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それどこ

父の還暦を26時間かけて祝いに行く

還暦というものがある。よく赤いチャンチャンコや、還暦帽などをプレゼントする。とてもめでたいことである。そんな還暦を私の父が迎える。しかも、父は最近、仕事をやめた。祝うにはとてもいいタイミングだ。日頃の感謝を込めて、盛大に還暦を祝いたいと思う。(文・地主恵亮)

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向かって右がこの記事を書いている地主で、左は地主(父)です!

還暦というものがある。簡単に言えば60歳を祝うものだ。よく赤いチャンチャンコや、還暦帽などをプレゼントする。とてもめでたいことである。

そんな還暦を私の父が迎える。しかも、父は最近、仕事をやめた。祝うにはとてもいいタイミングだ。日頃の感謝を込めて、盛大に還暦を祝いたいと思う。

赤いもので祝う

還暦のプレゼントといえば、赤いチャンチャンコや、七福神の誰かがかぶっていそうな赤い帽子をプレゼントするのが一般的だ。詳しい理由はよくわからないが、赤いものが魔除けになっていいそうだ。

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一般的な還暦のプレゼント

私の父が還暦を迎えるので、一般的な還暦セットをプレゼントしようと思った。福岡に住む父にそのことを電話で伝えると、それだけはやめてくれ、と言われた。父としては還暦だけれど、まだまだ若いつもりなので、そのようなプレゼントは嫌だったようだ。

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結果、プレゼントを悩みました!

還暦と言えば、赤いチャンチャンコと考えていたので、何をプレゼントすればいいのか、悩んだ。そこで、赤いものをたくさんプレゼントすることにした。今まで育ててくれた父への感謝の気持ちを込めて赤いものを選んだ。

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いろいろな赤いものを買いました!

問題は、父に送ったつもりの赤いプレゼントが、いつもの癖で、東京に住む私の家に、届いてしまったことだ。

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東京に住む私の家に届いた!

父は福岡に住んでいる。しかし、届いたのは東京に住む私の家。習慣って怖いなと思う。さて、どうしたものか、と考えた結果、せっかくなので、直接赤い品々を届けに行くことにした。やはり私が直接渡した方が父としても嬉しいはずだ。

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ということで、東京駅に来ました!

青春18きっぷで福岡へ

直接届けに行くために東京駅にやってきた。東京から福岡という距離なので、本当は飛行機で行きたいのだけれど、プレゼントにお金を使っているので、青春18きっぷを使って、福岡まで行くのだ。

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青春18きっぷで行きます

青春18きっぷは例外もあるが鈍行なら1日乗り降りし放題という切符だ。東京から福岡まで約26時間で行くことができる。狭い日本って言うけれど、日本って広いな、と思う瞬間だ。生まれたての子鹿でも、山を走り回れるようになる時間だ。

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移動は地味!

東京から熱海、熱海から浜松など、13回の乗り換えを経て父の住む家にたどり着く。窓の外を流れる景色を見ていたら、のどかでとても平和に感じるが、どうしても退屈してくる。やることも寝ることしかなく、還暦を祝うって大変なんだと知る。

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寝ることしかできない

父は福岡で生まれ育ち、福岡で就職した。28歳で結婚して、30歳の時に私が生まれた。つまり父が60歳で、私がその半分の30歳なのだ。

父は仕事が忙しく、家にあまりいなかった気がする。しかし、そんな父のおかげで私は健康に育ち、東京の大学に行くこともできた。感謝しかない。

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首が痛い!

私が20歳の時に母が亡くなった。それから10年、父は一人暮らしをしている。最近、定年を前に仕事をリタイアした。

本当に最近のことで、悠々自適に生活している、と書きたいが、仕事をやめて3日が過ぎたあたりで、「無職、飽きた」と言っていた。

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ネックピローを取り出す

そんな父は、電車で旅にでも出ようかな、と言っていた。父は電車が好きなのだけれど、仕事が忙しくてまとまった休みはなかなかなく、私が幼い頃はそのまとまった休みがあれば家族旅行にあててくれていた。これからは自由に電車での旅を楽しんでほしい。

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そう思い、赤いネックピローを買ったけれど、

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あまりに首が痛いので、私が使った

電車の旅はどうしても首が疲れる。もげるんじゃないかと思うほどに痛い。そんな話を聞いたので、父の還暦祝いとして、赤いネックピローを買っていた。しかし、それを届ける道中で私の首がもげそうで、申し訳ないけれど、使わせてもらうことにした。

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初めて使ったけれど、これ超いい! もう手放せない!

冷風の恐怖

初めてネックピローを使ったけれど、あまりに気持ちよく、鈍行での旅は一気に快適なものになった。これを使う前は寝ていても、首がもげそうで頻繁に起きていたのだけれど、これをつけてからは、ぐっすりである。

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首は快適!

還暦だけれど父は若々しく、いつだったか実家に帰ったら、ドクロマークが描かれたTシャツを着ていた。ネット通販で買ったそうだ。

最近はiPhoneを買ったと言っていた。年々若くなっている気がする。確かに赤いチャンチャンコは着たくないかもしれない。

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寒いので、

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赤いジャケットを着た!

私も30歳で半還暦といえるので、少し前に赤いジャケットを買っていた。鈍行にずっと乗っていたら体が冷えるので、ジャケットが役にたった。チャンチャンコよりずっといい気がする。

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すっかり日が暮れた

福岡に到着!

東京から福岡までは1日で着かないので、この日は広島に泊まった。ホテルの名前をGoogleで調べると、サジェストで「幽霊」と出てきて、すごくドキドキした。

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広島で一泊して、

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次の日にまた、

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電車に乗って父の家を目指して、

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無事に到着!

東京を出発して約26時間、どうにか父の家のある福岡に到着した。久しぶりに明るい時間に駅の外に出たら太陽が全力で降り注いでいて驚いた。帽子をかぶるなどして、熱中症にならないようにしなければならない。

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赤い帽子を、

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かぶる

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帽子って便利!

父は転勤族で、最近引っ越したので、私は一度も今の実家に行ったことがない(近くには幼い頃に住んでいた)。写真では何度か見たことがあるけれど、果たしてどんな家なのだろうか。綺麗に片付いているのだろうか。

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ということで、実家に到着! これが私の父です!

還暦祝いを渡す

久々に会った父は「FIFA」と書かれたTシャツを着ていた。きっと特定のチームを応援するのではなく、サッカー自体を愛するという気持ちの現れなのだろう。父がサッカーをしていたり、見ていたりする記憶はないけれど、父はサッカーを愛しているのだ。

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父のマウスパッド。父の趣味がわからない!

父に還暦おめでとう、と伝え、早速私が厳選に厳選を重ねた還暦祝いを渡す。まずは最近父が買ったiPhoneに使うケースである。落としても衝撃から守ってくれる頑丈な赤いケースをプレゼントした。

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つけてあげた!

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父とLINEを交換した!

父は赤いケースよりも、LINEの使い方が気になるらしく、使い方の説明を求めた。少しは使っているんだけどね、と父は言い、父のLINEの友達の数を見たら、私よりもはるかに多く友達がいて、私が友達の作り方を教わりたいほどだった。

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次は赤い箸と赤いパンツ

赤いパンツも還暦祝いの定番だ。父はボクサー派らしいので、赤いポクサーパンツをプレゼントした。また還暦には長いものを送る習慣があるらしいので、赤い箸もプレゼント。パンツと一緒に箸を出すのはどうかと思ったけれど、結局そうなってしまった。

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赤い帽子をプレゼント

いわゆる還暦帽は嫌だ、と言っていたので、若々しい感じの帽子をプレゼントした。間違って2個頼んだので、一足先に私もかぶっている。

ちなみに父はしきりに、私の格好を見て、首を怪我したのか、と心配しているが、これもプレゼントだったのは秘密だ。

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次はこれです!

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似合うよ!

赤いチャンチャンコも嫌だ、と言っていたので、アウトドアで役に立つ赤いジャケットをプレゼントした。普段使いもできるので、チャンチャンコよりも使い道があるのではないだろうか。父も夏が終わったら着る、と喜んでいる。

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最後は赤いズボンをプレゼント!

せっかくなので頭から下まで赤くしようと思い、赤いズボンをプレゼントした。赤い靴も買いたかったけれど、予算的に無理で諦めた。でも、帽子、ジャケット、ズボンとほぼ全身真っ赤である。遠くから見ても目立つはずだ。目立つ必要はないけれど。

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父も喜んでくれました!(父と息子でズボンを紅白にしてみました!)

神社に行く

最後にこれからの健康などを祈るために神社に行った。子供の頃に父とカブトムシを捕りに行った神社だ。私は幼稚園児でまだ幼かったけれど、その日のことをよく覚えている。父の漕ぐ自転車の後ろに乗り、田んぼを横切り、この神社にやってきた。カブトムシはいなかったけれど、クワガタを捕まえた。

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そんな思い出の神社に来ました!

父が60で、私が30歳。ちょうど半分の私にアドバイスがないかと聞いた。父は「自分が30歳の時は恵亮(私です)も生まれて、とにかくがむしゃらに働いた。忙しくてあまり家にいられなかったけれど、子供の成長を見るのは嬉しいよ。今の恵亮の活躍も嬉しい」と話してくれた。

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手を合わせました!

「だから、恵亮にもがむしゃらに働いて欲しいし、でもやっぱり元気でいて欲しい。あと所帯をね……」と父は続けた。今、私もがむしゃらに働いている。意識していなかったけれど、やっぱり父の背中を見て、私は育ったのだと思う。父の生き方が私にも受け継がれている。所帯以外は。

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私から受け継いでもらいたい

父から子へ、もあるけれど、子から父もある。ここまでずっと私の首を支えてくれていたネックピローを父に渡した。父は「うん、いらない、これお前の汗で湿ってるし」と言って、ネックピローを私に返した。父のように私も健やかに育ちたいと思います。

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記念撮影!

還暦を祝った

父の還暦を祝うのはなんだか恥ずかしかったけれど、祝って正解だった。父に今の自分へのアドバイスなんて普段だと恥ずかしくて聞けないし、よいキッカケになったと思う。チャンチャンコに還暦帽ではない、実用的でスタイリッシュな還暦になったのではないだろうか。よかった!

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母も今年、還暦なので、お墓参りに行った!

著者:地主恵亮

地主恵亮

1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「昔のグルメガイドで東京おのぼり観光」(アスペクト)がある。

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社会的責任[CSR]