それどこ

スペイン人から直々に習った、スペインの家庭料理「ポジョ・アル・アヒージョ」と「ギソ」

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こんにちは、えぼりです。

普段は看護師として働き、要請があれば海外へ医療支援活動に行っています。活動内容は、アフリカの電気も水道も通っていない少数部族の村の診療所でお産に立ち会ったり、予防接種をしたり、南米の小学校で衛生教育をしたり、自然災害後に避難所を回る巡回診療に参加したりと、さまざまです。

わたしはなぜか海外へ行くと、美味しそうな匂いがする方へ行ってみたら料理中のおばちゃんに「食べていきなさい」と声をかけられて台所で手伝いをしたり、食事に行った店でこれはどうやって作るのかと尋ねると「じゃあ見せてあげるよ」と店主に厨房へ案内されて料理を教わったりする、という特技を発揮することがあります。

今回は、そうして教わってきた料理をいくつか紹介してもらえないかとお声をかけていただいたのですが、お題が「スペイン」。


スペイン……


わたしがスペイン料理を教わったのは、8年前にボリビアの看護学校で教員をしていた頃。ルームシェアをしていたスペイン人のジャーナリストに教えてもらったものです。

食事は大体わたしが作っていたのですが、ジャーナリストらしく批判精神旺盛でいろいろと注文が多いので「そこまで言うなら自分で作れよ!」とキレたら彼も料理するように。それがなかなか美味しかったので、教えてもらうことになりました。

スペイン料理といえば、トルティージャエビのアヒージョ、生ハムのハモン・セラーノなどバルで出てくるようなピンチョスパエリアなどがよく知られていますが……わたしがスペイン人ジャーナリストに教えてもらったのは、ポジョ・アル・アヒージョギソという「普通の家庭料理」でした。よく考えたら、わたしたちがスペイン料理と聞いてパエリアやピンチョスを挙げるのって、外国人が日本食といえば「スシー! テンプラー!」と言ってるようなものだろうなあ。


ポジョ・アル・アヒージョ

さてこのポジョ・アル・アヒージョ、作り方は非常に簡単です。一言で表すと「鶏肉のオリーブオイル煮びたし」が雰囲気的に一番近いのではないでしょうか。食べた友人たちは「スペイン風の焼き鳥」とも言っていました。

まずフライパンにたっぷりオリーブオイルを注ぎ(径にもよりますがだいたい底面全体を1cmぐらいで覆う量)、皮をむいたニンニクを4~5片入れてから中火で熱して

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ニンニクに焦げ色がついたらいったん取り出し

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かなりしっかりめに塩コショウしておいたぶつ切り鶏肉を入れます。

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鶏肉の表面に焦げ色がついたら、弱火にして中まで火を通し、先ほど取り出したニンニクをフライパンに戻します。

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その後、白ワインを1/2カップ程度入れます。蓋をして弱火のまま5分ほど煮立て、好みで塩を使って味を整えれば出来上がりです。オリーブオイルで揚げ煮にしたことで、パサつきがちな鶏肉もしっとりします。残った油にはニンニクの香りや鶏のダシが出ているので、パスタと唐辛子をあわせてペペロンチーノにも使えます。

スペイン料理に欠かせないのが、ポジョ・アル・アヒージョでも使ったオリーブオイル。イタリア料理で使われるイメージがあるものの、実は生産量が世界一なのはスペインで、2位のイタリアの倍以上を生産しています。時期や品種によって味も香りもずいぶん違ってくるのですが、わたしが一番お気に入りなのはメルガレホ(Melgarejo)の「ピクアル」という品種のオイルです。濃い緑色と強い香りで魚介類などに合います。

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また、メルガレホとコラボしたマグボトルがあり、オリーブの木目調の外装がちょっと珍しくてつい買ってしまいました。細身で持ちやすいので気に入っています。

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ギソ

ギソというのは、簡単に言えば「肉と野菜のごった煮」です。

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材料は鶏肉や牛肉、羊肉、野菜のありあわせなど。お米やパスタを入れてもいいですね。

まずはフライパンでオリーブオイルを熱した後、肉の表面に焦げ色をつけます。大鍋に刻んだ野菜類を入れ、その上から焼いた肉を油ごと入れます。表面がかぶる程度に水を追加し、中火で煮立て、沸騰したら“ギソの素”を投入。その後は弱火にして、表面に浮いたアクをすくいながら野菜類が柔らかくなるまで煮込みます。

かつては手間暇かけた家庭料理でそれぞれの家庭に受け継がれたレシピもあったのですが、今は女性もフルタイムで働きに出るのが当たり前になったスペインでは、こういった“鍋キューブ”的なギソの素が売られていて、手軽にさっと作れるようになっています。

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箱にも書かれていますが、ギソの素の味のベースになっているのは、野菜ブイヨン、ワイン、そしてローリエやローズマリーなどのハーブです。この他だと、クロアチア製ですが「ベゲタ・ナチュール」という野菜ブイヨンもおすすめ。煮込みだけでなく、パエリアを炊くときのスープにも使えて便利です。

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「スペイン人は情熱的だとか気まぐれというイメージがあるけど、スペイン人の性質を表す言葉で一番ぴったりくるのは『インプロビサシオン』だと思うんだ」と、ジャーナリスト氏はギソを作りながら言っていました。「インプロビサシオン」は即興やアドリブという意味。あれがないからできないと言って諦めたりしないで、あるもので何とかする、何とかならなかったら……これぐらいできたならいいやと笑っている。それがスペイン人の気質だ、と。


さて、このギソの素は2016年3月にマドリードへ行ったときに購入したのですが、料理を教えてくれたスペイン人ジャーナリストとも久しぶりの再会を果たしてきました。

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本場のパエリア、ピンチョスも食べてきました。この小エビのアヒージョは、ウェイターさんが「ほらっ! 早く写真撮らないと泡が消えちゃうよ!」と出来たてを走って持ってきてくれたおかげで、煮立ったオリーブオイルの泡がフツフツ出ています。

基本的に塩味は強めですが、それでまたワインがすすむ! そしてお店の天井にはびっしりとぶら下がるハモン・セラーノ(豚の脚)! 市場に行けば色鮮やかな野菜や果物、スパイスが並んでいます。

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もうずっとスペインの食の豊かさに圧倒されっぱなしでした。



今はインターネットを通じて世界の食材が買える時代ですので、ここからは日本でも購入可能なスペインを感じられる名産品をいくつかご紹介したいと思います。


チュロスとチョコレート

スペインには老舗のチョコレートショップがいくつかあります。カカオをヨーロッパに広めたのはスペイン人ですが、そのままでは苦くてとてもじゃないけど食べられないカカオに砂糖を加えることを思いついたのもスペイン人です。そのせいなのか、他のヨーロッパの国に比べて、スペインのチョコレートは基本的にかなり甘みの強いマイルド系が多いです。

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メリエンダ(日本語で「おやつ」のこと)の時間に、軽食として定番なのがチュロスホットチョコレートの組み合わせ。チュロスをホットチョコレートに浸して食べます。このホットチョコレートはとろみがついていて冷めにくいので、急いでぐいっと飲まない方がいいですよ。(写真は1881年創業の老舗「バロール」のホットチョコレートとチュロスのセット)

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アンチョビ詰めのオリーブ

スペインで必ず買って帰るものというと「アンチョビ詰めのオリーブ」です。スーパーで3缶まとめて2ユーロぐらいなので、買って帰って職場の酒飲みに配っています。

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王室御用達コスメ

もう一つ、王室御用達でお土産におすすめなのが「アルヴァレスゴメス」のコスメ。マドリードにある5つ星クラスのホテルではアメニティとして使われていますが、くせのない柑橘系の香りが湿度の高い日本でも嫌味にならなくてよいと思います。ハンドクリームやせっけん、小箱に入った個包のお手拭きなどがかさばらなくて価格も手頃です。

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先日は国王夫妻が来日し、日本との間でワーキングホリデー制度が締結されたこともあり、スペインに興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。ぜひとも一度行ってみて、食を楽しんできてくださいね。

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ビール

最後に、スペインはワインも有名ですがビールも美味しいです。そしてびっくりするぐらい安いです。スーパーで1缶0.6ユーロ(約70円)でした。

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「マオウ」というビールが特におすすめです!

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スペイン語での「食べる」という動詞は「comer」というのですが、実は朝食を「食べる」、昼食を「食べる」、夕食を「食べる」という目的限定の「食べる」という動詞もあり、さらにおやつを「食べる」というためだけの動詞まで存在します。

どれだけ食べるのが好きなんだ、「ぐりとぐら」か、と思っていたら、彼らは食べることよりもっと「食べさせる」ことが好きで、これはイスラム統治時代の影響かもしれませんが、びっくりするぐらいの量を出してくる。親愛の情が量と比例しているようで、関西出身のわたしとしては、時期が来ると届くオカンのイカナゴを彷彿とさせます。

男性の口説き文句も「料理を作って食べさせてあげるよ」といった、料理上手アピがほぼ100%を占めます(自験例)。このように、スペインは「食べる」を表す言葉がとても多い、食に対しても情熱的な国なんです。


著者:えぼり

えぼり

金融OLから看護師へジョブチェンジ、最近また学生に戻ったり先生になったり。生涯発達とキャリア形成が専門、でもまだ臨床からも足が抜けそうにありません。
Twitter:@eboli_ef