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それどこ

俺が欲しいフォールディングバイク

趣味で自転車に乗ります。大抵の場所は自転車で行きます。そう言うと、運動が好きなんですね、という反応が返ってきます。違います。俺は運動大嫌いな怠け者だから自転車に乗っているのです。

趣味 自転車 生活 特集記事

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Photo by Chicago Bicycle Program

石橋と申します。自転車に乗ったりゲームしたりするのを趣味にしています。

自転車乗ろうぜ

趣味で自転車に乗ります。大抵の場所は自転車で行きます。そう言うと、運動が好きなんですね、という反応が返ってきます。

違います。俺は運動大嫌いな怠け者だから自転車に乗っているのです。

いい自転車ってとにかく楽なんですよ。軽い力でぎゅんぎゅん加速する。車体の軽さ、パーツの精度など理由はいろいろありますが、ホームセンターで2万円で買えるママチャリに比べて圧倒的に「止まらない」。ペダルを回した力が無駄なく推進力に変換されて、しかもそれが長い間「残り続ける」んです。

だからいい自転車はママチャリの半分の力で倍遠くに行ける。楽に、速く、遠くへ。その事実は長年ママチャリに慣れ親しみ、ママチャリこそが自転車である、と認識していた脳にわけの分からない全能感をもたらします。それは自分の足でペダルを回す自転車だからこその高揚感。このスピードを俺が。この距離を俺が。俺が。自分の力で。

スゲェ!! 俺スゲェェェェェ!! 

ただ前進するだけでそう感じられることが自転車の面白さの一つです。こんなお手軽な全能感、怠け者こそが楽しまなくてどうしますか。

半径10km

もう少し具体的な話をしましょうか。

いい自転車ならば、のほほんと走る街乗り向けバイクでも20~25km/h。その速度を非力な俺が鼻歌交じりに出せる。坂を登る電動アシスト自転車の爺ちゃんを追い抜き、立ち漕ぎのママチャリ高校生をぶっちぎる。ただ走ることが楽しくて、気付けば移動距離は10kmを大きく超えている。ほとんど疲れていないのに。

10km。これを一つの基準にしましょう。自転車にとっては30分足らずで到達できる、ちょっとした散歩気分の距離です。

さて、東京駅を中心に半径10kmの円を描いてみると……

f:id:baumkuchen:20150718151151p:plain地図データ ©2015 Google, ZENRIN

「山手線圏内ってこんなに狭いのか!!」 って思いませんか。左半円にほぼ収まっちゃってる。最短距離を突っ切ればどの駅も想像以上に近いし、徒歩での移動距離や乗り換えの時間を考えれば多くの場合、電車よりも自転車のほうが早く目的地に着きます。

そして自動車と違って渋滞に捕まらず、駐輪場も満車で停められないということはめったにない。小回りがきくから目的地周辺の散策や寄り道もお手の物。こと都市部での移動に関しては、自転車は煩わしさを感じることの少ない優れた移動手段といえます。

これまで電車やバスを乗り継いで向かっていた場所が、「ちょっと自転車で行ってくる」程度のご近所になるこの感覚。一気に距離感というものが変わります。

ここでは東京駅を中心にしましたが、気になる方はこういうサイト(円を描く : おでかけマップ)などで自宅から半径10kmの円を描いてみてください。それがあなたの「ご近所」になる範囲です(※平地限定)。

フォールディングバイクのメリット・デメリット

ここまでボンヤリと「いい自転車」と書いてきましたが、タイトルでお分かりのとおり本稿はフォールディングバイク、いわゆる「折りたたみ自転車」のお話です。

フォールディングバイクのデメリット。それは折りたたみ機構とフレーム強度を両立させるため、折りたたまない自転車と比べると重くなりがちなことです。そうはいっても重量10kg前後と、ママチャリ(20kg前後)に比べれば依然圧倒的な軽さと走りは健在ですが。

また、折りたたみ時のコンパクトさのためにホイールは小さくなります。これにはメリットとデメリットの両方があって、漕ぎ出しが軽くなるので停止状態からの加速がしやすい反面、高速を維持し続けるためにはパワーが必要。つまりは信号などで頻繁に停車する街乗りでその本領を発揮するということ。先に書いた「都市部での移動手段」と考えた場合、これは非常に相性がいいといえます。

そして絶大なメリット。もちろん折りたためることです。折りたたんで小さくして、輪行袋*1に包めば自転車ごと電車に乗れるし、車のトランクに積むのも簡単。

電車で帰るつもりでいれば帰りの体力を残さなくていいから単純に倍遠くまでいけるし、自走で行けない遠くの観光スポットまでちょっと自転車を持って行って走り回ってもいい。

なにより出先で酒を飲んでもOK!! 電車やタクシーに乗せれば飲酒運転をせずに持って帰れますからね。たまたま通りかかった日比谷公園でオクトーバーフェストをやっていたときは最高だったな。普通の自転車だったら涙を飲んで諦めるところでした。

各種交通手段を組み合わせて良いとこ取りができる。それこそがフォールディングバイク最大のメリット。些細なデメリットなど軽く吹き飛ばしてしまいます。

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俺が欲しいフォールディングバイク

さて本題。欲しい自転車を並べてあーだこーだ言うだけです。

BROMPTON M3L ¥160,000(税別/カラーにより異なる)


Build your Brompton
価格:http://www.mizutanibike.co.jp/brand/brompton/lineup.html

フォールディングバイクの専門店に行ったなら、まずは目につくブロンプトン。何が目につくって、その見事な折りたたまれっぷりが。


How it Works

こう。フォールディングバイクの中でも比較的小さい16インチのホイールにフレームが寄り添うように。これだけ小さいと、店では棚にずらっと並べて展示されるんですよね。カラバリに富んだラインナップ展開も相まって、その姿はまさに圧巻。「ブロンプトン 棚」とかで検索してみましょう。それだけで欲しくなってしまうこと請け合いです。

たたんだ状態でコロコロと転がせる小さい車輪もデフォルトでついていて、何とも気がきいています。残念ながらJRの輪行ルールでは自転車本体を完全にカバーで覆わないと車内には持ち込めないので、転がして運べるのは改札前までですが。

試乗した感じでは乗り味は結構マイルド。ガンガン走るというよりは、のんびりポタリング。ダルくなったらさっさと電車に乗っちゃう。そんな使い方が向いていそうです。

車輪の小さい自転車はちょっとハンドルを傾けただけでキュキュっと曲がってしまうイメージがあったのですが、ブロンプトンは驚くほど安定しています。クセのない乗り心地と気楽に輪行のできる折りたたみサイズ。定番かつ無難な選択のひとつです。

値段がちっとも無難じゃありませんが。

DAHON Boardwalk D7 ¥61,000(税別)


Boardwalk D7 | DAHON OFFICIAL SITE - ダホン 公式サイト

他メーカーで作られている安価なライセンス品も多く、なんとなーく折りたたみ自転車のスタンダード感があるDAHON。フォールディングバイクといえばフレーム中央のレバーでポキンと折れ曲がるこのDAHONスタイルを連想する人も多いのではないでしょうか。


Boardwalk D7 | DAHON OFFICIAL SITE - ダホン 公式サイト

大体このタイプは太いフレームでガッシリとした見た目のものが多いのですが、このBoardwalk D7は細いクロモリフレーム*2がまっすぐに伸びて、なんともスッキリ品のいいフォルムに。

DAHONのラインナップの中では上体を起こしてゆったり乗るタイプのバイクになりますが、ぐっと踏み込めばびっくりするほどよく走ります。サドルに腰を落としたまま、たいして頑張らなくても25km/hぐらいは簡単に出せちゃう。

それでいて安い。折りたたまない自転車に比べたらどうしたってコストは上がらざるを得ないのですが、エントリークロスバイク並みの価格でこれを出せちゃう辺りがDAHONというメーカーの強さです。何はなくとも取りあえず自転車を折りたたみたい、折りたたんで広げたい、という方はこの辺りから入ってみてはいかがでしょうか。

Trtaruga Type SPORT DX ver.1.25 ¥230,000(税別)


Tartaruga Type SPORT TOP J

理系っぽい名前ですよねえ。タルタルーガの方じゃなくてTypeなんたら、ver.なんたらの方が。

タルタルーガはイタリア語で「亀」という意味。亀甲のように多角形を組み合わせたこのデザインに痺れます。

俺は舗装路を走るバイクにサスペンションは不要だと思っているのですが、小径車になると話は少し違ってきます。というのも、ホイールは小さくなればなるほど段差に弱くなるからです。歩道に乗り上げるだけでも衝撃はガツンと体に伝わってきますし、段差を乗り越えるのはちょっと怖い。そんなところに衝撃を吸収してくれるサスの存在は頼もしい。

何よりメカメカしいサスが多角形デザインにばっちりハマっていてただただカッコイイ。このエラストマー内蔵サス*3は普段はほとんど動かず細かい振動のみを吸収、推進力を殺さない。大きな段差を超えるときだけガツンと動き衝撃を和らげます。

と、オフィシャルサイトに書いてあります(試乗できてません)。

コンポーネントもロードバイク仕様で、高速でガンガン走ることを考えた構成になっていますから、実際に相応の工夫やテクノロジーがつぎ込まれているのでしょう。


Tartaruga Type SPORT TOP J

折りたたみ方は独特で、画像は後輪を取り外さないイージーフォールディング。複雑骨折してるみたいというか、もはや何がどーなってんだかよく分かりませんが、むやみに攻撃力は高そうですよね。この状態で人に投げつけたら大変なことになりそうです。

まあ大抵の自転車は人に投げつけたら大変なことになるので投げちゃ駄目なんですけどね。

なお、タルタルーガにはリカンベントバイク*4風のType FOLDINGというモデルもあり、こちらもめっちゃ欲しいです。

Tern Verge X18 ¥259,000(税別)


http://www.ternbicycles.com/jp/bikes/verge-x18

TernはDAHONから独立した新ブランド。弓なりにそった流線型のフレームにDAHON Muシリーズの血統を脈々と感じることができます。

DAHONとどう違うかというと大体においてそっくりなのですが、若いブランドだけにTernの方が思い切ったラインナップ展開をしてくる印象があります。折りたたみなのに24インチの大きいホイールを採用してみたり、このVerge X18のように高速巡航に特化したモデルを多く取りそろえてみたり。

専用に設計されたフレーム、短いフォーク、ドロップハンドルで前傾姿勢を促し、ディープリムのホイール*5、エアロフォーク*6でさらに空気抵抗を減らす。ギア比は高く、こいつにまたがってペダルをガツンと踏めば、景色はあっという間に後ろへブッ飛んでいくことでしょう。


その走行感はまるでロードバイク。

http://www.ternbicycles.com/jp/bikes/verge-x18

うん。それはロードバイクに乗ったらいいんじゃないかな。

いや待て待て冷静になるな俺。欲しいと思ったときめきを大切にするんだ、いいね? 

……ということでこのバイクの魅力はフォールディングバイクのくせにロードバイクをやっちゃおうとしていることに尽きます。

自転車を趣味とする人間の多くは買ったバイクをそのままにはせずに、速さや快適さを求めてどんどんいじり回していきます。気付いたらフォールディングバイクをロードバイク風に魔改造していた、なんてありふれた出来事。

そこに確実なニーズがあるからメーカーは作る。それだけの話です。ほらお前ら、こういうのが欲しかったんだろ? 作ってやったぞ、と。

そうだよ欲しいよこの野郎ありがとうございます。

かさばるドロップハンドルですし、折りたたみ用のマグネット台座が外せますと公式がわざわざアピールしている辺り、あんまり折りたたませる気もなさそうなのですが、一応たたんだ状態の画像も。


http://www.ternbicycles.com/jp/bikes/verge-x18

なんだかんだで普通のロードバイクよりずっと小さくなりますから、行けるところまでいって電車で帰ってくる、といった輪行ツーリングには最適だと思います。

ORi Bike M10 SUPERLIGHT ¥139,000(税別)


M10 - ORi Life Style Folding Bikes

ORi bikeの“ORi”は世界の共通語、Origamiから取ったORi。つまり「折りバイク」。

これもアクティブにガンガン走るタイプのフォールディングバイクですね。

ORi Bikeの特徴といったら何と言っても変なとこについてるステム……っていうのかなこれも。ハンドルポスト下部の折れ曲がってるところ。

このオフセット部分は折りたたみ時のコンパクトさに一役買うのですが、見た目のインパクトも十分。折り返って泥除けと一体化したフロントフォーク形状と合わさって、いかにも多関節な感じ。

というかこれ虫っぽくないですか? いや、悪い意味ではなく。フロントもリアも鋭角で躍動感のあるバッタのよう。虫でなければ前足を折り曲げて飛び跳ねるガゼルか。いかにも元気よく走りそうで大好きなデザインです。

実際よく走ると評判で、その秘訣がメーカー自身も「売り」としてアピールしている「インスタント・リバウンド・キャッチ」略してIRC。ヒンジ部*7を一瞬で簡単かつ強固にロックするシステムで、しっかりとした剛性を保ちます。つまりはペダルを回す力が逃げずに無駄なく推進力に変換されるということです。


M10 - ORi Life Style Folding Bikes

折りたたみも前輪をフロントフォークから外すタイプでありながら、実は細いサブフォークで本体とはつながっていて、コンパクトさと折りたたみやすさを両立しています。

さらにこの画像では分かりづらいですが、たたむだけでチェーンがいい感じに各所に引っかかるようになっていて、それがチェーンのテンションを保ち運搬中の脱落を防ぎます。もはや芸術的。外見や走りだけではなく折りたたみ機構からも欲しくなるバイクです。

STRiDA 5.0JP ¥95,000(税別)


2015 - 2016年自転車カタログ|GS Global Japan|GSジャパン株式会社

形状フリーダム系バイクの極北、STRiDA。

フォールディングバイクは走行性能と折りたたみやすさを両立するために、それぞれが既成概念にとらわれない自由な形をしています。にしてもこれは自由すぎる。「ブレイブハート」のメル・ギブソンもビックリですわ。

試乗した感想としては、意外にもスイスイと軽く走って乗り心地は悪くありませんでした。ただ、若干ハンドルの安定感に欠けるので高速巡航は難しいし、ポジションの自由度もあまりないから長距離を走れる自転車でもないなという印象。

なら何でこれが欲しいかって? そんなの面白いからに決まってんじゃないですか。こんな自転車がそのへん走ってたら三度見するわ俺。

そういうネタ的な側面は置いておいても、STRiDAの折りたたみやすさはなかなか得がたいポイント。三角形の底辺に当たる部分をパコンと外して3本のパイプをまっすぐに束ねたら、ハンドルを折り返してできあがり。


2015 - 2016年自転車カタログ|GS Global Japan|GSジャパン株式会社

ふたつの車輪が綺麗に揃うのでそのまま転がして運べます。そして細長い折りたたみ形状は立てておけばあまり場所もとらず、電車の中でもそれほど肩身の狭い思いをせずにすむ。短時間でたためることも相まって、とても電車に乗りやすいバイクだと思います。

ならば長距離の移動は電車を使う、とはじめから決めてしまえばこれは相当に身軽な自転車に化けます。

駅までの徒歩、駅からの徒歩をまるごと自転車に置き換えてしまう感じですね。適当に乗った電車の知らない駅で降りてみて、こいつで散策する。街歩きが好きな人にはたまらない楽しみになるんじゃないでしょうか。

自転車沼

自転車趣味というものは次から次へと物欲が湧いてくる、いわゆる「沼」です。便利なアクセサリが欲しい、性能のいいパーツが欲しい、新しい自転車が欲しい。

俺も年がら年中あの自転車が欲しい、この自転車が欲しいと言い続けているのですが、もちろんそうホイホイとは買えません。お金も置き場所も有限なので。

ただ、いつでも欲しいものがあるというのはそれだけで幸せなことです。それを手に入れるもよし。あるいはいつか手に入れるぞと憧れるだけでもそれは日常の活力になります。

首まで浸かっちゃった者にとっては沼もなかなか楽しいもんなんですよ。興味があればぜひ片足突っ込みに来てください。歓迎します。


著者:石橋 (id:baumkuchen)

石橋

自転車に乗ったりゲームをしたりします。好きなゲームメーカーはセガ(メガドライブがあるから)、好きな自転車メーカーはセンチュリオン(メガドライブがあるから)。

ブログ:機械

*1:自転車を入れる専用の袋

*2:クロムモリブデン鋼(鉄合金)のフレーム。強度があり、細くスマートなシルエットの加工が可能

*3:ゴムを緩衝材にしたサスペンション

*4:座席に座り、仰向けの姿勢で乗るタイプの自転車

*5:リム(枠)が高く設計されたホイール。空気抵抗を低減する効果がある

*6:空気抵抗を低減させる形状に加工したフロントフォーク

*7:折り曲げ部位

社会的責任[CSR]