんでした。


けれど振り返ってみると、その原因は私にもあったように思います。

ふざける息子を見ていると、ついつい正そうと口うるさくなってしまったり、あるいは、その気持ちから「お勉強」のような空間を作りそうになっていたのです。言葉にはしないけれど、心のどこかに「なんでちゃんとやってくれないんだろう」「何度言ったらわかるんだろう」というふうにして。

できてほしいという気持ちは大切だけれど、私のために息子がひらがなの読み書きをできるようになる必要はありません。本来の私の役目は「息子の興味にそっと後押しをすること」であり、そういうことを考えていたはずなのですから。

9月:すきなことを書いていいよ

昆虫採集の季節を目いっぱいに過ごした私と息子に、2回目のオフシーズンがやってきます。うまくいかなかった最初の「ひらがな学習」から約半年が経っていました。

その間は一度も「ひらがな学習」をすることはなく、とにかく昆虫採集の日々。「セミでもカブトムシでもなんでもとれるようになったよ!」と、採集が上達したことで自信をつけ、おにいちゃんらしさを増してゆく息子。

そこで今度は、その息子の自信を生かしてひらがなを学習する方法を考えてみることにしました。


息子が必要と感じていないひらがなを、私が主導して「教える」のではなく、息子がやりたいことを成し遂げていくうえで自然とひらがなが必要になっていくような方法……

それは「やりたいことリスト」です。


方法はすごくシンプルなもの。A3の画用紙に、色鉛筆でテーブルの前の壁に貼りつけたひらがな表を見ながら「やりたいことを書いていく」というだけです。その日の気分で好きな色を使って書いていきます。

息子が「やりたいこと」を書いている間は、私はただ横でその様子を見守り、わからないことがあったときに手助けをしてやります。間違いを注意したり正すことはありません。

ひらがな表は前回の学習で使ったヒーロー戦隊の付録なので、息子の食いつきも思った以上に良かったように思います。

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決まり事としてはこんな感じです。

(1)やりたいことを書く
(2)内容はなんでもいいが同じ内容は書かない
(3)一文字だけでもいい(例:「ようちゅうのおせわをする」であれば、初めの「よ」だけを息子が書き、残りは私が書く。すべてを書くことが目的ではないのでそれで良しとする)。

この提案をしたときは息子がどんな反応をするか少し心配しましたが、意外にも「いいよ!」という返事をもらい、なかなかの好スタートとなりました。


こちらは息子がはじめて書いた「やりたいことリスト」です。ひらがなは丸で囲んだ一文字だけで、あとは私が補足してやります。時間は10分くらい。

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(1)おやつを食べる
(2)幼虫を調べる
(3)ごはんを食べる


今までは「◯時になったらお風呂だよ」「もう◯時だから早くごはん食べてね」「◯時になったら寝るよ」「もうそろそろ行かないと間に合わないよ」というふうに、親である私の限られた時間の中で息子の時間を割り当てていく生活スタイルでした。しかし、この「やりたいことリスト」を使うようになると、息子自身も「自分のやりたいことをやれるんだ」という楽しさと「自分で考えて書いた責任」から自ら行動を起こすようになり、生活自体がスムーズになりました。

こうして「遊ぶことが仕事」という言葉通りの日常の中に、「お勉強」ではなく「遊び」の延長上として「ひらがな学習」を置いてあげると、自分の意志で必要な言葉を探すことが楽しくなるようです。そして、それがうまく書けると、今度は次の字にも挑戦するようになっていきます。


ひと月も経つと、3文字くらいであればすべて自分で書けるようになってきます。簡単な「へ」や「つ」よりも、「あ」とか「み」のようなちょっと難しそうな字のほうが覚えが早かったりもして、そういう発見がまたおもしろい。

また、まだまだ感覚的な段階だとはいえ、濁点や「っ」などの促音にも興味を示すようになってきます。やりたいことのためにとりあえず書いてみよう、という気持ちが大切です。

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(1)蝶を逃がす
(2)絵本を買う
(3)スパイダーマンを見る
(4)ご飯を食べる


そして現在の様子がこちら。 息子自らが文章のように書くこともあり、少しばかり驚きもあります。

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(1)折り紙で鶴を折る
(2)ご飯を食べる
(3)かたつむりのお世話をする
(4)絵本を読む


先月の七五三の時にはいつもより少し長めに書いてがんばっていました。

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(1)神社に行く
(2)写真を撮る
(3)おやつを食べる
(4)ご飯を早く食べる
(5)ねんね


とはいえ、よくわからないリストを書く日もあります……

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(1)犬のテレビ
(2)おならをする
(3)ねんね

けれど、こういうことを書いたとしてもオッケー。なんでもやりたいことを書いていいのが「やりたいことリスト」です。

現在:あたらしい発見

はじめて「やりたいことリスト」を書いてから日課として継続して4ヶ月目。ひらがな表から書きたい字を探し、それを声に出して読み、そして書き写す……を繰り返し、今ではほとんどのひらがなを覚えられるようになりました。

数字のほうは「いち、にい、さん、しぃ、ごぉ、ろく、ひち、はち……にじゅう」と、20あたりまでは順調に書けるのですが、そのあとは「むげんむげんむげんむげん!」と叫びながらの無限戦法で誤魔化していますけどね……

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最近では、保育園から帰宅して手洗いを済ませたら、すぐに「さぁーきょうのやることかこー!」と、ノートと鉛筆を取りに向かいます。

レゴに、おやつに、戦隊に、昆虫のお世話。あとはごはんを食べたら歯みがきをしよう。そして、絵本を読んだら抱っこしてねんね……と、一日のスケジュールを書きます。


また、ひらがなの読み書きができるようになったことで「かぁー、ぶぅー、とぉー、むぅー、しぃー! あー! よめたよー!」と、寝る前に私が読んでやっていたカブトムシの絵本を台所まで持ってきて「自分でも読めた!」 という、その新しい発見をうれしそうに教えてくれます。

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遊ぶことで学び、息子は成長していきます。私も数十年前は息子と同じように子ども時代を過ごしてきました。ところが大人になると、ついつい忘れてしまうことがたくさんあり、その度に後悔と反省を繰り返します。

いっときのことであれば我慢できるかもしれませんが、やはり継続して学んでいくうえでは「やりがい」や「楽しさ」が大切です。そんな大切なことを、今も変わらず昆虫に夢中になって一年中遊ぶ息子から改めて気づかせてもらえたように思います。 そして「子どもと共に成長する」という親の在り方さえも息子から教えてもらっているのです。

おわりに:まちがってもいい

前回の記事で書いた2歳のトイレトレーニングも、今回の「やりたいことリスト」も、どちらにも共通していることは「決して上手にできる必要はない」ということです。

というのも、息子は性格的に慎重というのか怖がりというのか、できなかったり間違ったりすることを単純に「悪いこと」だととらえてしまうところがあります。ですから、やりたいことを自由に書いていいよと言われても、時々「あってる?」というふうに、急に心配になって聞いてきます。

そういうときは「間違ったっていいんだよ。ぐちゃぐちゃになっちゃったら次のページに書いてもいいんだし、あとは消しゴムだってあるじゃん」と、ゆっくりと説明をしながら、失敗や間違いを繰り返して大きくなってきたこの5年間の成長を褒めてやります。はじめの頃はあんなに捕り逃がしていた蝉だって蝶だって、今では随分と上手に捕まえられるようになったじゃないかって。そういう姿を、この5年のあいだ私は隣でずっと見てきたのですから。


だから、まちがったっていい。何度も繰り返せばいつか必ず上手になれるはず。今はそれよりも、ひとつひとつのことを楽しんでほしい。遊びの中で学び、大きく成長してもらいたい。

そして、きっとこの「やりたいことリスト」という遊びがこれからの昆虫採集にも役に立ってくれるはず。


さあ次は、昆虫部課長を目指すんだ! (そんなのありません)

おわり。

著者:トイトーマス (id:toithomas)

トイトーマス

餅好き美術系フリーランスが「私のブログ」でこどもの事とか虫の事とか書いてます。

好きな昆虫はニジイロクワガタとオサムシ。餅米ください。

社会的責任[CSR]