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「おいしいカレーを作ることは恩返し」 遠い日本でカレー店を営むネパール人の愛とこだわり

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カレー、好きですか? 私は大好きです。

こんにちは、それどこ編集部です。突然カレー愛を語ってすみません。

今回は、みなさん大好き(と信じています)カレーの記事をお届けすべく、千葉県にあるインド・ネパールレストラン「ハリオン」に行ってきました。一緒に行ってくれたのは、

それどこの寄稿でもおなじみ、カレーパフォーマー加藤(id:spicecurryevent)さんです。インドカレーが好きすぎてインド人風のコスプレをしていますが、インドには1度も行ったことがないそうです。

スパイスカレーやカレー店に詳しいカレーパフォーマー加藤さんと一緒に、なぜ日本人はインドカレーが好きなのか、インドやネパール料理の魅力はどこにあるのかなどを伺ってきました。

カレーってやっぱり……おいしい!

取材に協力してくれた「ハリオン」は、インドカレーをメインに、オーナーやスタッフの出身地であるネパールの家庭料理も提供しているレストラン。千葉、茨城で3店舗展開しています。

今回お伺いしたのは、本店にあたる「ハリオン我孫子店」。タクシーの運転手さんから、「よその人? ご飯どこで食べるの? ここらへんだったら、有名なのはハリオンだよ! 」と何も言ってないのにおすすめされるくらい、地元の方から愛されているお店です。


笑顔が素敵なハリオンのスタッフさん。一番右が日本語ペラペラなオーナー、チェトリ・ビームさん


「ああ、スパイスのいい香り……」満面の笑みの加藤さん

カレーについていろいろ聞く前に、まずはお店の味を知りたいので、おすすめのカレーを食べさせてください!
ハーイ!
\ドンッ/

……すごい量が出てきた!!! なんて気前のいいお店なんですか……! ちなみに、実際はこの倍くらいのカレーが出てきました。たくさんありすぎてテーブルに乗り切りませんでした。

……と、同じ見た目の料理が、それぞれ違う器に盛られています。ハリオンは通信販売も行っているので、でき立てホヤホヤのものと、冷凍された通販の商品を温めたものとを、特別に食べ比べさせてもらったのです。

ちなみに、白のお皿が通販のもの。見た目の違いはほとんどありません。

まずは、ビームさんのオリジナルカレー「ベジタブルハイダバディ」から。ほうれん草をはじめ、ジャガイモ、ニンジン、グリーンピースといった野菜に、クミンなどのスパイスを加えています。


ぱくっ。もぐもぐ……

おいしい……! 口に入れるとまず野菜の優しい甘さが広がって、そのあとに鼻の奥から抜けるような、さわやかなスパイスの風味がやってくる。見た目は一般的なカレーとは少し違いますが、口に入れると「やっぱりカレーだな!」と実感させられますね。
野菜は、できる限り我孫子産のものを使ってイマス。ボクのオリジナルでほかのお店にはないからか、とっても人気デスネ。
ほうれん草ペーストのカレーはメジャーですが、いろんな野菜がこんなにたくさん入っているのは珍しいですね。ん! 通販の方も、野菜がゴロゴロ入っていて、食感や甘みがしっかり感じられます。

【楽天市場】 ベジタブルハイダバティ(中辛):インドカレーのハリオン


続いては「ナスマサラ」。柔らかく甘みのある揚げナスと、カシューナッツやピーマンを使ったコクのあるカレーです。ややドライタイプ。

大きいナスがゴロゴロ入ってる! 揚げたナスのジューシーさがたまらないですね。通販の方は……冷凍の野菜って食感が悪くなることが多いですが、これはきちんと「野菜らしさ」が残っています。
食感を残すために、野菜もお肉も大きめに切ってイマス。

【楽天市場】 ナスマサラ(辛口):インドカレーのハリオン


さて、カレーといえば、やっぱり欠かせないのが「ナン」。ハリオンの厨房にはタンドール(窯)があり、ナンもここで1枚1枚手作りしています。今回は、ビームさん自らナンを焼いてくれました。

ナン専用の粉で作った生地は、焼く前に薄く伸ばします。そのスピードと手際と言ったら……!

薄さが均等になったら、タンドールの壁に貼り付けてフタをします。ちなみに、タンドールめちゃくちゃ熱いです。素人がタンドールでナン作りをしたら、間違いなく火傷しそうです。

待つこと少々。いい具合に焼けたら、タンドール専用の棒を使って……

こんなふうにはがします。きれいに焼けて、ビームさんも笑顔。さあ、加藤さん、カレーと一緒にナンも食べましょう!

あっっっっっっっっっっつい!!!!!!! やっぱり焼きたてのナンはアツアツですね、気をつけて食べないと……(ぱくっ)……。小麦の甘さがすごい! 中に空洞ができてスカスカのナンも多いけど、これはしっかり詰まっていて、食べごたえがあります。

ちなみに、こちらは通販で買えるナン。通販で販売しているものも、お店のタンドールで一つ一つ焼いています。サイズも変わりません。


顔よりデカい!

冷凍のナンは、電子レンジで温めたあと数分だけトースターで焼いたり、フライパンにバターをひいて焼き直すともっとおいしくなりマス。

【楽天市場】 プレーンナン:インドカレーのハリオン


もう一つ、通販で一番人気があるというチーズナンもいただきました。

クセが少ないナチュラルチーズをたっぷり使用した「チーズナン」は、かなりのボリューム。チーズナンのみをテイクアウトしたり、通販でまとめ買いするリピーターも多いそうです。

チーズの層が厚くて、もっちもちだ……! ガツンと濃厚なチーズの塩気と、ナンの甘みとがうまくマッチしてて、辛いカレーと一緒に食べるとマイルドにしてくれそう。ああ、これ1枚でイケる……。


おいしくて遠い目

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タンドリーチキンにビリヤニも……おいしい!!

ビームさんを含め、ハリオンで働くスタッフさんのほとんどはネパール出身。地元の家庭料理を日本人にも楽しんでほしいという思いから、“ネパール色”が強いサイドメニューを提供しています。

カレーと同じように、サイドメニューもお店で出しているものと通販のものとを食べ比べてみました。


(左)スパイシーポテト(中)チキンコリワラ(右)タンドリーチキン

スパイシーポテトはイモが大きくてホクホク……! 通販の方は、イモに味がしっかり染みてるなあ。ほかのお店と比べて、ハリオンのはクミンなどのスパイスの風味がしっかりしつつも、ややマイルドさがあります。子どもでも食べやすそう。
フフフ。スパイスは専用のオリジナルスパイスを調合して使ってイマス。

【楽天市場】 スパイシーポテト:インドカレーのハリオン


チキンコリワラは鶏の天ぷらですね。ほとんど見かけないメニューですが、僕好きなんです。……うん! サクサクっとした軽い食感と、鶏肉のジューシーさがたまらない! 冷凍してもスパイスのフレッシュさが残っていてすごい。

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次は日本でもメジャーな「タンドリーチキン」。ヨーグルトや旨辛スパイスで下味を付けて、タンドールでじっくり焼き上げています。

う〜ん! 外はカリカリ、中はしっとりやわらかくてジューシー。噛めば噛むほどうま味が出てきます。

【楽天市場】 タンドリーチキン(辛口):インドカレーのハリオン



右の銀色のお皿が通販のもの

続いて食べたのは「チキンビリヤニ」。ビリヤニとは、バスマティライスと肉、魚、野菜などをスパイスや調味料などで味付けするインド料理のこと。こちらのチキンビリヤニは、秘伝のカレーソースを絡めているそうです。

バスマティライスの香りがめちゃくちゃいいですね! カレーソースを絡めていても、ライスの風味がきちんと残っている。大きくカットしたチキンがゴロゴロ入っていて歯ごたえがあります。
バスマティライスは質のいいものを使ってイマス。ビリヤニは炊いたものをそのまま出すお店が多いですが、うちでは最後に少しだけバターとクミンで炒めることで、風味や食感を変えてイマス。この作り方のビリヤニがジブンも好きナンデス。
冷凍のものも、バスマティライスの香りがほとんど落ちていない。米粒も潰れておらず、食感が残っています。これはうまい……!

【楽天市場】 チキンビリヤニ:インドカレーのハリオン

おいしいカレーを作ることは、恩返しをすること

カレーからサイドメニューまで、お店のおすすめの品を食べてお腹いっぱいの加藤さん。一品一品に、オーナーであるビームさんのこだわりを感じることができました。

しかし、ビームさんはなぜ遠い日本の地でカレー店を経営しているのでしょうか。「ビームさんの人柄に惚れて手伝っている」と話す通販担当の鈴木さんも交えて、カレーに関するさまざまなことを伺いました。

ごちそうさまでした! どれもおいしかったです。全体的に、スパイスが効きつつも、マイルドな味付けのものが多いんですね。
ハリオンでは、味付けやスパイスの配合を店舗によって変えてイマス。我孫子店は子ども連れのファミリーが多いので、他の店舗に比べて少し優しい味付けデス。茨城にある取手店はお酒を飲みに来るお客サマが多いので、スパイシーに仕上げてイマス。
お店によって味が違うとは……! 試食でも感じましたが、ビームさんはカレーや料理に対して並々ならぬこだわりがあるんですね。そもそも、なんで日本でインドカレー店を?
12年前に、日本のインドカレー店で働いていた友人から誘われて、千葉にやって来マシタ。ボク、若いころから食に興味があってカタールのレストランで修行を積んだり、インド料理店で料理長をやったり、料理コンテストで勝ち抜いてドバイの船上コックになったこともありマス。

インド料理店で料理長をやっていた経験を活かして、日本人にもおいしいと思ってもらえる本格的なカレーの味を探求して、今の味になりマシタ。


日本食大好きなビームさん。特にお寿司やラーメンが好きとのこと

異国で働き始めて、独立までするのはすごいですね。
独立開業を決めてから家族も日本に呼びマシタが、お金がなくて大変デシタ。所持金が500円だったこともありマス。でも、自分の味を信じて開業して、今ではお店もタクサン。

今のジブンがいるのは、生まれ育ったネパールで陰ながら応援してくれた親族と、日本人のヤサシサがあったからデス。その恩を返すために、日々おいしいカレーを作ろうと思ってイマス。

いい話だ……。お店は、カレーもサイドメニューも、とにかくメニューが豊富ですよね。なぜこんなにたくさん?
ボク、独立する前から日本で何年か働いて「お客サマが喜んで食べてくれること」が大事なんだって思ったんデス。だから、みなさんの口に合うよう、いろんなものを用意してイマス。
お客さんのことを第一に考えられてるんですね。それにしても、僕も含め、日本人ってインドカレーが好きですよね。お店もいっぱいあるし。
スパイスは、香りもいいし体にもイイ。そして種類が豊富なので、組み合わせ次第でその地域の人たちに合わせた味付けがしやすいんデス。日本で食べられるインドカレーは、本場と少し違っていることが多く、特にハリオンでは「日本人が好きな味」にアレンジしてイマス。


お店で使っているスパイスの一部

「日本人が好きな味」ってどういうものなんでしょう?
ボクはずっと日本の方々を見ていて、素材の味を大事にしているように感じマシタ。野菜を使った料理なら、スパイスの味が強いものより、野菜の味がきちんと感じられるものが好まれマス。だからハリオンでも、素材の味を残すようにしてイマス。
本場のインドカレーと日本のインドカレーってそんなに違うんですか?
違いマスネ。本場のカレーはやっぱり辛いデス。インドの人は小さいころからスパイスをたくさん摂取してるから、辛さに対する免疫が違いマス。

インドの家庭では2〜3種のカレーとヨーグルト、サラダ、チャパティ、パパド、ライスなどがいつも食卓に並んでイマス。「好みの辛さ」は人によって違うので、青唐辛子をかじりながらカレーを食べることもアリマス。ちなみに、ハリオンでは20辛までお出しできマスヨ。

に、20辛はすごそう……。では、インドカレーとネパールカレーの違いは?
インドカレーはどろっとしたものが多いデスネ。逆にネパールカレーはスープタイプが多いデス。ドライタイプのものは、中国から伝わってきたものナンデス。
へー! ちなみに、僕も日頃、いろんなカレー店を訪れているんですが「ビームさん的おいしいカレー店を見分ける方法」ってありますか。
味は好みによるので、一度食べてみてもらうしかないデスネ。でも、接客が丁寧なお店は味が丁寧だし、店の清潔さも味に表れマス。あとは、ビリヤニにバスマティライスなど現地のお米を使ってるお店は、料理全般にこだわってることが多いデスネ。

信頼できる“パートナー”の支えで、通販をスタート

なぜ、通販を始めたんですか?
常連のお客サマにすすめられマシタ。「全国の人にハリオンのおいしさを知ってもらいたいし、献立に困ったときや料理する時間がないときに、レトルトじゃなくて本格的なカレーを食べられたら素敵じゃない?」ッテ。そんなとき、鈴木サンと出会ったんデス。
僕は別の通販会社を経営しているんですが、この辺りで商売をしている人たちの集まりでビームさんと知り合ったんです。ビームさんのカレーにかける思いの熱さや真摯さに惚れ込んで、通販部門だけお手伝いすることになって。ビームさん、この通り日本語はペラペラなんですが、文字を書いたり読んだりはやっぱり難しいので。
それにしても、カレーをはじめナンやビリヤニ、サモサ、タンドリーチキンなど、実店舗のほとんどのメニューを通販でも販売していて、かなり種類が豊富ですよね。それに味も同じと言っていいほど、ほぼ違いがありませんでした。
ビームさんがとってもこだわられていますから。カレーは冷凍すると水っぽくなって味のバランスが崩れるから、水分量を調整したり、材料の大きさを変えたり、スパイスの配合を微調整したり。「通販でもお店の味を」と、試行錯誤を繰り返してきました。

すごいこだわりですね。
あとは、通販用の在庫を一切抱えてなかったり。
えっ!
すべて、注文を受けてから調理し、粗熱を取ったらすぐに冷凍して発送しています。最初は僕も、さすがに3日分くらいは在庫があったほうがいいんじゃないかと相談してみたんですが、ビームさんの意向で、お店のメニューは一切作り置きしていないから、通販でもそうしたいと。
でもそれって、通販担当者としては苦労も多いのでは……?
いえ、僕の役割は「ハリオン」と「通販のお客さま」との橋渡しなので、できるだけ僕のところでミスがないようにやるだけですよ。
かっこいい……。
カレーの通販を始めるにあたり、僕もいろんなお店のカレーを取り寄せましたが、保存のために油を多く使うのか、後味が悪いものが多かった。でも、ハリオンの、ビームさんのカレーは、本当に後味がよくて、おいしいんです。できる限り「でき立て」の味に近付けていますから。僕がお客さまの立場になったとき、そういう風に作られていたらうれしいなって思いますね、やっぱり。
ビームさんの「カレー」や「お客さん」に対する思いに惚れ込んでるんですね。
僕もハリオンのカレーが好きだから、自分が好きなものを他の人にも「おいしい」って思ってもらいたいだけですよ。
そうやってこだわり抜いて送られている冷凍の品を、よりおいしく食べる方法ってありますか?
カレーは鍋やフライパンで沸騰するまで煮込むコト。ナンは自然解凍したあと霧吹きで水をかけて焼き直すとおいしくなりマス。ビリヤニは、フライパンでさっと火を通してクダサイ。

ハリオンの通販では、家でもおいしく食べてもらうために、電子レンジやトースターを使って温める時間や方法もお手紙にして添えているので、それも見てクダサイ。

それでは最後に、通販で「これは食べてほしい!」というメニューはありますか?
まずはカレーとナン。チキンカレー、バターチキンカレー。マトンカレー、キーマカレーの4種から2つのカレーが選べるセットがおすすめデス。1,000円でナン2枚も付くからお得デスヨ。

それでうちの味を気に入ってくれたら、チキンチリやナスマサラといったドライタイプのカレーと、チキンビリヤニ、タンドリーチキンなどのサイドメニューも食べてみてクダサイ。食卓が華やかになりマスヨ。


「これは◯◯ですね」「ソウソウ!」とスパイスの名前当てゲームをする加藤さんとビームさん

§ § §

遠い異国の地で、「おいしいカレー」をとことん追究するビームさん。そして、ビームさんの意思に寄り添う鈴木さん。2人の「カレー愛」をたっぷり感じた取材となりました。カレーを好きな人に、悪い人はいないんですね。

この記事を読んでカレーが食べたくなったみなさん。さあご一緒に!

\カレー大好き〜〜〜!!!/