それどこ

30周年を迎えた「ねるねるねるね」がテーレッテレー! すぎるので、祝いに行ってきた

子供のころ大好きだったけど、あまり食べられなかった「ねるねるねるね」。“同い年”のカツセマサヒコさんが、愛を伝えるべくクラシエさんに行ってきました。

ライターのカツセマサヒコです。

ある日、スーパーに寄ったら、「パーティねるねる」なるものを見つけた。

子どものころ「身体に悪そうだからやめなさい」と母親に言われ、食べる機会を制限されていたあの「ねるねるねるね」が大容量となり、4〜5人で楽しめるという夢のようなパリピ菓子となって、爆誕していたのである。

これをひとりで食べれば、「ねるねるねるねを飽きるほど食ってみたい」という子どものころからの夢が叶う。

閃いてからは速かった。2分後には作り始めた特大ねるねるねるね。

作り方は、あのころとほぼ変わらない。トレイの内側の線まで水を注ぎ、例の粉を順番通りに投下していくだけ。頭で考えなくとも、体が覚えている。

記憶にこびりついた魔女おばさんが、「あの効果音」と共に顔を出す。

\うまいっ!! テーレッテレー!!!!!!!!/

ケミカルな味がたまらない。確かに親の立場からすると、何か不安に思う気持ちもわかる。でも、「食べるな」と言われるほど、食べたくなるのが人間だ。摂理なのだ。

親御さんたちのクレームも多かっただろうに、生き残ってくれてありがとう。

そんな感謝の気持ちに浸っていたら、ねるねるねるねが30周年を迎えたっぽいニュアンスの表記に気付いた。

30年て、マジか。僕、同い年やん

僕がのらりくらりと暮らしている間に、ねるねるねるねはパーティ用にまで進化していたのだ。ありがとうねるねる。すばらしいぞねるねる。

僕と同じ年に生まれ、無事に30歳を迎えたねるねるねるねを祝いたい。

そして、人類で最も偉大な発明のひとつ(※僕調べ)といえる「ねるねるねるね」を作ったのは、どんな人たちなのか知りたい。

製造元であるクラシエフーズ株式会社さんに、会いに行くことにした。

“知育菓子”の雄、クラシエフーズに行ってきた


「ねるねるねるね」を作っているのは、クラシエフーズ株式会社さん。今回はマーケティング室菓子グループ課長の津田未典さんにお話を伺う。

(※ちなみに津田さんは、2010年より「ねるねるねるね」のマーケティングを担当し、5年連続で落ち続けていた売上を1.5倍まで回復させたすごい人である)

カツセ
津田さん、今日はお礼を言いにきました。
津田
お礼、ですか?
カツセ
「ねるねるねるね」をこれまで守り抜いてくれて、ありがとう、と。
津田
えっと、あの、こちらこそ、ありがとうございます。
カツセ
まず、「ねるねるねるね」っていうネーミングセンスが、すばらしいですよ!!
津田
ありがとうございます。開発当時も、「ねるねるね」で止めるのか、「ねるねる」で止めるのか、「ねるねるねるね」まで言うのかというところは、すごく議論したと聞いてます。
カツセ
いい大人たちが真剣にそういうこと話し合ってるの、最高です。
カツセ
でも、親世代になって思うんですけど、よくもまあこんなケミカルで未来的すぎるお菓子を、30年前に発売しようとしましたね?
津田
そうですよね、本当に。私も当時は子どもで、会社にはいなかったんですけど。
カツセ
あ、そうか。そりゃあそうですよね。
津田
でも、当時から当社は、粉末にお水を足すとジュースになる“ジュースの素”のような商品を販売していたので、「そういう粉を使って、お子さんが喜ぶような商品を作れないか?」という発想で生まれたみたいです。
カツセ
なるほど! そういう考えだったのか!
津田
どうしたら子どもたちに喜んでもらえる商品が作れるかは、今も変わらず考え続けていますね。
カツセ
(入社したい)

どうやって30年間生き残れたの?

カツセ
この30年のあいだ、何か苦労したエピソードはありますか?
津田
まず、発売前の時点でモメたそうです。お子さんのお菓子と言えば「アメ」か「ガム」か「スナック」かという世界で、水を使わなきゃいけなくて作る手間もかかる商品を売るって無謀に思えますよね?
カツセ
確かに。
津田
でも、あの魔女のCMと合わせて発売したら、ドーンと売れたんです。
カツセ
なぜ!?
津田
あのCM、「不思議」とか「ちょっと怪しい」というイメージがありませんでした?
カツセ
ありました。むしろそれしかなかったです。
津田
それが、子どもにはインパクトがあったみたいです。
カツセ
なるほど~!

30年たった今も「テーレッテレー!」

カツセ
「不思議」や「怪しさ」で売れたということは、安全面のアピールとか、苦戦されたんじゃないですか? 僕も親から「あまり食べるな」と言われていました。
津田
そうですね、「何が入っているの?」という問い合わせは多く、保護者の方は心配されたのではないかと思います。
カツセ
でも、健康に害はないんですよね?
津田
もちろんです。パッケージには「合成着色料も保存料もゼロですよ」という説明を書いていたのですが、目立たなかったので2011年ごろからより大きく表示するようにしました。
カツセ
なるほど、ちゃんとお客さんの声を反映しているんですね。
津田
そうですね。地道に変化し続けてきました。
現在のデザイン。味は「ぶどう」と「ソーダ」の2種類がレギュラーで、季節限定モノが時折、数品並ぶ
カツセ
昔の「ねるねるねるね」と比べて、ほかに変更された点ってありますか?
津田
パッケージを今の子どもたちにもわかりやすいように、フルリニューアルしています。これまでは「ねっておいしいねるねるねるね」としか書いてなかったんですが、「ねっておいしいふわふわおかし」という表記を入れました。
カツセ
そんなちょっとしたニュアンスで売り上げが変わるものなんですか。
津田
たとえば「4歳児からがメインターゲット」と言っても、時代と共に“4歳児”も変わっていくんですよね。今の子たちがイメージしやすいようなパッケージが必要だったんです。
カツセ
ふむふむ、なるほど?
津田
今の4歳や5歳って、YouTubeも見るし、テレビも見るし、なんならお母さんのスマホで写真を撮っちゃうような子たちなので、リアルなものを見慣れているんです。だからパッケージにも、イラストより写真がなじむかな?と思い、2011年から現物の写真を使うことにしました。
カツセ
すごい。めちゃくちゃ考えられているんですね。
カツセ
あと、小さいころの僕が感じていた不満を言っていいですか?
津田
はい、どうぞ。
カツセ
「ねるねるねるね」って、後半になるにつれて食べづらくなっていくんですよ。トレイの隅に残っちゃうんです。わかります?
津田
わかります、わかります。
カツセ
で、最終的にスプーンで取れない部分は、舐めるしかないですよね?
津田
はい、そうですね。
カツセ
そこで、やむを得ず舐めていると、母親から怒られるわけです。あの理不尽さは、どうにかならんのですか!!
津田
そういう問い合わせも多かったので、現在はスプーンのデザインをチェンジしております。
カツセ
え、そうなんですか……?
津田
2010年までは、スプーンの先が四角かったですが、あれは混ぜる際に抵抗を生むことでよく混ざるようにしていたからなんです。
カツセ
なるほどー。
津田
しかし、それだとおっしゃるとおり、最後まで食べにくい。そこで、現在はスプーンをできる限り丸に近づけ、それでもしっかりと混ぜている感覚が残るようなデザインに変更しています。
カツセ
なんと! すごい!! めちゃくちゃ進化してる!!
津田
おかげさまで「練りごこちは変わらずに、尚且つ最後まできれいに食べられる」という声をいただけています。
カツセ
ちゃんと消費者のニーズに沿っているのか……!
津田
むしろ、お客様の声を拾い続けた結果の30年と言えるかもしれません。お客様の声がなければ、新商品の開発も既存商品のリニューアルもされないまま、市場から姿を消していたかもしれませんから。
カツセ
(かっこいい……)

「力尽きた商品がいっぱいある」クラシエフーズの挑戦心

カツセ
「ねるねるねるね」の30年が半端ないってことはわかったんですけど、クラシエフーズさんの商品の中でも、30年って長い部類に入りますか?
津田
そうですね。でも、ほかにもいくつかありますよ。たとえば、アイス「ヨーロピアンシュガーコーン」も、2016年で30周年でした。
カツセ
これ、実家に絶対置いてあったやつだ! 風呂上がりにめっちゃ食べてました。
津田
ありがとうございます。「ねるねるねるね」と並ぶヒット作ですね。
カツセ
1986年のクラシエフーズさん、大ヒット連発じゃないですか。
津田
そうですね、花の86年です(笑)。
カツセ
同い年として誇らしすぎます。
カツセ
「ねるねるねるね」のような商品をいくつも生み続けて、それらに「知育菓子」って商標を付けたのも、クラシエフーズさんなんですよね。
津田
そうですね。
カツセ
まだそういうジャンルがないころから、積極的に商品開発したりCMを打つって、かなりベンチャー気質な会社だと思うんですけど。
津田
そうかもしれないですね。市場に出ている商品はとても華々しく思えますが、そこに至るまでに、力尽きた商品もいっぱいあるわけです。当社はそういった商品たちを乗り越えて、お客様の声に耳を傾けて、開発し続けてきたのだと思います。
カツセ
それこそが、クラシエフーズさんの強みってことですね。
津田
そうですね、30年続くヒット作を生み出せた根源だと思います。
カツセ
なんだか元気づけられる話でした。ありがとうございました!!!

おわりに

「ねるねるねるね」。

『前前前世』と同じリズムを持つ、“売れる必然性”を持ったネーミング。

“逆から読んでも同じ名前”という、回文に対応した(たぶん)唯一無二のお菓子。

30年という長い月日を経ても愛され続ける同商品は、時代に合わせてマイナーチェンジできる柔軟性と、消費者の声を真摯に聞き続ける社風、そして大胆に新規開発を後押しするチャレンジ精神があるクラシエフーズさんだからこそ、生み出せたものだと感じられた。

子どものころの自分に言いたい。

お前が不満に思っていた「トレイを舐めちゃダメ問題」は、将来きちんと解決されるぞと。

童心に戻ってみたくなった方は、ぜひ「ねるねるねるね」を手に取ってほしい。昔と変わらず、しかしどこか新しいその商品に触れることで、思わず「うまい!」してしまうだろうから。

それでは、テーレッテレー。

著者:カツセマサヒコ (id:katsuse_m)

カツセマサヒコ

下北沢のライター・編集者。書く・話す・企画することを中心に活動中。
趣味はツイッターとスマホの充電。

Twitter:@katsuse_m

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