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【映画好きに捧ぐ!】老舗映画サイト「破壊屋」管理人が選ぶ、世間の評判はイマイチだけど実は面白い映画5選

世間の評判はイマイチだけど、観たら絶対に面白い映画―― 老舗映画サイト「破壊屋」管理人が「騙されたと思って観ろ!」と思うオススメの映画を紹介します。GWは自宅で映画を楽しみませんか?


みなさん、こんにちは。前回オススメ映画を紹介した、破壊屋です。

ネットに溢れている情報といえば「美味しいお店」と「オススメ映画」が思い付くのではないでしょうか。我々はあと何回『ショーシャンクの空に』をオススメされるのでしょうか。

せっかくなので今回は趣向を変えて「世間の評判はイマイチだけど、観たら絶対に面白い映画」を紹介します。矛盾したテーマだけど、その矛盾を乗り越えた映画があるんですよ。

それに世間の評判が最高で絶対に面白い映画となると、やっぱり『ショーシャンクの空に』になってしまう。もちろんこの映画もいいですが、せっかくなら世間の評判のせいで観ずに終わってしまうかもしれない名作に注目してみませんか?

というわけで私が自信を持って「騙されたと思って観ろ!」と思う映画5作品を紹介します。

※ 編集部注:以下には、作品内容に触れる情報が含まれています


1.映画サイトが大絶賛! だけど史上最悪の映画『トルク』

映画サイト絶賛

老舗の映画批評サイトというものがあります。私の「破壊屋ブログ」も古いですが、もっと古くから活動しているサイトに「前田有一の超映画批評」と「m @ s t e r v i s i o n - Ne」があります。2004年にバイクアクション映画『トルク』が公開された当時、これらの映画サイトが高く評価しました。

「面白いなら、どの映画サイトも褒めるのは当たり前なんじゃ……」と思うかもしれません。違うんです。トルクは映画史上最悪の作品なんです。

映画史上最悪で最高

この「映画史上最悪」という評価は個人の感想ではありません。『トルク』の英語版Wikipediaにちゃんと

one of the worst films ever made in cinema history.
(映画の歴史において最悪な作品の一つ)

と書いてあります。なぜそこまで最悪の評価なのか? それはトルクがあまりにも内容が無いような映画だからです。

● バイクで走りながら殴り合い
● バイクで走りながら銃撃戦
● バイクが倒れたらとりあえず爆発
● セリフは全部キメ台詞
● キメ台詞じゃない台詞は下ネタ
● BGMは当時流行っていたロック

それってつまり、最高の映画じゃないですか! なぜ私や他の映画サイトが絶賛したのかって? こんな映画を観たせいで思考停止したからです(たぶん)。

あのカーアクション映画をネタにしている?

トルクは、当時成功していたカーアクション映画『ワイルド・スピード』の便乗映画です。面白ポイントは、便乗したクセにワイルド・スピードをネタにした作りになっていること。

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なんせ映画のオープニングは、ワイルド・スピード風にレースしている車たちを、主人公のバイクが時速250キロのウィリー走行で追い抜いていきます。

またワイルド・スピードの名セリフとして有名な「俺の人生 ゼロヨンだぜ」を、ヒロインが「バカなセリフ」として否定します。

私的ベストシーン

私が大好きな「トルクの名シーンベスト3」を紹介しましょう。こんな素晴らしいシーンがあるのに何で史上最悪なんだ!

第3位:電車の上をバイクで走る

電車の上でのバトルはアクション映画の定番中の定番ですが、トルクはそれをバイクでやります。電車の上でバイクチェイスするんです。さらには電車内をバイクで走り出します。彼らはバイクから降りたら負けだと考える性格なのでしょうか。

第2位:時速400キロのバイクアクション

時速400キロを出す実在のモンスターバイクY2Kの爆走シーンがこの映画のクライマックスです。その性能は凄まじく、エンジンをふかしただけでバイクの後ろにいた人間たちが爆発シーンのように吹っ飛び、走り出せば風圧により周囲のガラスは全て割られます。

でも何よりも凄いのは、そんなスピードで片手運転したり銃撃戦したりする主人公たち。この映画の製作者たちは物理というものを勉強してこなかったのでしょうか。

第1位:バイクでカンフー

トルクにはバイクとバイクがカンフーのように戦うシーンがあります。監督はこのアクションを評して「バイクでカンフーするから『バイク・フー』だ!」という、力強いけど苦笑いしてしまいそうな発言をしています。

さらにこのバイクフーは女性同士が戦うのでキャットファイトでもあります。みなさん落ち込んだときは癒し系動物の動画とか見てませんかね? 私はこのシーンを再生しています。私にはかわいい猫ちゃん動画並みに効きますよ。

2.大失敗作のはずが……未公開シーンを観ると大逆転の『昴』

日本と海外のズレ

トルクは、本国アメリカでボコボコにされた映画が日本で高い評価を受けたパターン。今度はその逆で、本国日本での評価がイマイチなのに海外ではわりと高い評価を受けた作品『昴』を紹介します。

主演は黒木メイサで、当初私も最悪の映画だと思い込んでいました。DVDに付いていた未公開シーンを観るまでは!

どういう物語なのか

すばるは小学生の女の子。双子の弟と一緒にバレエダンサーになるのが夢だった。しかし弟は脳腫瘍のため倒れてしまう。弟を楽しませようと、すばるは病室でダンスをする。その様子を見て、同じ病院に入院する元ダンサーの五十鈴はすばるにダンスを習うよう勧める。

弟の闘病生活が続くある日のこと。すばるが将来のライバルとなる友人とバレエをしている最中に弟の病状が悪化、急死してしまう。

悲しみの中すばるがたどり着いた先は、五十鈴が社長を務めるキャバレーだった。すばるの才能に気付いた五十鈴は自分の店でダンスを踊らせることに。やがて成長したすばる(黒木メイサ)は……。

なぜコレが駄作なのか?

胸が熱くなる物語ですよね。なぜコレが最悪級の駄作なのでしょうか? 実は私が今書いた部分をカットしちゃったからです。つまり映画本編を観ても先述の物語はほとんど出てきません! せっかくの熱演をカットされてしまった子役たちが不憫……。

そしてこのカットの影響で、映画本編のストーリーはめちゃくちゃに見えてしまうのです。残念。以下はその一例です。

● 弟の病状を説明するシーンの直後、いきなり弟が亡くなる
 → 弟の闘病シーンをカットしちゃったから
● ライバルとの関係性がよく分からない
 → ライバルとの幼少期をカットしたから
● クライマックスで五十鈴が唐突に病気になる
 → かつて入院していたという伏線をカットしちゃったから

未公開シーンを観ると「あのシーンはこういう意味だったのか!」と判明していくのは、まるでミステリー映画のようで楽しい。ちなみに海外版ではカットされてないので物語は全てつながっています。だからこそ海外では高い評価を受けているんでしょうね。

映画本編にも良いシーンがある

でも映画本編にも良いシーンがありますよ。原作マンガ『昴』は青年誌に連載されていたスポ根マンガで

● キャバレーでバレエを踊る
● ストリートでダンス対決
● 目隠しをして街を歩き車に轢かれそうになりながら練習

といった実写化をためらいたくなるシーンがありますが、これらを臆することなく実写化していて盛り上がります。

DVDで二度楽しい

映画は観客を飽きさせないためにいろいろと工夫するので、重要なシーンでも仕方なくカットすることがあります。そのためDVDの未公開シーンを観て本編の謎が解けるのはよくある現象。これも映画を観る楽しみですよ。


3.史上最驚の恋愛トリック映画『バンジージャンプする』

究極の恋愛トリック

私は恋愛トリック映画が大好きです。日本でも最近流行っていますよね。恋愛トリック映画って「愛の奇跡が起きた!」を言い訳にすれば何でもできる(と、思う)ので、想像を絶するとんでもないトリックを仕掛けてくるんですね。

その中でも驚愕の、まさに史上最驚の恋愛トリックを持つ映画が『バンジージャンプする』です。

私が映画館で観たときは、しんみりしたラストシーンなのに「上映終了後に観客が笑い出す」という凄い現象が起きました。そう、この映画はトリックが酷すぎて笑いものになってしまったのです。ちなみに、とあるレビューサイトにおいて、今回紹介した5本の映画の中でもっとも評価が低かったです。

ですが、恋愛トリック好きの私としては最高に楽しめました。

上映30分後に何かが起こる

主人公を演じるのは韓流スターの頂点に立つ男、イ・ビョンホン。物語の舞台は1983年の韓国。イ・ビョンホン演じる大学生が、女性に一目惚れするところから始まります。この一目惚れの初恋に浮かれるイ・ビョンホンの演技が神がかり的に上手いのが映画序盤の見どころです。

ところが、上映30分後あたりから突然場面が現代韓国に切り替わります。何が起きたのか?

愛は決して滅ばない

この映画のテーマは「愛は決して滅ばない」。それがこの映画の恋愛トリックに関係しています。中盤から愛の奇跡を少しずつ説明していくのが特徴で、勘の良い観客なら「あああ! 愛の奇跡が起きている!」と気が付きます。

でも逆に気付かないほうが「これは一体何が起きているの? さっきから何か変だぞ?」とドキドキしながら観ることができます。

ただ私個人の意見ですが、この映画は愛が滅んだほうが良かったんじゃないかなと思いました。この映画を観た人がいたら「この愛の奇跡が起きたら嬉しいか?」について議論したいです。


4.史上最悪の映画の代名詞『ショーガール』

誰もが知っている最悪映画?

『ショーガール』は史上最悪映画の代名詞です。

映画をけなすときの言葉に「Showgirls-bad/ショーガール級にダメ」があるくらいです。最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞を7部門受賞したのはもはや伝説。最悪映画ランキングの常連作品でもあります。

ただ私も自身の映画サイトで「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」をやっているので分かるのですが、世間から嫌われる映画って「つまらない」じゃなくて、嫌われるだけのパワーがあったり、拒否感を引き起こすほど斬新だったりするんです。

そしてショーガールも最高にパワフルで斬新な映画です。

『氷の微笑』コンビが手がけた映画

監督のポール・バーホーベンと脚本のジョー・エスターハスは、過激なセクシー描写と暴力描写で大成功を収めた『氷の微笑』のコンビです。

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ショーガールはさらにセクシーで暴力的な映画で、ラスベガスに来た女性がストリッパーとしてオーディションを受ける物語です。ストリッパー版『フラッシュダンス』、ストリッパー版『ラ・ラ・ランド』とも言えます。

ショーガールと私の思い出

私はもちろんショーガールが大好きなのですが、観たのは高校生のときです。普通の会話シーンも裸なので、思春期の男子高校生が大スクリーンで女性の裸をたくさん観たら絶賛するのは当然です。必然です。因果です。宿命です。

だから「私は高校生の頃の衝動でこの映画を高く評価しているんじゃないかなー」と思っていました。しかしこの原稿を書くためにもう一度観たところ、やっぱり面白い!

ショーガールの面白さ

ヒロインは攻撃心むき出し&自分最優先で、はっきり言って感情移入しにくい女性です。この周囲に噛みつきまくるヒロイン像は20年以上経った今でも新鮮。

象徴的なヒロイン像を確立した作品にジュリア・ロバーツの『エリン・ブロコビッチ』やシャーリーズ・セロンの『スタンドアップ』みたいな映画もありましたが、彼女たちは社会正義の象徴なんですよね。正義にも悪にも媚びない自分自身の道を爆走する女性、それがショーガールのヒロインなのです。

ちなみに世間の評価も一周回って、現在ではカルト作品として高く評価されています。


5.傑作か? 駄作か? 『サイン』

シャマラン監督の最高傑作は?

みなさん、M・ナイト・シャマラン監督の最高傑作は何だと思います? 多くの人が『シックス・センス』と答えると思います。でもシャマラン監督のファン、通称シャマラニアンでこの話になるとバラバラの答えになります。

『サイン』もシャマラン監督の作品。日本でヒットしたし、テレビでも放映したので鑑賞済みの人が多いかもしれません。でも、肝心の評判といえばイマイチです。レビューサイトでも平均点以下ですし、ちょっと検索をかければ辛口な批評が大量に……。

でも私のM・ナイト・シャマラン監督の最高傑作はサインです。ツッコミを入れたくなる後半の展開が笑いものになっていますが、私にとっては印象深い映画なのです。

神を信じなくなった主人公

主人公は、妻を交通事故で亡くしたことをきっかけにサイン(神の啓示)を感じることが出来なくなった元牧師です。映画本編ではミステリーサークルやUFOなどの超常現象が発生します。

そんな超常現象に対して、主人公は「人間は2つのグループに分けられる、サインを感じるものと、それが偶然だと感じるものだ」「奇跡が起きても、それがサインだとは思わない、ただの偶然だ」と主張します。しかし映画のクライマックスで、その主張を吹っ飛ばすとんでもないことが起きます!

あなたはサインを信じますか

私がこの映画を観たときは心の底から感動しました。「そうか、サインはあったのか! 何て美しい物語なんだ!」と、無神論者の私を強く感動させました。

だから本当はみなさんに「サインは駄作じゃないんだよ! 笑う映画じゃないよ!」と伝えたいんですがそうはいかない。だって、今観るとどうしてもクライマックスで爆笑しちゃうから。

やっぱり爆笑映画なのか?

私はDVD化されたときに弟と一緒に観ました。しかし弟は鑑賞しながら大爆笑。つられて私も大爆笑。以来、私はこの映画にサインを感じることはできなくなりました。先日再び観たところ、やっぱり爆笑しました。

でも、少なくとも初見のときは大傑作だったし、今でも私を楽しませてくれる映画であることは間違いありません。未見の人はぜひ観てもらって「サインを感じるのか? それとも笑うのか?」のどっちになるかチャレンジしてみてください。


映画は観るまで分からない

どんなに情報が溢れても「自分の目で確かめるまでは分からない」という点だけは変わらないです。ここに挙げた映画は世間の評判はイマイチですが、実際に観たらそうじゃないと思います。

それでももし皆さんが「オイ、つまらなかったぞ!」と仰るなら、私は世間の詐欺師と同じように「騙すつもりはございませんでした」と謝ります。

著者:ギッチョ(id:hakaiya)

ギッチョ

2000年から映画サイト「破壊屋」を続けています。今は「破壊屋ブログ」がメインです。スパイダーマンスーツとスパイダーマンパーカーを10着以上持っていて、土日はプロフ画像みたいな格好でうろついています。

ブログ:破壊屋ブログ Twitter:@hakaiya

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