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『新米姉妹のふたりごはん』(柊ゆたか)の「ネギソーセージ」を再現してみた【マンガ食堂それどこ店 2品目】

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ドイツ帝国の鉄血宰相、オットー・フォン・ビスマルクの言葉に「ソーセージと法律は作る過程を見ない方がいい」というものがあるそうな。

確かにソーセージを見たことも聞いたこともない人に、どんな食べ物か説明するとしたら、「肉をミンチしたものを、羊や豚の腸に詰めたもので……」となり、相手はたぶん顔をしかめて(何それ……)とドン引きしそうな気がします。

今回再現する漫画飯は、そんな通常の作り方と異なる、斬新なソーセージ。柊ゆたか先生の「新米姉妹のふたりごはん」1巻に登場する、腸の代わりにネギに肉を詰める「ネギソーセージ」です。

(C)2016 Hiiragi Yutaka

魅惑のキッチンガジェットが満載「新米姉妹のふたりごはん」

(C)2016 Hiiragi Yutaka

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「新米姉妹のふたりごはん」は、両親が再婚したことにより義理の姉妹となった姉・サチと、妹・あやりが主人公のグルメマンガです。

元気いっぱいのサチと、クールで感情を表に出すのが苦手なあやり。趣味も性格も正反対だけど歩み寄りたいふたりが、料理を通じてコミュニケーションをとり、少しずつあたらしい家族になっていく様子が描かれています。

料理マンガはかつてのように“バトル”するものではなく、人と人の関係性を描くものが主流になってきているんでしょうね。あやりの料理を頬張るサチの食べっぷり、料理を作るとき(と、サチと話すとき)は楽しそうなあやりにも癒やされます。各話ごとに『醤油手帖』で知られる料理漫画研究家・杉村啓さんのコラムが収録されていて、こちらも必見。

この作品を「それどこ」連載でどうしても紹介したかったのは、料理好きの心をくすぐるキッチンガジェットがたびたび登場するからです。

卵をキレイに割る「エッグカッター」や、ラクレットチーズを手軽に楽しめる家庭用の「ラクレットオーブン」など、楽しそうなツールに食欲だけでなく物欲も刺激されます。

名前に反して謎のカッコよさ「ソーセージメーカー」

もちろん、今回挑む「ネギソーセージ」でも、珍しいアイテムが使われています。

その道具とは「ソーセージメーカー」。

「ソーセージ」を「メイク」する器具として分かりやすすぎる名称ですが、その見た目はやたらとカッコいいです。組み立て式のショットガンっぽく、ガジェット感あふれています。

(C)2016 Hiiragi Yutaka

あやりちゃんがソーセージメーカーを取り出すシーンも、戦闘美少女風。きゃわわ。


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届いた商品がこちら。パッケージの写真が昭和っぽくてそそります。箱の中身はこんな感じ。


  1. 口金は細いほうがソーセージ用で、太いのはフランクフルト用
  2. 口金を洗うときに使うブラシも付属
  3. 押し出し器本体

使い方は、


  1. 押し出し器に口金を装着する
  2. 本体にミンチ肉を入れ、口金にケーシング(今回はネギ)をはめてハンディー部分で押し出す

という手順です。

器具の全体を写したものが3。かっこいい。

実験感あふれるソーセージ作り

今回再現する「ネギソーセージ」の材料は以下の通りです。詳しい分量は、ぜひ作品を参考にしてください。

  • 長ネギ(なるべく太いものが扱いやすい)
  • 豚肩ロース、豚バラのブロック肉(脂肪と赤身は7:3の割合になるように調整)
    • ※あらかじめ冷凍しておく
  • 塩(肉の重さに対して1.6~2%)
  • コショウ(肉の重さに対して0.35~0.6%)
  • ハーブ類(今回はセージ、ナツメグ、ガーリック、パプリカ)


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まず、冷凍したブロック肉を半解凍して適当な大きさ切り分け、フードプロセッサーで少量ずつミンチにします。


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ミンチ肉は、脂がとけないよう10度以下に保つことが重要。

氷水を入れたボウルの上に別のボウルをのせてミンチ肉を入れ、塩とスパイスを加えてねばりが出るまでこねます。

手の温度が伝わらないよう、薄手の使い捨てゴム手袋も着用します。手が冷たくて脳天にきますが、ひたすらガマン……。こね終わったら冷蔵庫で冷やしておきます。

ネギは白い部分をフライパンに入る大きさに切りそろえて、沸騰した湯に10~20秒さっとくぐらせます。

冷めたネギの中身を押し出すと……。

にゅるっとネギの皮が筒状にはがれます。これがけっこうカイカン。ネギが曲がっていると破けやすいので、なるべくまっすぐなものを選んだほうがよさそうです。


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ネギ皮の片方の口を、タコ糸で結びます。

ここからいよいよコイツのお出まし。

冷やしておいたミンチ肉をソーセージメーカーの本体に詰め……

口金にネギ皮を装着し、空気が入らないように、皮が破れないように注意しながら、ソーセージメーカーのハンディー部分をガシャンと押して、肉を押し出していきます。にゅるにゅるっと肉が入っていくのが、楽しい!

ちなみに、写真ではソーセージ用の口金を使っていますが、後日試したフランクフルト用のほうがやりやすかったです。

肉がみっしり入ったら、もう片方の口もタコ糸で結びます。

肉を詰め終わったら、ラップで1本ずつキャンディー状にくるみ、沸騰させないよう注意しながら85度のお湯で15分ゆでます。

この温度管理といい、脂肪分や塩分の配合の厳密さといい、料理というより実験っぽさがありますね。

最後にラップを外し、フライパンで焼き目を付けます。

「ネギソーセージ」無事完成!

プチトマトとレモン、クレソンで彩りを添えて、完成です。

(C)2016 Hiiragi Yutaka

作中のパッツンパツンでダイナマイトなソーセージよりは、幾分貧相になっちゃいましたが……。下仁田ネギのような極太のネギを使えば、このビジュアルに近付けるかしら。

ネギのなかに肉汁が閉じ込められています。というか、一部すでに漏れています。これは絶対おいしい予感。

かみしめると、ネギの甘みとスパイスのきいた肉々しい食感が口のなかに広がります。

ネギは繊維があるのでパリッとした食感にはなりませんが、普通のソーセージとは別モノのおいしさ。ご飯だけでなく、パンにはさんでホットドッグ風にしてもイケます。

肉の種類やスパイスを変えれば、ほかにもいろいろなバリエーションのソーセージが楽しめそう。最近燻製を覚えたばかりなので、今度はスモークソーセージにも挑戦してみたいなあ。料理というより工作感もあるので、普段料理をしない人や、親子クッキングにもおすすめです。

「マンガ食堂それどこ店」アーカイブ

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著者:梅本ゆうこ

梅本ゆうこ

1979年大阪府生まれ、関東在住。 会社勤めのかたわら、2008年よりブログで漫画に登場する料理(マンガ飯)の再現に取り組む。2012年にリトルモアより書籍「マンガ食堂」を刊行。
ブログ:マンガ食堂 Twitter:@pootan